191103_大阪の泉佐野市は「ふるさと納税」の「返礼品」に、アマゾンギフト券などを配り、497億円の寄付金を集めた。ここで、一番もうけたのはアマゾンだ
2019年11月2日 産経新聞 p.24
大阪の泉佐野市は「ふるさと納税」の「返礼品」として、アマゾンギフト券などを配り、497億円の寄付金を集めた
この仕組みには、二人の確信犯と、一人の利益を得たものがいる。
一、ほんとうはいけないと思っているが、やった方が勝ちと思っている「泉佐野市」、
二、ただ、金がもうかるから、泉佐野市からアマゾンギフト券を買う「お金の欲しい普通の人」
三、ギフト券が売れて、もうかったアマゾン
仮に、アマゾンが、泉佐野市に、ギフト券を額面の7割で売ったとすれば、アマゾンは378億円の手取りがあった。
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一、ふるさと納税が始まった理由
ふるさと納税が始まった理由は、
へき地の山村は、人口が減って金がない、
こいう村を助けるには、都市に住む人に、その村の特産品を買ってもらい、その村の収入を増やすことだ。
そのためには、
都市に住む人々に、その村でとれる特産品を買ってもらい、同時に、その特産品を買うために使った金は、税金を払ったものとみなして、払った代金と同じ額だけ、自分の住んでいる市町村の住民税を減らす、ということにした。
こいう制度にすると、
特産品を買った人は、特産品を得(これはお金を出し、且つ、特産品を得たのだから損得はなし)、他方、自分の住んでいる市の住民税は減るので、二つあわせれば、得する、ということになる。
ということで、
特産品を買う人が、得するしくみとなっている。
これは、へき地振興の目的から言えば、へき地の農家にも金が渡るので、一理はある。
しかし、
その「特産品」が「アマゾンのギフト券」となったら話は違う。
ギフト券を買った人は、お金を商品券に買えただけであり、損も得もないが、支出した金額だけ、自分の住んでいる市に支払う住民税は減るので、メリットはある。
泉佐野市は、商品券の仕入れ代金と販売代金の差額(つまり利益)が手に入る。
商品券を買った人が住んでいる市は、住民税が減るので損をする。
零細農家は、見捨てられた。
アメリカ企業のアマゾンは、ギフト券が大量に売れてうれしがっている。
政府は、日本の零細農家を救う目的で始めた「ふるさと納税」制度が、アメリカ企業を助けるために使われているので、驚いている。
この問題に対し、
泉佐野市は、「合法」だといい、
国は「違法」だという。
アマゾンは、だめでもともとなので黙って観戦している。
そして、二人は、裁判で争うという。
国・泉佐野市は、ほかにしなければならない問題がたくさんあるのに、
こんなつまらない問題・・・
つまり、零細野菜農家には金を払わず、
お金持ちのアメリカの企業に金を支払うということは善か悪か・・・
という、結論は決まっている問題を争うため、
国、自治体、裁判所の中から、年間の給料を一千万円以上払っている人を何人も集め、どちらが正しいか決めようという。
ギフト券を買ってもらえるアマゾンは、この争いにあきれながらも、同時に、泉佐野市が勝ち、これからもギフト券を買ってもらえることを期待している。
そして、零細野菜農家は見捨てられる。
そして、その時には、この制度の名前を「外国企業援助納税制度」と名前を変えるべきだ。