以前紹介した紙だけで作る彫刻の作品が全員完成しました。
写真はまだ未完成のものがある時のものですが…。
今回取り組んだこの題材は、
「おそらくそんなに時間をかけすぎることもなく、作品として成立させやすいと思う。
美術が得意な子はいろいろ工夫して凝った作品も作ることができそうだし、そうではない子もそれなりの作品を完成させることができそうです。」
…と、以前の記事で述べていましたが実際どうだったのか振り返ってみたいと思います。
1 題材について
余った切れっぱしの画用紙と白ボール紙を偶然業者さんからいただけましたので、それらをメインの材料に。それと元々美術室に眠っていた和紙(種類はわかりませんがあまり質が良いものではない)、コピー用紙のみを使うことを条件に制作させました。
紙の良さを生かしつつ、あまり複雑にこだわりすぎないようにすることで短時間の完成をねらってのこと。
また、彩色もなし。白のみの美しさで表現してみよう。それも紙の良さを生かすことになるだろうし、「紙だけでこんな形が作れるんだ」と制作者はもちろん鑑賞者にも味わってもらいやすくしたかったからです。
2 制作手順
①試しにコピー用で「きれいだな」「おもしろいな」って思う形を色々作ってみよう。
②主のテーマ『心が動いた瞬間』とし、そこから自分のテーマを決めよう。
③テーマのイメージをどんな形で表せるか、絵で表現してみよう。
④制作してみよう。
切って折ってつなげる者もいれば、
切って丸める者。
切って巻いてつないでいる者も。
出来上がった形を白段ボールの板に配置していきます。
…しかし、この手順が丁寧すぎたのか、考え自体が甘かったのか。時間がかなりかかってしまい予定オーバー。
やっぱり抽象表現って難しいって再認識。
どうしても具体的な「手」の形が出てきちゃったりして、「そうじゃないんだよ…。」となる始末。
こういうことをやりたいのであれば、事前にもっとやっておくべきことがあったと思います。
『喜怒哀楽をそれぞれ絵で表してみよう』みたいなことを、以前他の学校でやったことがありましたが、そういうのやっておけばよかったな…と反省しました。
それと抽象彫刻を数多く見せるとか、彫刻じゃなくても絵画でも何でもいいから、抽象ってものをもう少し勉強させなきゃダメだったなと。…反省だらけです。
反省ついでにもうひとつ。
紙の種類によって色が違ってなんだか美しくない…。特に掘り出した和紙の色が黄色っぽくて。
結局出来上がった作品を白スプレーで仕上げることにしました。
これにより紙の風合いは少し薄れてしまいましたが、接着部分が汚くなってしまった作品が多くあったので、その部分を隠すことができるメリットはありました。
結局たくさんの反省点が見つかったわけですが、それでも出来上がった作品たちはなかなかのもの。
制作した2年生の生徒たちは、それぞれ工夫しながら平面の紙を立体として立ち上げ、絵が苦手な生徒や粘土だと思ったように立体造形できないような生徒も、テーマに沿ってきれいな形、おもしろい形を作ることができていたと思います。
あとは今度の美術展で何作品かまとめて展示し、鑑賞者に「紙だけで作ったんだー?」と少しでも驚いてもらえれば成功かなと思います。
ここでも展示の仕方にいくらか工夫が必要ですね。ただ作品だけ置くような展示では、いったい何を表わした作品なのか?何をねらって取り組んだ題材なのか?がわかりませんから。
美術の先生はどんなことを育てようと思っているのか。
中学校の美術の授業ではどんなことを学んでいるのか。
美術の授業の有用性は。
せっかく展示してたくさんの方に見てもらうんですから、できる限りそういったものが伝わるような展示をしてみたいと思います。…他の学校の作品の邪魔にならない程度に。