美術の先生は考える

中学美術の授業の実践を中心に、美術について考えたイロイロを紹介できればと思います。

夏休みの図工・美術の宿題について考えさせられる

2019-08-19 22:32:13 | 日記
「学校で絵の具の使い方も教えず、宿題にするのはどうなんでしょう?小学校の美術(図工)教育への愚痴です。」
と、小学生の子をもつ同僚から、描いた絵の画像付きでメッセージが届きました。
実はうちの子も今年から中学生となり、夏休みの絵の宿題が出されました。その内容も『ちょっと習っただけの一点透視で四つ切り画用紙に風景画を描いて完成してくる』もの。
出ました…。まだこういう宿題あるんです。ガッカリです。

これらを作品展に出すのでしょう。これまでも県内の作品展では嫌というほどその手の作品を見てきました。授業内で見つけることができるはずのない景色をモチーフにした絵。途方もない程の時間をかけて描いたと思われる絵。
そしてそういう作品に立派な賞がつけられ飾られている光景。

やっぱり早く変えなければ駄目です。こういった作品展の体制を。

夏の東北造形研の実践発表にて、田中真二朗先生も「上手な作品を作らせるのが美術の授業ではない。」等とハッキリと根拠をもとに話してくれました。聞いていてサッパリしました。
しかしそういう話は届く人にしか届いていないのでしょう。
これからの未来で活躍していってくれる子どもたちに、図工・美術の授業を通してどんな資質・能力を育んでいくべきなのか?
ちゃんとそういうことを考えて題材を計画・実施し、そういう授業から生まれた作品を発表する美術展にしていかなければなりません。
見に来ていただく一般の方々にも嘘の美術教育を発表し続けているようで、これでは申し訳ない。

痛感したので、この場に考えを残しておこうと思います。

因みにメッセージをくれた同僚は、
「美術嫌いの子どもが増えちゃう。」
「親として協力したけど、もともと絵が不得意な父親の夏休みも潰れちゃうよ…。」
「早く改善して下さい。」
とも嘆いていました。
もっともです。
このブログも大々的に拡散はしませんが、届く人には届くでしょう。そして少しずつこういう現状は変わっていくでしょう。それで良いように思い地道にできることをしていこうと考えていたのですが、変わっていく間に犠牲になる子どもたちが存在するのも現実。
やはりできるだけ早く変えるためのアクションをしていこうと決意するのでした。

最後に前述のうちの子の宿題。
うちの子はこの夏、部活で数々の大会に出場させて頂き、多忙な日々を過ごしました。
他の教科の宿題も色々ありますから、不得意な絵画制作にじっくり向かう時間なんてありませんでした。…いや、無理したら時間ありましたけど、無理させたくありませんでした。
よって、これ。

一応かなりぼかしの加工をした上でここに貼り付けました。もうあえてガンガン手伝って、短時間で仕上げてやりました。
子どもと話し合い、お手伝いがバレても責められてもいいと割り切って、済ませただけの絵です。
本人は完成した絵を見て、軽く笑いながら、それでも自分がメインで描いたので、ちょっと満足げではありました。複雑だったそうですけどね。
これが冬の作品展に出品されたら、もうただ笑うだけです。
賛否はあるでしょうが、我が家の結論。僕なりの抵抗でした。

そんな僕も自校で1学期に10時間程制作した作品の仕上げは課しました。
ただし、1学期中にちゃんと授業の時間をかけて教えて学ばせて、早い子は完成させた上でです。
紙のサイズを小さくしたり、〆切を緩くしたり、夏休み中に制作したいと登校した子にも場所と機会を与えつつ、反省や工夫や努力した上でです。
しかしそれでも良いものだとは思っていないので、来年はもっと短時間に済ませる課題にすべく、具体的に方法を既に検討中です。
対して「夏休みの宿題」と投げっ放しの宿題を課している先生方、そろそろいい加減考えて下さい。
作品展に出品するための作品を確保するための課題やめませんか?

「美術の時間」展in青森

2019-08-04 22:21:48 | 日記

「美術の時間」展in青森、令和元年7月31日(水)~8月1日(木)に第64回東北造形教育研究大会にて八戸市立西白山台小学校を会場に実現。

企画のきっかけは1年前。
秋田市の全国造形教育研究大会の際に、そこにぶつけて別会場で田中先生と黒木先生が実施していたことに刺激を受け、その晩秋田で「公式の実践発表として僕らもやってみよう!大会テーマを受けた形でやってみたい!」と部会長に直談判したところから。
その数十分後には、田中先生、黒木先生にも話したことで、青森と秋田で県を超え、学校種を超えて一緒に発表ができたらすごく素敵で面白い!と盛り上がり、現実味を帯び始めて秋田を後にしました。
ポイントは「公式」だったので、後日青森県に戻ってからちゃんとした形でもう一度部会長にお願いしました。実行委員会にお邪魔した際に提案もしました。この企画の意味を整理し、企画書も作成しました。公の大会の中に組み入れることは簡単ではありませんでした。元々の枠にはない実践発表でしたし。
それからは高安先生と青森県の2人で地道に長い時間をかけて詳細を少しずつ少しずつ、本当に小まめに打ち合わせを詰めてきました。
離れたところで働く4人で連絡を取り合い、公的な原稿を作ったり直したり、共通パネルデザインを作ったり廃棄したり…試行錯誤の日々でした。
が、そこは志が同じ仲間たち。いざ動いてみると、ちゃんと同じ方向へ進み、結果同じところへしっかり到着できたという実感をもって開催できたことには喜びを感じ得ません。



本当にやってみて良かったです。
大会の中でどんな意味があったのか?自分たちにとってどんな意味があったのか?それはここで語っても伝えきれないです。ちゃんと見た方にはしっかり伝わってるのでそれで良いです。逆に余計なことは書きたくないので書かないことにします。

来年度、岩手大会でも人を増やして第二弾をやろう!との声が上がっています。初めに声を上げたのは、この発表をしっかりと見て下さった岩手県の先生方です。「来年岩手でもやってくれませんか!?」とお願いされたことからです。
そのことがもう意味を物語っていると思います。
今後の展開が楽しみになってきました。
さて、来年度へ本当に続くのか?
それ以降も広がって行くのか?
東北の図工・美術教育が面白い!