20センチの巨人(2)

2016-03-26 10:58:33 | 童話
『本の中の巨人さん、消しゴムを取ってみてよ。』
『そんな高い所にある消しゴムには手が届かないよ。』
『さっきはサイコロを投げ返してくれたでしょ。』
『サイコロはわしの手に落ちてきたから投げ返せたんだよ。』
『ふ~ん、そうなんだ。それでは、今度はど~お~?』
僕は消しゴムを本の上にポトンと落としてみました。
『ああ、消しゴムが届いたよ。ほれっ。』
と言って消しゴムを投げ返してくれました。

『置くのではなく、ポンと落とすといいんだね。』
『そうだね、本の中は引力が小さいので、わしの所まで落ちてこないんだよ。』
『ふ~ん。引力ってな~に?』
『みんなが居る地球が引っ張っている力だよ。』
『その力は僕よりも強いの?』
『そうだよ。君よりもずっとずっと強いんだよ。』
『ふ~ん、巨人さんよりも強いの。』
『ああ、わしよりもずっと強いよ。』
『お月様にも引力は有るの?』
『ああ、お月様にも引力は有るよ。だけれど、お月様の引力は地球よりも小さいんだよ。』
『じぁ、地球とお月様が力比べをすると地球のほうが勝つよね。』
『そうだね、地球のほうが勝つね。』
『巨人さんとお月様では、どちらが勝つの?』
『お月様のほうが勝つよね。』
『巨人さんは弱いんだね。』
『そんな事ないよ、わしは生き物の中では一番強いんだよ。』
『ふぅ~ん。』
『巨人さんが僕の所に来ることができた時に、僕と力比べをしようよ。』
『ああ、いいよ。』

20センチの巨人(1)

2016-03-25 21:25:11 | 童話
『おはようございます。』
『ああ、おはよう。』

僕は毎日絵本の中の巨人とお話しをします。
だけれど、巨人は絵本の中から出ることができませんし、僕も絵本の中に入ることもできません。

だから、巨人とジャンケンをすると巨人の手がグーチョキパーと動きますが巨人と手をつなぐことはできません。

ある日、友達とゲームをしている時に、ひろげていた巨人の本の上にサイコロが転がって行きました。
僕がサイコロを取ろうとした時にサイコロが本の中に入ってしまいました。

その時、本の中の巨人が
『お~い、サイコロが入ってきたよ。ほれっ。』
と言ってサイコロを本の中から投げ返してくれました。

『ありがとうございます。』
僕は巨人にお礼を言いましたが、なぜサイコロが本の中に入ることができたのか、なぜ巨人がサイコロを投げ返してくれることができたのか分かりません。

サイコロの代わりに消しゴムを本の上に置きましたが、消しゴムは本の中には入って行きませんでした。

お話しがいっぱい(3)

2016-03-24 21:27:04 | 童話
では、もっと遠くの人工衛星とのお話しはどうしているのかね。
人工衛星とは、電波という目に見えないものを使って宇宙飛行士さんとお話しをしているんだよ。
テレビでマンガやニュースが映るのも電波を使っているからできるんだ。
スマートフォンでお話しができるのも、この電波を使っているからお話しができるのだよ。
船で遠くとお話しするのに使っている無線機も電波を使っているんだよ。

では、人工衛星より遠い所にある星とは、どのようにしてお話しをしているのかなぁ。
遠くの星には僕達のような人間がいるかどうか、今までずっと調べているけれど、まだ分かっていないんだ。
だから、お話しする相手がいないんだよ。

だけれど、星と星とは何かお話しをしているみたいだね。キラキラ、キラキラと光ってお話しをしているみたいだね。
きっと人間には分からない言葉でお話しをしているのだろうね。

君達が大きくなった頃はいろいろな星とお話しができるようになっているかも知れないね。
それとも、君達が遠くの星とお話しをする方法を見つけるかも知れないね。

おしまい

お話しがいっぱい(2)

2016-03-23 21:16:25 | 童話
船では無線機という機械で遠くの場所や、遠くの船とお話しをしているのだけれど、光や旗でもお話しをするんだよ。

光が出ている前を光が出ないようにする機械を付けて、カチャカチャと光を出したり止めたりすんだ。

旗はね、右手に赤い旗を、左手に白い旗を持って手を上げたり下ろしたりして、いろいろな言葉にして、船同士でお話しをするんだ。

このようにして遠くに見える船とお話しをする時もあるんだよ。

昔は煙を使ってお話しをしたこともあるんだよ。
山や丘の上でたき火をして、上に出てくる煙を、上着や大きな布で煙が出ないようにしたり、煙を出したりして、遠くの場所とお話しをしていたんだよ。

お口でお話しをする以外に、この光や旗や煙を使ってお話しをすることを合図すると言うんだよ。

だけれど、合図もお話しをしているんだね。

お話しがいっぱい(1)

2016-03-22 21:04:18 | 童話
『先生、おはようございます。みなさん、おはようございます。』
『お母さん、ただいま。』
『ねぇお母さん、オヤツま~だ?』
『ねぇお父さん、今度のお休みに、どこかへ行こうよ。』
『ミーコ、ご飯だよ。』
『ポチ、お外へ散歩に行くよ。』

アリさんが一列に並んで歩いている時に、向うから来たアリさんとコッツンコして何かお話しをしているね。
人間には聞こえない声でお話しをしているんだろうね。

人間以外にも、みんなみんな、たくさんお話しをしているんだろうね。