昭和の時代に金曜パックという深夜放送がありました その2

昨日のつづきでやんす。
あたらめて読むと面白いでやんすねぇ。
こりゃ、中学生から大学生までが夢中になって聞くはずでやんす。

　清田はぶきみな笑いと同時に、「便所に行こうぜ」とみんなに言うんです。清田の言うことは絶対服従なので、全員金魚のウンコのごとくー列となって便所へと出発したのでございます。当然小生も清田のひとことと同時に生理的欲求をおぼえ、ウンコの一員と成ってついて行ったのでございます。

　そして彼等の後にしたがって便所に入ろうとすると清田が小生に言うんでございます。
「この痴女めが！　お前男便所に入るつるりか？」

　そうです、小生はたとえポールを持っているとはいえ、今は女なんでございます。
「女便所でやってこいよ」と清田が言うんですが、小生どうしても女便所に行く勇気が出ないんでございます。なにしろ気が小さいですからね。しかし、小生まだー度も女便所とやらをのぞいたことがないので、小生もって生まれたフロンティア精神がうずきだし、入ろうとしましたが、メガネをかけた一見小学校の先生風のババアがいましたのでやめ、ひとりで先にホームに行くことにし、階段をのぼりました。小生ホームでキョロキョロしながら奴等をまっていると、一見大学生風の男が、小生に近づいて来て話しかけるんでございます。

「君、今ひま？　　お茶でも飲みに行かないか？」などとおっしゃるんでございますよ。
小生まさか男だなどとは言えずドギマギしていると、その男は変な顔をして聞きかえすんでございます。
小生ほとほとこまってしまい、小生がここで口を開いたら男であることがバレてしまい、オマエは堀の内のオカマだなア！　などとわめかれたら小生はずかしくて電車に飛びこんで自殺をする以外に道はないんでございます。

そこで小生、名案を思いつき、小生は〇〇であるから声が出ないというように、手ぶりでジェスチャーをしたんでございます。
すると彼は「ゴメン、君は声が出ないのか」などと言い、小生のことを口はきけなくても、とってもカワイラシイとか美人だなどとかぬかし、映画でも見に行かないか、などと誘うんでこぎいます。
そこに清田たちがタバコをふかしながら近づいてくるのが見えましたので、たすけてくれ、というように今にも泣き出しそうな目つきで清田に目くばせをすると、するとどうでしょう、あの悪魔はチクショー！！　　殺してやるーゥ！！　死めーェ！！　

なんと清田は犬でも追うように、手で行け行けという合図をするんですよ。
どうしてよいかわからなくなった小生は、半分男性とデートすることへの好奇心と、半分映画も見たかったので、うつろなまなざしでウンと頭をさげたんでございます。

まったく新年そうそうから、なんてことなんでしょぅネ。
その時は、すでに五時ごろ、それから映画を見、映画館を出た時は八時をすでに回わっておりました。

　小生なにしろ女性に変身しているのでございますから、ふたんはガニマタの足を内マタにして歩くということは、なんと苦痛であったかということはチャコチャンならおわかりになるでしょう。
その上話しかけられて、もうすこしで声が出そうになったことは何回もありました。
この彼、明大の三年生だそうでしたが、女装している男もわからないのですから、ヨッポド明大の男達はなにウエているんでこざいますネェ。
明大生のスケべめ！　
そして、この男は小生のことを美しいきれいだなどとしきりにほめるんでございます。
しまいには小生が好きになってしまった、などと言い出すんでこざいますよ。
小生あまりにも気持ちが悪いんで、もうすこしでオシッコをチビルとこだったんでございます。

それから彼が日比谷公園に行こうというのでついて行くと、アベックばかりでみんなチューチューやっているんでございます。
この時、小生ポールをくすぐるようないやな予感がしたんでございますが、彼が池のそばの草の所にすわろうと言うんで、小生彼の横にすわり、あの悪魔ども顔を思い出し、なんでこんなことになったんだろうと考えているうちに、小生すっかりスカートをはいていることを忘れていて、長めのスカートのすそがめくれ、小生またを開きぎみにしていたのでこぎいます。

　こんなところを見たら、この彼でなくても、小生だって欲情にかちれるのは当然なんでどざいますよネェ、ナッチャン？　
小生あわててスカートのすそをなおし、またをとじて彼の顔を見上げると、彼の目つきが変わってきているんでございます。
それはまるでキンキンの目つきというか、まさに野獣の目つきなのでこざいますよ。

小生、これはいけないと思い、急いで立ち上がろうとすると彼は、「いいじゃないか」と言うと、同時に小生の手を引き、押したおし、のしかかってきたんでこざいます。
アー！ もうだめ！　チクショー！　誰か！　誰か！　清田に清田に知らせテェー！　小生のこの苦しみを清田に知らせてーェ！　清田、オマェの責任だぞオー！　

小生あまりにも大きなショックを受け、大声で「ヤメロー！！　バカ、バカ！」とどなったんでございます。
しかし、この飢えたブタは、小生の男の声にも気づかずに小生のスカートの中に手を入れてきたんでございます。
アーッ　ハズカシィ。
そしてブタの手が小生のナニにぶつかり、小生のナニがいったいナニであるかをたしかめるようにしてから、三秒の後、彼はびっくりしてとび上がり、「なんだアーァ！！　ギャーァ！！　グェー！！」
などとわけのわからないことをわめき、小生をまるで白目から黒目がとび出さんばかりに見つめるんでこざいます。
小生急に怒りがこみ上げてきて、このブタの足をニ、三回けっとばしてやり家に逃げて帰ったのでございました。
途中着変えをするために佐藤さんの所により、あのブタにキスされた口が気持ち悪いのでウィスキーをうすめてうがいをしました。

　次の日、学校に行くと内田が清田から小生が女装をしたことを聞いたらしく小生を見て「オカマ！オカマ！」などとほざくので、小生はその場で内田に絶交を言い渡してやったのでございます。
清田たちはと言いますとしきりに、小生のあれからの行動を聞きたがるのでございますが、あのいまわしい事件については何ひとつ語りませんでした。
ハズカシィので・・・
　もし、まんがいち読まれるようなことがありましたら名前だけは言わないで下さい。
もし言われたら小生オムコさんに行けなくなりますので。
でも、わが最愛なるチャコチャンが小生をオムコさんにもらってくれるなら、どうぞ大声で言ってもかまいません。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　川崎のノリタマ　　　


川崎のノリタマさんも７０代でござんしょ？
どんな人生をあゆんでこられたんでしょうかしら。
これがきっかけに女装街道まっしぐらだったりして．．．。


↑お写真は野沢那智さまでござんす。
youtubeでも金パ（金曜パック）の録音盤がアップされているでやんす。
聞いてみるといいでやんす。