ミクロもマクロも

心理カウンセラーが気ままに書き続ける当たり前

13才の恋に

2008-06-16 23:01:47 | Weblog
新しいことに挑戦する時、大体何でも、一人で黙々と、って言うほどのことでも
ないのですが。
その数の多さに驚く「検定試験」。布団作り、畳職人、いわゆるモノ作りのプロを
認定する(級別)試験から、その道の専門家達に与えられる様々な、ホント、
エーッこんなものまであるの?
の中から、昨日、ある受験会場へ足を運んできました。
その、他言しないで手続きを済ませ、とんだ落とし穴だった(想像もしてなかった)
大嫌いな写真を貼り付けた受験票と筆記用具、細々した必需品と、読みかけ「赤毛
のアン」原書をバッグへ入れて、某大学へ。
どこかでけじめをつけたかった英語の、いわゆる「英検」受験です。

素晴らしいお声で、ニッコリ微笑んで、
“Good morning ! every one. How are you?”
恋に落ちたのです。ええ、正に
“Fall in love”
13才の女の子が恋したそれは、その先生のお口から漏れる英語でした。
感激の英語の授業でした。素晴らしい中学3年間を過ごしてきました。

光陰矢のごとしは、幻影を引きずる年月でした。あっという間に、容赦なく膨大な
時間が過ぎ去り、ポワ~~~としたまま、片想いで白髪を頂く年令に達してしまっ
たのです。
あの、3年間が忘れがたく、その後も英語と接してきましたが、いつも落胆。
英語は好きなのです。けれども上達しないのです。覚えられないのです。
何もかも、全て、私の英語は、誰かが代わって教えて下さるのではいけなかったの
でした。
どんなに教え方が上手な方でも、・・・・・ダメだったのです。

孫を抱く年令に達した私です。けれども、いつもうごめくどこかに住み着いている
ような感覚が、私の中の英語に気付いたのは最近のことでした。
片思いの、せつない、けれども いとしい私の、13才の感動の存在であった英語。
その私が恋した英語と、大人らしい決別をしなくてはいけないって、どこかで思い
始めていました。英語との付き合いが、今後あろうとなかろうと、どこかでけじめ
をつけなければって。小さく笑ってしまいます、バカねぇって。

それで、ものぐさ女は、インターネットで検索して、さっさと申し込みです。
決心すると即行動の女です。ホットなうちに行動へ移します。コンビニから受験料
を送付。
「エエーッ、写真添付なのー?自己証明が必要だなんて、信じられないわ」
グジャグジャ言っても始まりません。今は便利な無人撮影ボックスなどがあって、
あ~~、不愉快!でも、パチリ!ウン十秒後に、見たくもない写真が出てきて、
それを受験票へ貼りました。なるべく見ないようにして。

当日。
駅からゾロゾロ同じ方向へ向かう若者達。小学生と、その保護者と見受けられる
人達も。やっぱり世間は子どもから英語を!ということなのね。
ふ~~ん、これが今の日本ってことなの。
日本中で実施された「英語検定試験」。膨大な受験者数だったのでしょう。
三々五々入場してくる若者達。
確認はしなかったけれど、多分否絶対に、高齢者は私一人だったと思うわ。
ざっと見渡せば、ほぼ全員、試験開始まで参考書と首っ引きな様子です。
私は、そのへんが潔いのか、諦めがいいのか、関係物は持ち込みません。
唯一英語の“Anne of Green Gables”を読んでいました。

受験票の写真面を上にして、電源を切った携帯電話も机の右隅に置いて、
スタートです。
筆記40分・・・35問、2分のインターバル。
続いてリスニング28分・・・30問
13:30~14:40は、粛々と。取り敢えずは埋めて終わりました。
出来ようと、出来なかろうと、途中退場なんて出来もしない、これっぽっちも
余裕のない出題に、ビックリ。
見極めのいい私なのです。考えても仕方がないって状況は、さっさとクリアです。
モタモタなんかしません。さっさと進行です。
2回のスペイン語受験の時、真っ先に退場してきた私は、まあそんなものでしょう
って思って臨んだのですが、とんでもない思い違いで、ギリギリ間に合うかどうか
の問題作成で、慌てる自分に驚いたのです。エッ私もちょっとパニック?
嫌だ!慌ててるじゃない。
エーッ、こんな私も居たのねぇ。ホラホラ、焦ってる私よ。

新鮮な驚きです。こんなスリルはかつて経験したことがない、記憶にないという
スリルじゃあありませんか。少々慌てている自分を眺め(意識上)、それを面白
がっている自分に出会い、いや~~~、たまりませんなあ、なんて、その状況の
何もかもが面白かったのです。
帰り途中、外出中だったウチの宇宙人に運良く拾って貰って。
「面白かったわよ~、焦る自分に出会ったりしてね」
「娯楽としては、ちょっと高いかな英検は」
「そうねえ、私にはそれを(資格)何かに役立てようなんてこれっぽっちも思って
るわけじゃないから、純粋な娯楽ね。でも、今日のスリルも加味すると、そんなに
高くはないわね」
「漢検受けてよ」
「ウン、旧友から勧められてたし、読めても書けない漢字がいっぱいって、
情けない現状だから、受けてみようかなっては思ってたのよ」
ハイ、これも決まり。
いつものスペイン語レッスンの帰り、本屋へ寄って、わき目もふらずに実用コーナー
書棚へ。漢字検定問題集を1冊購入。他のコーナーは無視!
さっさと本屋を後にします。

ケイコサンが、
「いいですねえ、レイコサンはお好きなことが出来て幸せですね」
「ええ、お陰様で。でも、どなたも、みんな、お好きなことをしてるのよ。今一番
したいことをね。その対象がそれぞれ違ってもね」
そうなのです。比較も善し悪しも、無駄なことです。人は好きなことをして生きて
いるのですから。
これからも、私の「何か面白いことはないかい?」の旅(?)は続きます。
七夕の頃、合否がわかります。
これでやっと、13才の恋に別れを告げられるような気がします。新たな出会いに
なればそれはそれで楽しいものになるでしょう。