山の上のロックの永~い旅(5)

2016-02-11 10:19:23 | 童話
何年か経った後の大雨で僕は少し動き出したのを感じた。
ズズッ、ズズッと松の木のおじさんの根元が少しずつ遠くなってきだした。

『松の木のおじさん、僕は海に向って進み始めたみたいだ。おじさん、また今度ね。』
『あいょ、元気でな。』
『兎さんや友達のみんなも元気でね。』
『バイバ~イ。』
『みんな、みんな、楽しく遊んでくれてありがとう。バイバ~イ。』
『みんな見えなくなってしまった。』

僕はズズッ、ズズッと森の中を滑って行った。

今度は転がらないので楽だったが、ゆっくりと時間をかけて移動して行った。

ズズッ、ズズッとゆっくりと滑っているので、蛇やネズミやリスたちにも追い越されたが、ず~と動いて行った。

暫くすると水の流れる音が聞こえ始めた。
『あっ、冷たい。』

僕のお尻と背中が水の中入った。
『ここは小川だ。』

僕は綺麗な水が流れている小川の中で止った。
山の上からの雪溶け水が流れ込んでいる場所なので水が少なく、魚は居なかった。