木漏れ日の雑木林

金剛山の西山麓で里山の保全活動を行っています。自称若者集団ですが、実態は?

ハザ掛けの風景

2022年10月06日 05時35分00秒 | 棚田

10月に入り当地でも稲刈りが始まったようだ。当地は丘陵に連なる棚田地帯、段々の形状に狭小の田圃や畑が並んでいる。従って機械化の恩恵が少なく、師匠宅のようにコンバインや乗用田植機が使える農地は限られてくる。稲刈りにおいても同様で、コンバインの使用は少なく「バインダー」と呼ばれる歩行式稲刈り機が使用される事例が多い。ご存じの方も多いかと思うが、エンジンで駆動しながら押して歩き、一条づつ稲を刈り取って結束していくタイプである。コンバインに比べると効率性でかなり落ちる。しかも「ハーベスター」と呼ばれる機械を使った脱穀作業が別途必要となってくる。手間暇の掛かること甚だし。

この稲刈りから脱穀作業までの間に垣間見られるのが「ハザ掛け」と呼ばれる風景である。刈り取った稲を脱穀するには天日乾燥が必要でその為の装置が稲木である。田圃に丸太を設置し、刈り取った稲を天日で乾燥させるのだ。牧歌的な風景で、農村の特徴的な景観と言えるかも。但し、機械化の進行で平野部ではほぼ見られ無いようだ。上述したように我々が活動する赤阪村は山村地帯、機械化の活用が困難な地域だ。まだまだハザ掛けの光景が一般的である。

バインダーの使用やハザ掛けの光景など、山村地帯の稲作には労力を必要とする場面が多い。少子高齢化の影響もあるだろうが、後継者に恵まれないのは必然かとも思える。師匠宅のように息子氏の活躍が見られる事例は少ないのだ。田圃を見渡しても、動いておられるのは60代から80代と思しき老夫婦ぐらいかな。ハザ掛けの光景も何時までみられるのか、少なからぬ不安がよぎることも。

文化遺産とも表現できる「ハザ掛けの光景」、何とか残していきたいものだが、山村農業の継続如何に掛かっている。我が国が機械を使用した大規模農業で食料を確保するのには無理があるだろう。小規模・家庭式農業が基盤となるだろう事は見逃せない視点かと思うのだが。

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稲ワラを有り難う

2022年10月05日 04時58分08秒 | 棚田

どうやら師匠宅の「稲刈り」も目処がついたようだ。一段落といった印象かな。いつものパターンだが、師匠から声がけがあったみたいで、「大御所」が大きな声と身振りで手招きしている。師匠の田圃に入り込んで、稲ワラを結束中の模様、例によって「稲ワラの提供」があったみたいだ。師匠宅は既述のようにコンバインを活用して「稲刈り」を行われる。ご存じかと思うが、コンバインは刈り取った稲から籾を収奪し稲ワラそのものは粉砕して散布する。従って稲ワラは残らないのが基本だが、一定の操作を行う事で稲ワラを残すことが可能なようだ。師匠は息子氏に指示し、我々のために稲ワラを残してくれた模様。稲ワラは農業用資材として重宝するもの、有り難い配慮だ。

声がけしてくれた「大御所」は早々と稲ワラの結束中だ。稲ワラの一部をロープ代わりにしてワラを括り、畦道の一角に積み上げている。彼はスイカやカボチャの栽培を行うので、稲ワラは必要不可欠のようだ。敷きワラとして活用するのだろう。

子狸は籾殻中心で稲ワラは余り使用しないが、それでもあればあったで重宝する。頂戴することにしたが、本日は所用と日程の重なりで搬送が困難、明日運ぶことにした。ということで、翌日師匠の田圃を訪ねれば、田圃が真っ黒に変色していた。しまった、早々と稲刈りの残滓を焼却されたかのようだ。稲ワラには遅かったのかと後悔すれば、何と隅の方に残された稲ワラが積み上げてあった。仲間達が搬送した残りを、師匠が未だだろうと取り置いてくれたようだ。感謝して稲ワラを搬送することに。分量は一輪車で2台分あった。見計らったように、子狸の分と例の「百姓候補生」氏の分との、必要量が残されていた。稲刈りが終わった田圃は野焼きを行うのが慣例である。稲刈りの残滓を焼却するのと同時に、害虫等を焼き殺す目的があるのだろう。田圃は真っ黒にと変色するが、必要な作業のようだ。茅場で新芽の発芽を狙って野焼きするのと同じ理屈かと。黒焦げとなった田圃を眺めていると、一仕事終わったなと実感する。何せ1年に1回しか体験できない稲刈り作業、農に専従したとしても生涯に40回前後しか体験できないのだ。思えば貴重な現場に遭遇出来ているのかも。

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稲刈り始まる

2022年10月03日 05時41分26秒 | 棚田

師匠の田圃で「稲刈り」が始まった。例年だと10月中旬なのに、9月の下旬に始めるとは何事かいな・・・・・そんな疑問もあって師匠に問うてみた。すると「合わせんとなあ」との返事、つまり主導権を握る息子氏の日程にあわせたそうだ。結果、品種も替えて早生種を選択したとか。当地ではまだ稲刈りは始まっておらず、師匠宅が一番乗りみたいだ。主役の息子氏はサラリーマン、本職の都合もあるのだろう。休暇が取りやすい時期に稲刈りをセットしたみたいだ。

師匠宅は恵まれていて、大半の田圃が道路沿いにある。従って機械類の使用が可能なのだ。本日も真の主役はコンバイン、エンジン音をうならせながら田圃を走り回っていた。無論、オペレーターは息子氏である。師匠は腰を痛めておられるので、総監督の立場だ。コンバインの活躍で短時間で終わりそうな勢い、やはり機械は速い。恐らくだが、稲作作業では年間十数日位しか田圃にははいらないのではなかろうか。機械化の進行で、労働時間はグッと短くなっている。その分、機械への投資は膨大になってくるのだが。

当地では数少ない事例だが、珍しくも一家総出の稲刈りみたいだ。総監督の師匠を筆頭に、息子氏、大女将、若女将と大人は総動員だ。なかなか見応えのある光景で、かっては何処にでも存在した風景なのだが。最近は農家の子どもでも稲刈りや田植えを知らずに育つのが少なくないとか。その分、ゲームソフトの習熟や習い事に時間を割かれるのかも。

ともあれ秋晴れの穏やかな1日、稲刈りには打って付けの天候のようだ。家族総出のある種のイベントでもある。普段はめったに農作業をされない若女将も、鎌を持って隅切り作業に従事しておられた。家庭円満の元でもあるのだろう。新米が食卓に上るのもまもなくだろうか、品種の名前を聞き忘れたが、長年活躍してきた「ヒノヒカリ」はお払い箱となった模様だ。

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ヒガンバナ満開

2022年09月25日 05時28分08秒 | 棚田

お彼岸を迎え、符節を合わせたかのように「ヒガンバナ」が咲き誇ってきた。稲穂が実り、棚田が真っ黄色に染まっている中、赤いラインを引いたかのようだ。不思議なもので、まるで体内時計を持ってるかのように時節を知ってるようだ。村中は大半が棚田地帯、小さな田圃が段差を重ねて連なっている。大半が収穫期に入ったとみえ、頭を垂れた稲穂ばかりなのだ。例の流行り病の影響なのか、観光の人々は少なく、人影はまばらだ。時折見かけるのは農作業を行う高齢者の姿ぐらい、賑やかさは皆無だ。ヒガンバナが余りにも咲き誇っているので、車を止め、農園へと直行するのを止めてしばらく歩き回ってみた。田園漫歩だ。

農道から畦道、畦道から再び農道へと・・・・・ゆったりとした時間を楽しみながら散策する。仲間達の農園にも訪れてみるが、冬野菜の植え付け準備が進行中のようで、耕耘された畝が其処彼処に広がっていた。歩く道すがら、足下にはヒガンバナが咲き誇って、踏みつけ無いように歩くのが困難なほど。畦道に沿って植え込まれたようで、道筋にほぼ並行なのだ。聞けばモグラやネズミが田圃に入り込むのを防止する為だとか。個人的な印象だが、毒々しいほどの真っ赤な姿を見せているのは有毒のせいかと。戦時中、食糧難でヒガンバナの球根を掘り出し、毒素を除去して食料とした事例もあったようだが、やはり中毒症状が出てしまったようだ。

上述のような事例が発生しないことを願うが、自給自足が困難なお国柄、「貨物船」が平穏に物資の流通を行えるような時勢を期待したいもの。棚田の狭い田畑でも、稲作や野菜作りを行って幾ばくかの食料生産に寄与したいものだ。農地は一端荒らしてしまうと、元に戻すには多大な労力と時間を要する。継続する事が、農を農としてあらしめ、食料生産も可能としてくれるのだ。

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頭を垂れる稲穂

2022年09月22日 06時35分37秒 | 棚田

田圃の状況が黄金色に変わってきた。平地部に比べ環境が厳しいとはいえ、季節は変わりなく巡るようだ。当地もあと数週間すれば稲刈りが始まる。家族総出の賑やかな姿は消え去ったが、それでも実りの秋は有り難く厳粛に受け止めたいもの。日本人が稲作民族で、米を主食とする姿は永久的に変わらないかと思っている。瑞穂の国、瑞穂の民なのだ。米の消費量は減ってるとはいえ、品種が改良されて次々と美味しい米が出現しているようだ。中には5キロの袋が4000円程もする品種もあるとか。未だお目に掛かったことは無いが、相当美味しいとの噂が。当地での栽培は、「ヒノヒカリ」と呼ばれる品種がメイン、味覚は個人的な傾向があるので評価は置いときましょう。子狸は主に雪国産の米を愛用しております。

さて肝心の稲穂だが、台風14号にもめげず大半が無事に成長しているようだ。実りの程が十分なのか、多くが頭を垂れだした。ズッシリと重たい実が詰まっているものと推測している。画像は師匠の田圃だが、棚田の傾斜地にも関わらずしっかりと実っているようだ。師匠の田圃は恵まれており、傾斜地の棚田にも関わらず機械類の使用が可能だ。従って、田植えは「田植機」で、稲刈りは「コンバイン」で・・・・・と機械化が進んでいる。しかも腰を痛めておられるので、専らサラリーマンの息子氏が余暇を利用して助っ人に。機械の使用が可能なら、年間の従事日数が少なくても稲作は可能なようだ。最も設備投資の額が大きいのと、米価の低迷で採算は取れない模様。自家用のみだろう。

こうした状況がもたらすのか、農家の子どもでも「稲刈り」や「田植え」を体験しないまま成長する者も少なく無いとか。せっかくの環境にありながら、環境を生かせぬ姿はかわいそうでもある。気象異変は続いている、お隣の中国では、華北は砂漠化、華南は干魃・・・・・人工降雨の実験まで行われているようだ。農業国家と思われがちなお隣だが、実際には食料輸入国家、気象変動の危機は我が国以上だろう。最も輸入に頼るのは瑞穂の国も同じ事、最終的には食料を自家生産出来る者だけが生き残るのかな。

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