"Fado and Flamenco" Columbia 33CS14
10年あまり前に故・中村とうよう氏のお宅に伺ったら、この10インチLPを大事そうに、かつ少々自慢そうに見せてくれた。それも道理、アマリアのファースト・アルバムである。
といっても、シングルや78回転盤用の録音を英コロンビアが寄せ集めてアルバムに仕立てただけだが、彼女の初LPであることには間違いない。コレクターのマスト・アイテムなワケです。
でもそう言っちゃナンだが、とうようさんが持っておられたのは地色が赤の米Angel盤。オレが手に入れたのは英コロンビア盤。ジャケットも違えば音質も違う。
とうようさんが音出ししてくれたとき、オレは思わず、あれっ、ピッチ高くないですか、と言ってしまった。米盤はそのくらいハイ上がりのキンキン耳障りな音質だった。
米盤LP、特にエンジェル盤は1970年代にはリバーブを乱用して、味の素をむやみにブチ込む新米主婦の料理みたいな甘ったるい音質になるが、ロック全盛の50~60年代には高音のキツい尖った音質がトレンドだったらしい。下記のKAPP盤も同様の音質だ。英盤は高低のバランスが取れてるし、細かい響きがはるかに多い。
ところで、50年代末になると10インチLPが不人気になり、英コロンビアはこのアルバムに4曲追加して12インチ盤で出し直す。オレはそっちの方を前から持っていて、だから10インチ盤の方はいいかなとか思っていた。
それが最近、たったの99ペンス(≒140円)でeBayに出たので、ダメもとで入札しておいたら競争者が現れず、元値で落札できてしまった。コレクターとしては、やっぱりオリジナルを持っていたいワケです。
届いた現物は文字どおりのNMでレコードはツヤツヤ、ジャケットはピカピカ。なんか、出品者に申し訳ないみたいな。
こういう幸運があるので、オークションはやめられない。
アマリアがデュクレテ・トムソンで録音した3枚目で最後のアルバム。回想録の巻末ディスコグラフィにAlvorada盤と誤記されているレコードである。
デュクレテはアマリアのLPに統一ジャケットを使っていたようで、先にご紹介した第1弾(日本ディスク盤)と地色違いで同じ写真、同じデザインを使っている。
ポルトガル・プレスだが、マスターは多分フランス・カッティング。第1弾の日本盤より音にしっかりした芯があり、低音がぐんと安定している。それと、CD未復刻の曲が3枚の中で一番多い。
"Self Title" KAPP KL-1096
2枚目のデュクレテ・アルバムに4曲追加して12インチ盤に仕立てたアメリカ盤。シャルル・アズナヴールがアマリアのために書いた "Aïe mourir pour toi" や "Paris s'éveille la nuit" など、フランス語の歌を何曲か歌っている。
手に入れるならフランス盤か、せめてポルトガル盤を、と思っていたのだが、いつまで待ってもeBayに出る気配がない。しびれを切らしてアメリカ盤を買ってしまった。
未開封未通針の触れ込みに惹かれたのもあるが、やっぱアメリカ盤はあきません。細かなチリプツ・ノイズこそないが、時折ガチンプツンと大音響の突発的ノイズが出る。盤の素材に不純物が混じっているか、プレスの際の剥離剤が凝固したのだろう。こういうノイズはホコリが原因じゃないから、クリーニングしても消えない。
ジャケットのポートレートは昔『ブスト』の日本盤LPに使われたものと同じ。発色と質感は断然こっちの方がいい。アメリカ盤て、レコード本体は手抜きだが、ジャケットにはふんだんにカネ掛けてたんだよな。中身より外見で商売していたことが見え見えだね。
ともあれ、これでなんとかアマリアのデュクレテ録音がすべて揃いました。一安心。
このあいだ発売されたライス盤の3枚組CDが、聴いてるのが苦痛なほどの犯罪的極悪音質だったので、eBayを引っかき回して手に入れたレコード。
12インチで各面15分前後の長さだから収録に余裕があり、凄いハイレベルでカッティングされている。言うまでもないが、CDとは次元の異なる生々しい歌だ。アマリアの声は充分カン高いのだが、それが迫力にはなっても喧しさにはつながらない。
アナログ録音の復刻CDでも、音より音楽を大切にした例がないわけじゃないが、大体が音楽殺しのノイズ潰しに血道を上げている。だからレコード集めはやめられない。
10年あまり前に故・中村とうよう氏のお宅に伺ったら、この10インチLPを大事そうに、かつ少々自慢そうに見せてくれた。それも道理、アマリアのファースト・アルバムである。
といっても、シングルや78回転盤用の録音を英コロンビアが寄せ集めてアルバムに仕立てただけだが、彼女の初LPであることには間違いない。コレクターのマスト・アイテムなワケです。
でもそう言っちゃナンだが、とうようさんが持っておられたのは地色が赤の米Angel盤。オレが手に入れたのは英コロンビア盤。ジャケットも違えば音質も違う。
とうようさんが音出ししてくれたとき、オレは思わず、あれっ、ピッチ高くないですか、と言ってしまった。米盤はそのくらいハイ上がりのキンキン耳障りな音質だった。
米盤LP、特にエンジェル盤は1970年代にはリバーブを乱用して、味の素をむやみにブチ込む新米主婦の料理みたいな甘ったるい音質になるが、ロック全盛の50~60年代には高音のキツい尖った音質がトレンドだったらしい。下記のKAPP盤も同様の音質だ。英盤は高低のバランスが取れてるし、細かい響きがはるかに多い。
ところで、50年代末になると10インチLPが不人気になり、英コロンビアはこのアルバムに4曲追加して12インチ盤で出し直す。オレはそっちの方を前から持っていて、だから10インチ盤の方はいいかなとか思っていた。
それが最近、たったの99ペンス(≒140円)でeBayに出たので、ダメもとで入札しておいたら競争者が現れず、元値で落札できてしまった。コレクターとしては、やっぱりオリジナルを持っていたいワケです。
届いた現物は文字どおりのNMでレコードはツヤツヤ、ジャケットはピカピカ。なんか、出品者に申し訳ないみたいな。
こういう幸運があるので、オークションはやめられない。
アマリアがデュクレテ・トムソンで録音した3枚目で最後のアルバム。回想録の巻末ディスコグラフィにAlvorada盤と誤記されているレコードである。
デュクレテはアマリアのLPに統一ジャケットを使っていたようで、先にご紹介した第1弾(日本ディスク盤)と地色違いで同じ写真、同じデザインを使っている。
ポルトガル・プレスだが、マスターは多分フランス・カッティング。第1弾の日本盤より音にしっかりした芯があり、低音がぐんと安定している。それと、CD未復刻の曲が3枚の中で一番多い。
"Self Title" KAPP KL-1096
2枚目のデュクレテ・アルバムに4曲追加して12インチ盤に仕立てたアメリカ盤。シャルル・アズナヴールがアマリアのために書いた "Aïe mourir pour toi" や "Paris s'éveille la nuit" など、フランス語の歌を何曲か歌っている。
手に入れるならフランス盤か、せめてポルトガル盤を、と思っていたのだが、いつまで待ってもeBayに出る気配がない。しびれを切らしてアメリカ盤を買ってしまった。
未開封未通針の触れ込みに惹かれたのもあるが、やっぱアメリカ盤はあきません。細かなチリプツ・ノイズこそないが、時折ガチンプツンと大音響の突発的ノイズが出る。盤の素材に不純物が混じっているか、プレスの際の剥離剤が凝固したのだろう。こういうノイズはホコリが原因じゃないから、クリーニングしても消えない。
ジャケットのポートレートは昔『ブスト』の日本盤LPに使われたものと同じ。発色と質感は断然こっちの方がいい。アメリカ盤て、レコード本体は手抜きだが、ジャケットにはふんだんにカネ掛けてたんだよな。中身より外見で商売していたことが見え見えだね。
ともあれ、これでなんとかアマリアのデュクレテ録音がすべて揃いました。一安心。
このあいだ発売されたライス盤の3枚組CDが、聴いてるのが苦痛なほどの犯罪的極悪音質だったので、eBayを引っかき回して手に入れたレコード。
12インチで各面15分前後の長さだから収録に余裕があり、凄いハイレベルでカッティングされている。言うまでもないが、CDとは次元の異なる生々しい歌だ。アマリアの声は充分カン高いのだが、それが迫力にはなっても喧しさにはつながらない。
アナログ録音の復刻CDでも、音より音楽を大切にした例がないわけじゃないが、大体が音楽殺しのノイズ潰しに血道を上げている。だからレコード集めはやめられない。