美術の先生は考える

中学美術の授業の実践を中心に、美術について考えたイロイロを紹介できればと思います。

絵画指導を考える

2016-06-15 13:13:01 | 日記
絵画題材の指導において。
本校では写生大会などを実施していないので、絵画の題材においては写真を撮り、それを絵に表わすことを基本としています。
・1学年では「光」に焦点を当て、有彩色一色のみで表すような題材。
・2学年では「視点の工夫」。絵の具は自由です。
・3学年では過去2年の経験を生かし、修学旅行で印象に残った風景を写真で切り取り、それを様々な表現技法を考え選択しながら絵に表わす題材に取り組ませています。

3年間で発展的に学習していけるよう、自分なりに考えて実践している絵画指導の構成ですが、最近上手くいっている部分と、そうでない部分があると感じてます。

3年生の授業にて、上手くいっている点。
修学旅行には一緒に行けませんでしたから、どんな写真を撮ってくるのか心配でしたが、ふたを開けてみると、工夫した視点で撮影してくる生徒が多かったです。
2年生で取り組んだ題材が生きてるなーと感じます。
…もちろん旅行に夢中で美術のことなんて忘れてて、帰宅後に絵になりそうな写真を無理に選ぶ生徒もいるのですが、まあ、それはそれで仕方ないですね。

また、撮った写真がたまたま有彩色1色っぽい色合いだった生徒。
「1年生で描いた絵みたいに、有彩色1色と白黒だけ使って描けば上手くいきそうだね!」と声をかけると、すんなり納得して制作。
同様に撮った写真がたまたま白黒写真のような色合いだった生徒。
「黒の絵の具と水だけ使って描いてみたら?」と声をかけると、「この真ん中の建物を目立たせたいんですよ。」と言うので、「じゃー、その建物だけは有彩色使って、それ以外は水墨画みたいな白黒だけで表せば面白いかもね?」「1年生で描いた絵の描き方思い出してみなよ。」で、すんなり納得。
1年生で取り組んだ題材が、その時に学んだ表現方法が、しっかり生きてるなーと特に嬉しく感じました。




反面、同じく3年生の授業にて上手くいっていない点。
頼り過ぎる体質を育ててしまったところ。
もっと自分で考えて、自分なり表現方法で工夫しようとしてほしいのですが、「○○終わりました!次どうすればいいですか?」「ここ上手く描けません。どうすればいいですか?」の声が多すぎる…。

頼りにしてくれること、アドバイスや指導を信頼して聞いてくれることは嬉しかったのですが、気づいた時には『自分で考え、自分なりに工夫して表現しようとする』姿勢が育っていませんでした。

前述のような「こうしたらどう?」という積極的な声がけがマズイのか?
考えてしまいます。


限られた制作時間、これまでの反省を踏まえ、授業の導入をなるべくコンパクトに板書もシンプルに定型化をし、制作に当てる時間の確保に努めてきました。年度末に生徒たちに書いてもらっている、年間の授業の振り返りの中にある「今後の授業に望むこと」の声も聞いて考えた上でのことでした。(*話が長いので、もう少し早く制作させてほしいとの声が毎年有り…。10分いくこともあったので、そういう時はとても長く感じるらしい…。)
板書に関しては、市教委からも『ねらいとまとめをしっかり書き…』等と、お上からお達しによる制限もあるんですよね…。

そんなこんなで、かつて同様の状況に至った際によくやっていたような、小グループを使って仲間同士で意見を交わし合う、学び合いの活動を少し取り入れ始めました。
…が、ちょっと時既に遅し感。
頻繁にやっていれば生徒も自然に受け入れて活動できていたのでしょうが、「早く制作させてくれムード」を強く感じてグダグダに…。
今年度は特に焦った授業をしてきたなと反省します。


さて、7月です。もうすぐ夏休み。
どの学年の題材も、夏休み前までに完成させる計画で授業を進めてきましたから、今がちょうどラストスパートです。
素敵な作品がたくさん誕生しますように。

今年の夏休みは国立美術館での研修と、文化祭の作品制作サポートを中心に頑張ろうと思います。