美術の先生は考える

中学美術の授業の実践を中心に、美術について考えたイロイロを紹介できればと思います。

時には自分もクリエイターに

2014-11-30 22:36:44 | 日記

 今年度の青森県中学校選抜美術展の主担当をしております。

…大変です。

要項作成に始まり、いろんな文書作って送ったかと思えば、また別の文書作って送って作って送って…

市の美術展は何年か担当したことがありますが、県のやつは初めてなのでわからないことも多く、ちょっとしんどいです…。

授業の準備をはじめ、普段の仕事が疎かになりそうになりながら、なんとか日々乗り切っています。

 

そんな中、ポスター制作も担当することになりました。

美術の授業において生徒にポスターを制作させることがよくあります。

だから教える側の自分もこういった機会に、実際にポスターデザインをすることができるというのは勉強になります。

 

今回はクライアントから「弘前城の石垣を使ったデザインにしてほしい」とありました。

弘前城の石垣が崩落の可能性ありとのことで、その上に乗る天守閣も含めて先日世紀の大修復工事に入りました。10年ほど見られなくなるんですね。

そのこともあってデザインに使ってほしいということでした。

 

さて、ポスターですからその要求だけを満たせばよいというわけではありません。

まずやはり『情報を伝える』ことがポスターのメインの役割。

ただカッコイイもの作ればいいってわけではない。作り手の好きな作品に仕上げればいいってわけでもない。

ー それが何のポスターなのか ー

をわかりやすく伝える工夫が大事ですね。

今回このポスターを制作していて、「中学校」の「美術展」なんだということを特にアピールしたいと思いました。

次は「会期はいつなのか?」「会場はどこなのか?」も大事かなと。

それらをパッと見でわかりやすく伝えよう。

 

それ以外にも載せなきゃならない字も多くあるので、それらをどう載せるか?

 …そんなに目立たなくてもいい情報ですね。どこに、どのくらいの大きさで、どんな大きさで…それらを考えます。

 

 

あとは、『石垣』をどう使うか?

全体としてどんな感じに仕上げたいか?

美術らしさを出すためには?

…いろいろ考えました。

 

ポスター制作は教える要素が多いとよく言われますが、本当にそうですね。

色の使い方にずいぶんと悩み、行間をミリ単位で調整したり、背景と字の関係性を微調整したり、結局何日かかったんだろう?

「いいかな?」と思った時に名前を付けて保存することを繰り返し、納得して「完成!」と言えた時にはバージョン6でした。

たくさんの要素が詰まっていることを改めて実感しました。

 

自分でも試行錯誤しながら制作する経験をしていればこそ、教えられることはたくさんあると思います。

知識だけで教えるより、経験をもとに教えることができるというのは説得力も自然に生まれるでしょうから。

そこまで見越してこの役割を引き受けたので、大変でしたが良い経験になりました。

時にはクリエイターになることは大事だなって思います。

 

何よりやっぱり美術している時は楽しいんですよね。

気づけば夜中まで制作していることもよくあったので、眠かったり、うまくいかなくて苦しんだりということももちろんありましたが、それらを含めてやっぱり美術は楽しいなと身をもって実感できました。

 

今週中には印刷も上がる予定。来週には県内の中学校に張り出されることになるだろう。

ちゃんと人の目に留まり、この美術展をアピールできる役割を果たしてくれますように…!

 

 

 

 

 


いただいたコメントから考えました

2014-11-16 18:49:04 | 日記

図工美術の日の取り組みを終えました。

ネット上で紹介してからというもの、本ブログを見ていただいている方が思いの外増えたので、なんだか使う言葉にも責任を感じてしまいます。

変なこと書いてないかなー…頭悪そうな表現してないかなー…。

何より誰かを不快な気持ちにさせてしまうようなこと載せてないかな…ということが最も気がかり。……大丈夫だと思うが。

かなり気にしながらやってきたつもりではある。こういったことを発信するからには、使う画像や言葉に細心の注意を払い、誰に見られても問題ないように配慮しなければなりません。

今後も責任を持って丁寧に続けていければと思う。

 

さて、そんな中で数件コメントを頂きまして、公開を保留したままにしています。

コメントを寄せていただいた方々の個人情報が特定されてしまうのはちょっと気がかりですので、考えた末に非公開のままにしておこうと思っています。

 

…が、いただいたコメントを放置しているような気がしてしまうし、紹介したいなと感じる内容のもありましたので、今回はいただいたコメントから考えたことを綴ろうと思う。

 

一年ほど前の『展示の方法を考える』というタイトルの記事に寄せられていた、生徒の保護者の方からのコメントです。

「…(略)展示方法で、思い出したことがありました。
昨年の弘前小中学校美術展へ娘のお面が選ばれて家族で見に行ったときのことです。
展示する場所が狭いのか、テーブルが足りないのか、お面は無造作に置かれ今にも落ちそうでした…。
触れてはいけないと思いつつ、他の作品にも邪魔にならないように立て掛け直しました…゜゜(´O`)°゜

子どもたちが作った作品を無下にしているようで悲しくなりました。

こんな場面はさまざまな場面で感じることがあります。
主旨は何?企画を消化するだけにやっているの?と悩んでしまいます…。

少し話はそれますが、保育園でバザーを開催したとき、値段毎に並べればいいと話した会長に反発し、買う人からの見えかたや手に取りやすさを考えて配置したら、金額が今までの倍に跳ねたがったんです♪

やっぱり、作品を魅せることや惹き付けさせることは、大切だよなぁ~と。」

ちなみにコメント中のお面の作品は、私が展示した作品のことを指しているのではありません。妹さんが小学校にいて、その妹さんの作品なのかな?と推測しました。…私は授業でお面の制作をさせたことがないので。

 

さて、やっぱり見てる人は見てるよなーと思いました。

近年個人的に力を入れている展示方法ですが、まだ満足できる展示はできていないと感じています。

あまり目立ちすぎて周囲の作品に迷惑をかけてもいけません。かといって自校の生徒の作品が、ただ「並べられた」作品の一部になり埋もれてしまうのもどうも見るに堪えない。作品そのものの魅力を邪魔しないよう、でもせっかくこうして楽しみにして見に来る作者本人やその家族の方々がいるってことを忘れず、「見に来てよかった」と思ってもらえる工夫を無理なく続けていきたいと思う。

完成した作品や展示される会場の特徴も生かしながら。

 

また、コメント後半でこのようにも綴られていました。

 

「先生の感性にはいつも驚いてばかりですが、私も日々の生活のなかで、母ちゃんならではの視点で『美術』を探してみたいと思っています。」

 

いやぁ~母ちゃん素敵です!!

美術という教科の楽しさ・素敵さ・意味深さ等々、あの手この手で生徒たちに伝えようとしてきましたが、保護者の方がこんな風に感じて下さったということに感動!

この場をお借りして「ありがとうございます!」と書かせてください。

 

こんな素敵な教科をなくしてしまおうなんて、どこの誰が言い始めたんでしょうほんとに…。言い始めた人に読んでほしいコメントでした。

 

中学校美術Q&Aが北海道と静岡で開催されるようですね。

Quality & Action。まだ一回もそこに参加したことがない私ですが、ちょっとは『美術教育の価値を訴える行動(Action)』に貢献できた気がしました。

 

最後にもうひとつ。

「とある生徒(卒業生)です。美術大好きです。
これからも、いいかんじの授業して生徒をたのしませてください。
では、俺もがんばりますんで先生もがんばってくださいね。」*中略

 

はい。頑張りますよ。

自分が所属する学校の生徒たちが、君のように「美術大好きです。」と思ってくれることが、この美術教育のファーストステップのところだと思います。

ただ面白いだけの題材・指導でもダメ。

つまらないものを「大事なんだぞー。」と頭ごなしにやらせる題材・指導もダメ。

楽しみながら制作に取り組んで、その中で悩んだり工夫したり、うまくいかない箇所を解決して満足感を味わったり、完成させて充実感を味わったり、自分が苦労してやり遂げた仕事を周囲から評価してもらったり、そしてまた次のステップに進む際にモチベーション高めたり。

この過程をしっかりと経験できる題材の工夫と指導方法の工夫を今後も続けていきたいと思う。

美術じゃなきゃできない経験を、日々の授業の中でいっぱいさせたいものです。

応援ありがとう!

 


図工美術の日〈途中経過〉

2014-11-08 23:21:32 | 日記

作品数が少ないとはいえ、毎朝の作品入れ替え作業は大変です。

放課後に入れ替えれば楽なのですが、それでは自分の作品にどんなコメントが寄せられていたか見ることもできない生徒もいるかもしれません。

いくら作品の裏に付箋を残しておくとはいえ、実際に展示されている時に見るのとはちょっと違いますからね。

だから毎日の作品入れ替えは午前中の最初の空き時間なんです。

だからあまり長い期間はできませんね。

もっと長期間できれば、より多くの作品を展示することができるのですが、他の仕事が疎かになってはならないので、やはりもう数日が限界かと思います。

「今日はどんなコメントが貼られるかな」、「どのくらい『いいね!』しに来るかな」と考えながら展示するのは、ワクワクして楽しかったのですが、とにかくあと数日で終了させようと思います。

 

さて、とはいえやはり数日経過すると「いいね!」をしにくる人々も若干減少気味でした。

マンネリ化を避けようと用意していたいいね!付箋紙の「新色追加作戦」だけでは、効果も少な異様に思えたので、昨日は新たにテコ入れしてみました。

校内の数か所に貼っているこのポスター全部に、いろいろセリフをつけて貼っておきました。

昨日は所用につき早く学校を出たため、成果は今日休日出勤した際に確認となりました。

んー…そんなに劇的に量が増えた感じではありませんが、そんな中にこんな付箋を発見。

このコメントが寄せられていた作品は、戸の隙間から込んだ光が床に広がっている光景をクローズアップして描いた絵画作品です。

素敵じゃないですか!?

こんなことを感じながら、しっかり鑑賞できてる生徒がいるってのは素敵だなーと。このコメントに私から「いいね!」しておくことにします。

(…誰か教師のコメントだったらどうしよう…って不安も若干あり。見た感じの字は生徒だと思うのですが。)

 

こんな嬉しい発見が連日あったので、とにかくやって良かったです。

 

また、この取り組みを報告したことで、人との繋がりが新たに広がったことも嬉しく思います。

 本ブログの一番最初、「はじめるにあたり」に綴ったように、この辺で美術教師が集まって刺激し合うことってほんとにないので、全国の様々な美術教育に携わる方々とお知り合いになって、情報交換ができるってことは本当に有意義に感じています。

 

こういった意味で、この図工美術の日の取り組みは私自身にも意味のあるものとなりました。

 

生徒に「いいね!」させているこの取り組み自体に「いいね!」して下さった方々、ありがとうございます。

予定では11月11日(火)までの企画です。あと2日頑張ろうと思います。

 

おわりに… 

前回の記事にコメントいただいた保護者の方ありがとうございました。
承認して公開していいものかどうか躊躇し、現在はそのままにしています。
すごくうれしい内容でした。ありがとうございます。
私個人に寄せられた内容と受け取りましたが、「このように思ってブログを見ている人もいる」ということを公開する意味もあるのかな?と考えたり、そのつもりでコメントしたのに「なんで公開してくれないんだろう?」と思っていやしないだろうかと考えたりしていました。
どなたか知り得ませんので、ことりあえずはの場を借りましてお礼させていただきます。

ありがとうございました。

 

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図工美術の日〈実践〉

2014-11-05 21:43:35 | 日記

昨日から実践開始しました。

ポスターだけでは心配なので、「美術だより」で宣伝し、どんどん見に来て「いいね!」して行って!と呼びかけました。

結果、けっこう生徒のみんなは見に来て「いいね!」してくれました。先生と思われる字も見られますが、それはそれでいいと思うのです。

 

 さて、「日替わり美術館」ですから2日目の展示に替えなければなりません。

2日目の展示にもお昼の時点で「いいね!」がすでに貼られていました。

 さて、せっかくたくさん書いて貼ってもらった「いいね!」付箋紙。

私が書いて作品横に貼っていたコメント付きの名札付箋紙と一緒に作品裏に貼っておくことにしました。

作品を返却したときに、ちょっとサプライズで作者も喜んでくれたらいいなと思います。

 

よし!明日も朝から展示頑張ります。

…あ、この取り組みを報告することがまず必要ですね。

 

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図工美術の日 〈準備の日〉

2014-11-04 23:34:06 | 日記

 

この存在を知ったのは昨年11月末。もう時期を過ぎてからでしたので、今年が初挑戦になります。

初めて「やるぞ!」って決めたときは、いくつか面白そうだなーってアイディアが浮かんだのですが、うちの学校はこの時期美術室が写真のような状態。学校農園で収穫したりんごの一時貯蔵庫状態なのです…。

いつもは邪魔になっている美術室の太い柱を活用したものを考えていたのですが…。これじゃちょっと無理。

せっかく思いついたアイディアがいったんぜーんぶ白紙に戻りました。残念…。

時期を遅らせてやろうかとも思いましたが、後に控えている仕事の負担がちょっと大きいので、今年はシンプルに校内の作品展示にしようと思います。

少し工夫した展示をしてみよう。

いろいろ凝ったことをやるのもいいが、今年の自分は何より行動。Actionだ。

 

さて、休日出勤し構想を具現化。

…しかし、場所が極端に少ないことが改めてわかり、結局いつも使っている美術室前のわずかなスペースを使用。

あ、写真の後ろに見えてるのが前述の「いつもは邪魔な柱」ですね。

 

ただ展示するだけではいつもと同じなので、展示の趣旨をポスターで伝えるべく作成し、校内に数か所貼りまくる。

 各作品には名札の下に美術教師として鑑賞して「いいな」と思ったことを書いて貼る。

それだけでもつまらないので、こんな付箋紙を手作りして…

こんな掲示物と一緒にテーブルに置いておく。ペンも添えて。

…で、例として、こんな風に各一枚貼っておく。

うん。だいたいこれでイメージ通り。明日の反応が楽しみだ。今日は帰ろう…と思ったときに、ちょっと壁に目をやるといい素材発見。イメージが湧いたので、こんなものも作って貼って、はーサッパリした。一応やりきった。

 「日替わり」なので毎日大変ではあります。

でも見る側は飽きないし、「自分の作品も掲示されるかな」なんて楽しみに思ってくれる子もいるだろう。…そもそも展示スペースがなさすぎることから生まれたアイディアだが、ただドカンと一斉に展示するよりも面白い企画にはできたと思う。

わずかな時間にささっと展示入れ替えができるように準備もしておこう。

 

…と、ここまで書き込んだところでupできず、企画展当日になってしまいました。

成果はまた改めてupしたいと思います。