日々の生活から

毎日の生活で感じたこと・考えたこと

否定しない習慣/林健太郎著/フォレスト出版

2024-07-11 21:53:19 | 
私が子供から「お父さんは否定するから嫌だ」と言われ、「否定じゃなくて事実だろうが!」と思いつつ、本書の中でも、これは否定と書かれていた。
子供に対して、期待と上から目線があるので、否定しやすい状況だ。否定では、言葉が相手に届かない。
「今日はどんな機嫌で過ごしたい?」と自分に問いかけることが書かれている。機嫌は習慣であり、自分で管理できるもの。
「否定しない」は"技術"であると同時に"習慣"でもある
否定しないことを習慣としよう。
習慣とするために書かれていたのは、振り返りと「実況中継」によるセルフコーチング。
まずは、ここから。

人生のレールを外れる衝動のみつけかた/谷川嘉浩著/ちくまプリマー新書

2024-06-20 21:43:50 | 
自分の才能、内的なモチベーション、やって嬉しいこと。こうしたものに従って生きることに憧れる。
本書にも取り上げられている「Dark Horse」は、そうした才能・衝動を活かして、大学進学など一般とは異なるルートで成果を上げている人の話に、「自分にも何かできる」と期待している。
Voicyのbook cafeで著者の話を聞いて、自分の偏愛、衝動を見つけることを期待して、手に取った。
本書では、衝動とは何かを丁寧に考えた後に、どうすれば衝動が見つかるか、衝動をどう生活の中で使うか(「実装する」と書かれている)について書かれている。
自分の衝動を見つけるには、自分を観察する。自分にインタビューする。些細な部分にもこだわる。
また、衝動は固定的なものではなく、周りの人から影響を受けて変わったり、環境によって高まったりなど、揺らいだり変化したりする。
周りに適応しつつ、自分の方向に進む姿勢で望めば良い、というのは自分に合ったメッセージだ。これまでは、「自分の核を探さなければ」と緊張していたが、もう少しゆったり構えられるようになった。
各章にまとめがあって、読みやすかった。

成瀬は天下を取りにいく/宮島未奈著/新潮社

2024-06-02 09:07:18 | 
会社の人が、この本をとても気に入って、滋賀県に聖地巡りをした話をしていた。
カミさんも、成瀬の人目を気にせずに行動する様子に憧れを感じたとのこと。女性によく聞く「一人が怖い」を、まったく気にしない行動が気持ち良さをくれるのだろう。
成瀬の武士の口調なにうる星やつらのサクラ先生を思い出した。梨木香歩の小説にも、お菓子が常備してある家で健やかに成長した人物(主人公の友人として登場)が出てきて、その人にまた会った、と思えた。
話はスラスラと読み進められ、楽しめた。

絶対悲観主義/楠木健著/講談社+α新書

2024-05-22 21:27:52 | 
人生は上手くいかないことを前提に考えることで生きやすくなる、という出だしだが、著者の軽妙な語り口で、現代の一面が鋭く描かれている。
「婚活に見る獣性」に、男と女の本性が解説されたり、「組織力とチーム力」の解説は、経営戦略を専門とする著者ならでは。

また、著者のこだわりもいくつか語られ、軽妙なだけではない背景が見られて面白い。
多様な著作があるが「自分が面白いと思うものを書く」という筋がある。

「なるようにしかならないが、なるようにはなる」という循環するような言葉など、味わい深い話があり、これぞ新書だ。


異人たちとの夏/山田太一著/新潮社

2024-05-18 05:54:30 | 
NHKニュースで、この本を原作にしたイギリス映画が紹介されていた。
「大の大人が親に甘える姿と言うのは気持ち悪いが、親が既に死んでいるのなら、ありかもしれない」という話に興味がひかれた。
親に甘えることで癒されることは良い。ただし、そこに留まらず、外の世界に踏み出すことができれば、という条件があるが。物語でも、そこに留まれないことが悲しくも、だからこそ次に向かえるという姿が心地よかった。
家事をしない男の解説として「小さい頃は子供であれば親に承認され、そのまま結婚してもそこから抜け出さない人」というものを聞いた。しっかりと親に甘やかされることが悪いことではないが、そこに居続けたり、親の無限の愛を他に求め続けるのは、周りを不幸にする。

ザリガニの鳴くところ/ディーリア・オーエンズ著/早川書房

2024-05-18 05:42:59 | 
カミさんが私設図書館MAYUで借りてきた本。
サスペンス・推理もののドキドキもあるが、悪い意味で裏切られたと感じて、読後感はもう一つ。
湿地に住む動物たちの描写が美しい。
動物の生態は、人間の動物的本能とも繋がり、美しいだけではない部分が特に後半のストーリーと上手く絡んでいる。

選択の科学/シーナ・アイエンガー著/文藝春秋

2024-04-26 20:55:01 | 
自分の価値観を揺さぶる体験をした。そして、子供が私の価値観と違う価値観で行動することを認められるようになった。

私は、自分の欲求よりも全体の幸せに貢献することが素晴らしい、と思っている。これは自分が集団主義に陥っているだけだったのだろうか?個人主義が必ずしも、幸せにさせるものではない、と本書は語る。自分の価値観は自分が作り上げたもの、と考えていたが、借り物に過ぎなかったのか、とグラグラする。

「義務を果たす」。これは自分の大きな命題・行動原理になっている。子供たちが社会に適合できるよう、願わくば社会に貢献し、社会から必要とされるように育てることが親としての務め。周りに迷惑をかけないように生きること。幸運にもある程度の能力を持てたことを感謝し、社会に貢献すること。
この考え方が集団原理に基づいているなら、何となく陳腐なもののように感じられてしまい、ショックを受けている。

本書では自分で全て選択することだけが、人を幸せにするわけではないことも語っている。インフォームドコンセンサスに基づいて、子供の生命維持装置を外すことの選択をした人達よりも、医師団の考えに沿った人達の方が、悲しみにうまく対処できている例が多いそうだ。
選択が万能でないことを理解しつつ、有効な選択が行えるよう知識を増やし、解像度を上げ、時に専門家やチームと取り組み、選択を振り返ろう。


子どものスマホ問題はルール決めで解決します/石田勝紀著/主婦の友社

2024-02-08 17:27:26 | 

こうすれば大丈夫!という内容ではないが、小中学生を沢山見ている著者から見た現実が沢山語られている。

子どもとルールを決める。必要なのは厳しさではなく細かさ。

ルールは破られる。破られた時のことを、一発アウトではなく、運転免許違反のように決めてる。

ルールを子供と決めて、見直していく。

ルールがあっても大変な道のりになるが、少しは落ち着いて話を進める手掛かりになる。


いつも「時間がない」あなたに/センディル・ムッライナタン、エルダー・シャフィール著/早川書房

2024-02-05 20:22:47 | 

篠田真貴子さんのXを見て手に取る。 

https://twitter.com/hoshina_shinoda/status/1738594245626466416 

 

「欠乏」は人の能力を下げる。能力がないのではなく、発揮できない状態になる。 
能力がないから低所得になるのではなく、低所得では能力が発揮できない。 
所得だけなく「時間がない」という人も同じ状態になる。 
欠乏が、そうした状態させる理由が丁寧に説明されている。 

欠乏はお金のこともあれば、時間のこともある。
どちらも能力を低下させる。

欠乏のメカニズムはわかったが、対処方法はあまり書かれていない。
緊急でないことに取り組むことが遅れがちなので、重要なこと、欠乏を起こさない施策にきちんと取り組むこと。

トンネリング:目下の注目事項しか目に入らない状態。注目事項に集中して成果を上げられるが、他の大切なことを冷静に順位付けしたわけでなく見ない状態になる。 

処理能力の低下:欠乏が能力の一部を常に消費して、いまやるべきことの能力が下がる 

欠乏の罠:目の前のことをこなすために借金をすることで借金が膨らむ。毎日が回るだけでなく、突発事態に対応できるまでの余裕があって初めて安定した状態になる。何かのボーナスで借金が消えても、突破事態が起これば借金生活になる。余裕ができた時にこそ、事態を良くするための行動が必要。余裕がなければ、重要だが緊急でないことに取り組めない。余裕がある時、遊ぶ・浪費で、重要な行動を取るのが難しいが、それに取り組むことでしか、余裕は作れない。欠乏に集中しないように、欠乏・欲望以外のところに目を向けて気持ちを切り替えること。 

組織における欠乏の対処:残業で労働時間を増やしても処理能力は下がり、残業しない方が処理能力が高くなる。次のプロジェクトから借り入れをすると利子がついて状況がより悪くなる。事態を好転させるための手立てが見えない。トンネリングの範囲に入っていない人が、重要だが緊急でないために手が打たれない部分にスポットあてる、ということか。 

日常生活の欠乏対策:リマインダーによるトンネリングの最上位に入り込む。給与天引きで自動化。賢く先手を打つ(個人トレーナーを雇う、正しい食品で冷蔵庫を満たす)。長い期限を段階的にいくつかに区切る。 


未来/湊かなえ著/双葉社

2024-01-07 21:28:30 | 

新人さんが面白いと言っていたので手に取った。

確かに面白い。読み始めると、ページをめくる手が止まらず、445ページを2日で駆け抜けてしまった。

ただ、登場人物の謎の行動の原因が虐待の結果のため、納得はしても共感しきれず。

エンタメとしては良いです。


ケアしケアされ、生きていく/竹端寛著/ちくまプリマー新書

2024-01-06 19:48:53 | 

不登校など、現代の生きづらさについて、第1章の「迷惑をかけるな憲法」の説明は納得感が高かった。

昭和98年的世界、標準化・規格化、生産性が重視され、そこから外れると「自己責任」と突き放される。

その呪縛から解き放たれるには、依存先を増やし、自分の唯一無二性に出会い直し、他者と関係することが必要。

著者が子育てを通じて、自分の影となっていた思い込みに気付き、著者の専門とあいまって、ケアをすることはケアされること、という厚みのある言葉に出会えた。


今を生きるための現代詩/渡邊十絲子著/講談社現代新書

2023-12-15 19:57:21 | 

Voicy「荒木博行のBook Cafe」で紹介があった。

『今を生きるための現代詩』渡邊十絲子1 | 荒木博行「荒木博行のbook cafe」/ Voicy - 音声プラットフォーム

『今を生きるための現代詩』渡邊十絲子2 | 荒木博行「荒木博行のbook cafe」/ Voicy - 音声プラットフォーム

「詩は声に出して読まなければならない」は現代詩に当てはまらない、と勇気づけられた。

現代詩は「手触り」とも言っていた。その手触りを得るには、ある程度の詩を読む経験が必要だとも書かれていた。

作者は中学生の頃から、詩に魅力を感じて、書き写していた。

こうした「好き」をベースにして、解説をしてくれる本は嬉しい。

クラッシック音楽に対しても、こうした「好き」をベースにした本を読みたい。


いま、ここで輝く/おおたとしまさ著/エッセンシャル出版社

2023-12-03 21:03:31 | 

次男の成績が学年半分に満たない。生活態度も遅刻ギリギリに出かけるなど、褒められたものではない。

NHKプロフェッショナルの流儀で、妻が見つけてくれた井本先生の授業は興味深かった。中高一貫の進学校で教えながら、塾でも「考えさせる」授業をしていた。

進学校や塾でできる子を伸ばす変わった先生、位にしか思っていなかったが、この本でもっと深い人間を育てようとしていたことに気付けた。

井本先生には脳性麻痺を持つ兄がいる。

「だって兄貴にはどうしたって無理なんだから。与えられた身体的条件や能力や、自分ではどうしようもできない環境によって、得られるものと得られないものがあるのは事実だと思いますが、だとしたら、そこでたまたま得られたものに本当の価値があるわけがない。真理が公平でないはずはないから」

井本先生は、児童養護施設にも通い学習支援をしている。そこでは進学どころか落ち着いて座ることが困難な子供たちもいる。子供と学びについて大きな影響があると言う。

次男の問題行動に、私はどう向き合えば、改善するのかを考えているが、ひとつのヒントがあった。

自分がイラッとしてしまうということは、そこに自分の中にもある弱さを見出しているはずなんです。だからイラッとしてしまうんです。その子の中にある未熟な部分、弱い部分を認めてあげることは、結局は自分自身の中にも同じくある未熟な部分、弱い部分を認めてあげることになるんです。だから僕は、「子どもたちのことを承認する」なんて言ってますが、実は、子どもたちを通して自分自身を解放させてもらっているだと思うんです。