美術の先生は考える

中学美術の授業の実践を中心に、美術について考えたイロイロを紹介できればと思います。

鑑賞の授業を終えて考える

2015-12-13 00:00:28 | 日記

11月下旬。ようやく準備が整い、風神雷神図屏風を用いた鑑賞の授業を校内研修でおこなうことができました。

対象は3年生。

校内研の授業にも関わらず、他校からも見に来て下さった先生もいらしたので、ちょっと気合が入っちゃったこと以外は、だいたいイメージ通りに授業をすることができました。

 

せっかくだからと実物大で制作した屏風は、FBでいただいたアドバイスをもとにプラ段ボールを購入して作ったのですが、ずいぶんと曲がっちゃいました…。厚い方の板買ったんだけどなー。今回は時間もなかったのでこのまま我慢して使いました。

 さて、今回の授業の流れについて。

これまであまりこういった"対話による"鑑賞の授業はやってませんでしたので、今年こそはちゃんとやろうと決めて、以前から「風神雷神はなぜ笑っているのか」を購入して目を通したり、ネットから情報を集めたりと準備は進めてきていました。

また、以前ブログでいただいたアドバイスをもとに、国語の先生方から光村図書の教科書を借り、その中の1年生国語「鑑賞文を書く」も参考にしてみました。

…しかし読書が苦手な自分。結局一番しっかり読んだのは、短い国語の教科書と光村図書のホームページでした。

それでもやっぱり教科書どおりに計画を進められない勉強熱心ではない自分は、考えるよりやってみた方が早いという結論に落ち着き、自分の考えを中心に計画し、校内研の授業の前に2年生の授業で第一案の授業を実践してみました。

 

今回の授業で自分がこだわったのが『まとめ』の方法。

今年の地区の研修会で参観させていただいた鑑賞の授業で、まとめの方法がしっくりこなかったもので、自分だったらどんな風にまとめの時間を設定するのかをずっと考えてきていました。

 

で、たどり着いたのが「オノマトペと漫画の効果を使ってまとめる」方法。

風神雷神が何をしているのか?自分なりに鑑賞活動をとおして考え、文章にまとめるのはまあ普通にできるのでしょうけど、それだと国語の授業となんら変わらないな…と、国語の教科書を見てしまったせいで考えてしまったのです。

先行しておこなった2年生の授業では、まとめ方の見本として見せた自作の資料が、わかりやすさとインパクトをねらい過ぎた結果、ややウケをねらったようなものになったせいで、なんだかちょっとズレちゃいました。

そもそもの「風神雷神は何をしているところと解釈しましたか?」という問いからも外れてしまったおもしろ解釈のようなものが続出してしまいました…。

その中でもこれは割といい方でした。

しかし、背景に絵を描き加えちゃって別の世界にしちゃってるし、やっぱり見本が悪かったなと反省…。

 

そこで3年生の校内研授業では、自作資料をリニューアル。

ここでは画像は紹介しませんが、『鳥獣人物戯画図』の一場面をもとに4パターンの僕なりの解釈を、漫画の効果とオノマトペを使って表して見せました。

あとはまとめに入る際に本授業のめあてを再確認し、おふざけ解釈にならないようにくぎを刺す。

 

その結果はこんな感じに。



 

 対話で鑑賞している際、前半では風神と雷神のライバル対決のような、予想されていた解釈は当たり前に出ていたのですが、途中から風神と雷神の衣服のたなびき方に注目する場面がありました。

「風神が風を右から左に吹かせているのでは?」

「いや、雷神の服は右にたなびいているよ?」

「風神が雷神を追いかけてるんじゃないかな?」

「で、雷神は左に移動中?逃げてるのかな?」

そういった対話の影響から、鬼ごっこや移動中の解釈が多数出ていました。

 

授業を終えてみて。

面白かったなーと授業者自身も感じます。

ただ、まとめの時間を15分~20分弱と長めにとってみたのですが、普段から漫画の効果やオノマトペを使う場面が少ない生徒たちにとってはちょっと難しいようでした。

もちろんそれを見越して沢山の資料を用意して見せはしましたが、それだけではなにかと足りなかったようです。

江戸時代の日本文化に、現代日本を代表する漫画の文化を加えて表してみるまとめの方法は面白いかなーと思ったのですが、いくらか修正は必要でしょう。

 

今年度の鑑賞の実践はこれにて終了。来年度またこの反省をもとに考え直して実践してみたいと思います。

…曲がっちゃった屏風も直したいな。

 

 

さて、冬の作品展の出品準備が始まっています。

冬休みに入ってすぐに『青森県中学校選抜美術展(八戸開催)』の弘前地区作品審査会があります。

冬休み明けの直前には『弘前地区小中学校美術展』の作品審査会。

せっかくなので今年も本校生徒の頑張って表現した成果をお披露目しつつ、自分の美術の授業の取り組み紹介のニュアンスも添えて出品・展示したいと思っています。

 


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