ゆうとたいへ

六十を過ぎて始めた自転車旅行、山登りをつづります

2019年5月27日 リア王

2019-05-27 | 日記

2019年5月27日 シェイクスピア『リア王』

 これは「『シェイクスピア物語集』偕成社 2009年」の中の「リア王」をまとめたものである。

 

 人間が怒りにかられるとどうなるか、ということをこの話は伝えている。

 この話は古い史実にもとづいている、といわれている。

 

 


 リア王


 

 〔イングランドのリア王には三人の娘がいた〕

 イングランドに、リアという王がいた。

 リアには三人の娘がいた。

 ゴルネリ(長女)、リーガン(次女)、コーデリア(三女)であった。

 リアは、自分が年老いたことを自覚し、自分の命もそう長くはないと考えるようになった。

 そこで、自分の治める王国を、三人の娘にゆずろうと考えた。

 

 〔リアは、三人の娘をよび、自分をどう思うかをたずねた〕

 リアは、三人の娘をよび、一人づつ自分をどう思うかをたずねた。


 ゴルネリ(長女)はこう答えた。

 「私は、自分の目よりも、また、私の命と同じくらい、お父さまを愛しています」


 リーガン(次女)はこう答えた。

 「お姉さまと同じくらい愛しています。いいえ、それ以上に愛しております」


 コーデリア(三女)はこう答えた。

 「お父さま、なにもいうことはありません」

 「ただただ、娘としてお父さまを愛してています」


 三女はまだ年が若く、上の姉のようにおせいじをいうことができなかった。

 

 〔リアは三女を城から追い出した〕

 リアは、三女に対しひどく怒った。


 「なに、なにもいうことはないだと!

 おまえは親不孝者だ! 人でなしだ! いままでのわしの恩をなんとも思っていないのか!

 ようし分かった!

 上の姉二人には、国土を半分に分けてゆずるが、おまえには何も残さない」


 リアは、国土を半分に分け、それぞれを上の姉二人にゆずったが、三女には何も与えず、城から追い出してしまった。

 コーデリア(三女)には、その時、結婚の決まっていた相手がいた。

 しかし、その相手は、コーデリアが王国をゆずってもらえないのが分かると、結婚の話を破談にしてしまった。

 その当時、フランスの王は、イングランドのリア王の上の姉二人は欲張りで、コーデリアは心の優しい娘だと、知っていた。

 その後、コーデリアはこのフランスの王と結婚した。

 

 〔退位したリアは、することがなくなった〕

 国土を二人の娘にゆずってしまったリアは、毎日、ひまをもてあました。

 それでリアは、ゴルネリとリーガンのところに、一ヶ月毎に家来をつれて遊びに行くようになった。

 

 〔リアの家臣グロスターと二人の息子〕

 リアの家来にグロスターという老齢の男がいた。

 グロスターにはエドガー(長男)という息子と、エドモンド(次男)という母の違う息子がいた。

 長男エドガーは心優しい男で、次男エドモンドは不良であった。

 

 〔エドモンドの悪だくみ〕

 エドモンド(次男)は、家からエドガー(長男)を追いだし、なんとかして自分が家を継ごうと考えていた。

 エドモンドは、まず、兄の筆跡をまねて嘘の手紙を作った。

 その手紙には、エドガーが父を追いだすたくらみが書いてあった。

 次に、自分の胸に、刃物で傷をつけた。

 エドモンドは、こうした準備をした後で父のところに行き、こう告げ口をした。

 自分の胸の傷を見せながら、

 「父上、兄上にやられました。

 兄上は、父上をこの城から追い出そうと考えています。
 
 これは兄上が書いた手紙です」

 あさはかにも、グロスターはエドモンドの言葉を信じ、エドガーを城から追い出してしまった。

 年老いたグロスターは、だまされたとも知らず、本気で息子エドガーに裏切られたと思い、もう世の中には信じられるものはないと悲観してしまった。
 


 〔ゴルネリとリーガンは、リアを城から追い出してしまう〕

 ゴルネリ(長女)とリーガン(次女)は、リアが大勢の家来をつれてたびたび遊びにくるので、ほとほといやになった。

 ゴルネリはリアに、こう言った。

 「お父さま、おおぜい連れて遊びにくるのは、もういいかげんにしてください。

 あそびにくるのなら、半年に一度、連れてくる家来の数は五十人にしてください」

 さらに時が過ぎると、ゴルネリは「連れてくる家来の数は、二十五人にしてださい」、「十人にしてください」、「二人にしてください」、最後には「もう来ないでください」といった。

 リアは、次女リーガンの所へも行ったが、ゴルネリと同じようなことを言われた。

 とうとうリアは、身を寄せるところがなくなり、すすきが生え、風が吹きすさぶ野原を放浪しなければならないようになった。

 

 〔グロスターに追い出されたエドガー(長男)〕

 エドガーは、父を追放しようとした疑いで逮捕状が出ていた。

 そのため、エドガーは乞食に変装し、食べ物をめぐんでもらいながら、いなかを放浪していた。

 その時、リアも荒野を放浪していた。
 
 リアは、なぜ王であった自分が、自分の娘達に城を追いだされ、すすきの原をさまよい歩かねばならくなくなったのか、理解できず、心の中は怒り狂うをばかりであった。

 リアは、身分を隠し乞食に姿をかえ荒野をさまよっていたエドガーに会った。

 ある日、リアの家臣であったグロスターは、変わり果てたリアを見つけ自分の城にかくまった。

 しかし、グロスターは、乞食に変装していた自分の息子エドガーが、リアのそばにいたのに気がつかなかった。

 

 〔二人の姉妹はリアを殺すことにした〕

 長女・次女は残酷なことを考え始めた。

 父であるリアを殺すことに決めたのだ。

 これを知ったグロスターは、リアをドーバーに逃がし、自分は城に戻った。

 二人の姉妹は、グロスターがリアを逃がしたことを知ると、なんとグロスターを捕まえ、罰として、ナイフでグロスターの目をえぐりだしてしまった。

 

 〔目をえぐりとられたグロスターは暗闇に放り出された〕

 暗闇の中に放り出されたグロスターは、大声で自分の息子であるエドモンドの名前を叫んだ。

 それを聞いたリアの次女リーガンは、ばかにしたようにグロスターにいった。

 「どうしてエドモンドの名前を呼ぶの。おまえを裏切り者としてうったえたのは、エドモンドなんだよ」

 これをきいてグロスターは真相を知った。

 邪悪な弟が、善良な兄をおとしいれ、自分をだましたことを。

 グロスターは、二つの目を失って初めて、真実を知った。

 グロスターの召し使は、グロスターを、乞食に身をやつしていた長男エドガーのもとへ連れて行った。

 グロスターはもう死ぬことしか考えられなかった。

 グロスターは、本当は実の息子である“乞食”に、ドーバーに連れて行ってくれとたのんだ。

 

 〔グロスターはドーバーにいった〕

 ドーバーには白い崖がある。

 そこから飛び降りて死ぬつもりだった。

 “乞食”はわかったふりをした。

 グロスターはたずねた。

 「そろそろ着くころか」

 “乞食”は答えた。

 「はい、もう着きました。

 うわあ、ぞっとするほど高いや。

 下の岸がすっごく小さく見えます」
 
 「よし、ありがとう。もういっていいぞ。さ、金をやる。さ、いけ、いけ」

 グロスターは、昔、間違って追い出した息子に心の中であやまり、飛び降りた。

 グロスターは飛び降りたものの、地面につまずいて倒れているだけの自分を発見した。

 グロスターは、1メートルほど下に落ちただけであったのだ。

 

 〔乞食に身を扮していたエドガーは〕

 乞食に身を扮していたエドガーは、今度は違った人間になりすまして、父グロスターに近づいて行った。

 「だいじょうぶですか。あんな高いところから飛び降りて生きているなんて奇跡的ですよ」

 こうして、エドガーは、昔ひどい誤解を受けながらもそれに耐え、年老いた父を立ちなおさせることができた。

 しかし、エドガーはまだ正体を明かす時ではないと思っていた。

 


 〔ドーバーにて〕

 イングランドのドーバーは、海を挟んでフランスと接している。

 フランスにはリアの末娘コーデリアが嫁いだ先だった。

 このドーバーで、フランス王とその妻コーデリア、フランス軍、リア、盲目のグロスター、エドガーが会った。

 

 〔ゴルネリ、リーガン、エドモンドは手を結んだ〕 
 
 ゴルネリとリーガンは、グロスターの腹黒い息子エドモンドと手を結んだ。

 エドモンドに率いられたイングランド軍と、フランス軍はドーバーで会戦した。

 エドモンドは緒戦の戦いで、フランス軍に勝ち、リアとコーデリアをつかまえて城に帰還した。

 エドモンドは、ゴルネリとリーガンに影響され、リアとコーデリアを憎むようになり、二人を城の地下牢にとじこめた。

 エドモンドは、二人が幸せそうにしているのが許せなかった。

 エドモンドは、コーデリアを殺せと命令した。

 エドモンドは、再び、フランス軍と戦うためドーバーに向かった。

 

 〔ドーバーで兄と弟は決闘をした〕

 ドーバーでエドモンドを待っていたのは、兄のエドガーであった。

 エドガーとエドモンドは決闘をすることになった。

 エドガーの剣が、エドモンドの胸を突いたとき、すべてが変わり始めた。

 エドモンドがまだ息のある時に、ゴルネリ(長女)がリーガン(次女)を毒殺して、ゴルネリは自殺したという知らせがとどいた。

 それをきいたエドモンドは、はじめて後悔し、次の命令を出した。
 
 「これ以上、罪を犯すことはできない。地下牢にとじこめてあるコーデリアに死刑を執行してはならない。

 リアは、すぐに釈放しなければならない」


 しかしすでに時遅く、伝令が城に着いた時には、コーデリアは縄で首を絞められ殺されていた。
 
 牢には、自由になったリアがいた。


 リアは叫んだ。

 「コーデリは死んではいな。ほらみろ、羽根をかざすと、息で羽根がゆれる、助けをよべ!

  ・・・・・・・・
 
 いや、よばなくてよい。そのままにしておけ、コーデリアはもうもどってこない」


 リアはやっと正気にもどり、コーデリアの死を受け入れた。

 その瞬間、リアの心臓は動きをやめ、娘を両腕にだきしめたまま死んだ。




2019年5月27日 自分の顔が嫌い

2019-05-27 | 日記

2019年5月27日付産経新聞

人生相談

「自分の顔が嫌いです」

・・・・

自分の顔が嫌いというおまえに!

伊藤守『今日を楽しむための100の言葉』第3巻

27.

どう思われる?
誰もあんたのこと何ともおもっていないよ。
申し訳ないくらい、あんたのことなんて見ていないよ

53.

ありのままの自分を全部見せて、
それを人が三十点と評価するなら、
いいじゃないか、三十点から始めれば。

94.

ダイエツ卜する象なんていない。
パンダらしく振る舞おうとしているバンダなんて、見たことあるか?
おまえはおまえらしく振る舞うしかないだろう!

・・・・

動物は相手のどこを見ている?

「目」を見て、目の中の「考え」をさぐっている。

動物は相手の何を聞いている?

「うなり声」の中の「考え」をさぐっている。

・・・・

相手はお前の目の中を見ている。

相手はお前の声の中の考えを聞いている。

ただそれだけだ。

・・・・

株を持っている会社から、株主総会招集通知がきた。

代表者の写真が出ている。

いい顔だ。

40年働けばこういう顔になってしまう。

おまえも40年働けば、そういう顔に、なりたくなくてもなってしまう。

なりたくなくてもなってしまうから、心配はいらない。






2019年5月27日 ゲームをしているお前

2019-05-27 | 日記

2019年5月26日付産経新聞

世界保健機構(WHO)は、ゲームのやりすぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を、治療が必要な依存症と認定した。

・・・・

一日の半分を、スマホでゲームしているお前!

「どう思われる?
誰もあんたのこと何とも思っていないよ。
申し訳ないくらい、あんたのことなんて見ていないよ」

    伊藤守『今日を楽しむための100の言葉』第3巻


年をとれば、認知症になり、どのボタンを押せばどうなるかなんて、分からなくなりますから。そのときにはやめられますから。安心して続けてください。