僕と、お父さんとボクとの約束(1)

2016-03-16 21:39:46 | 童話
僕はご飯を食べるのが遅く、家族みんなが食べ終っても、僕はまだ終らない。

『いつまで食べているの、早く食べなさい。』
と、お母さんにいつも注意される。

そして、
『早く学校へ行かないと遅刻するわよ。』
と、お母さんに毎日注意される。

僕は学校の徒競走では、いくら頑張ってもいつもビリになってしまうし、鉄棒の逆上がりができない。
僕は頑張っているが、できないんだ。

僕が友達と学校へ行っている時、友達が
『だれか知らない子が一緒に歩いているけれで、君の友達かい?』
『ううん、知らない子だよ。』
『ランドセルを背負っていないけれで、どこへ行くのかなぁ?』
『そうだね、どこへ行くのかなぁ?』

学校に着くと、その知らない子は居なくなっていた。

グー、グー、グー(6)

2016-03-15 21:20:07 | 童話
そして、丘を下りて行って探査機に乗り込んだ。

『XY星にしか無い、新たなエネルギー物質は無事だ。この貴重なデータを持ち帰ろう。』
と船長は喜んだ。
そして、クルー全員でエネルギー物質を僕達のロケットに乗せた。
当然、クルーの僕も手伝った。

『これから地球に向って飛んで行きます。』
ロケットはゴーと大きな音をたてて、飛び立った。

しばらく飛んでから
『帰りは土星や火星には寄らずに、そのまま地球に向って飛行するらしいから、ロケットの中で寝るよ。』
とお父さんが言った。

今度起きたら僕はどこにいるのかなぁと思った。

『今日は日曜日でも、早く起きなさい。お父さんと一緒に宇宙探検の映画を見に行くのでしょ。』

『あれっ、今度は家の中だ。ロケットの中でも、映画館の中でもないや。まだ映画館へも行っていないのだった。
本当の僕は今どこにいるのかなぁ?』

              おしまい

グー、グー、グー(5)

2016-03-14 21:24:44 | 童話
僕が目をさますと、映画のスクリーンの中では、ロケットから大きなアンテナを出して、電波の来ている方角と距離を測っていた。

クルーたちが
『この方角のまま、あと3日飛ぶと電波を出している星に着くね。』
『そうだね、このまま流星に気を付けて飛んで行こう。』
と話しをしていた。

そして、3日後にロケットの船長が
『順調に飛行しているので、あと5時間で目的地に着きます。』
とクルーのみんなにアナウンスした。

『あと5時間か、やっと着くね。』
『どんな星で、どんな生き物がいるのだろうかなぁ。』
『間もなく着陸します。』

ロケットの外に出るので、みんな宇宙服を着て外へ出て周りを見渡したが、赤茶色の土と岩以外は何も見つからなかった。
そして、宇宙用の自動車で少し高くなった丘の上に登った。

すると、丘のふもとに宇宙船が有るのを発見した。
『あれはっ、XY星の探査に成功し、5年前に地球に帰還する時に流星とぶつかって行方不明になった無人の探査機だ。』
と船長が言った。

探査機は遭難信号を地球へ何年間も送り続けていたのだ。

グー、グー、グー(4)

2016-03-13 10:20:14 | 童話
『土星に近付いてきたので起きなさい。』
とお父さんに起こされた。

僕は火星を出発してからずっと寝ていたんだと言われた。
『あれっ、またロケットの中だ。さっきは映画館の中だったのに、おかしいなぁ。』

ロケットの外を見ると、土星の大きなリングが見えた。
『わぁ、きれいだね。お父さんの言ったとおりだね。』
『ああ、きれいだね。前に土星に来た時に見たのと同じだね。』
『また、土星の基地で休憩するの?』
『そうだよ、最後の休憩だね。』

そして、ロケットは土星に着いた。
『やっと土星に着いたね。地球に向って電波を出している星はもう少し遠いらしいよ。』
『どんな生き物か楽しみだね。』
『今晩は、この土星の基地の休憩室で寝るよ。』
『うん、分かった。だけれど、今度起きたら僕はどこにいるのかなぁ?』

グー、グー、グー(3)

2016-03-12 10:16:00 | 童話
『起きなさい、映画が始まるよ。』

僕はお父さんに起こされた。
『あれっ。ここはロケットの中ではなく、映画館の中だ。おかしいなぁ。』

そして、映画が始まった。

外国の小さな町の、中心部から遠く離れた草原の中に家が有り、その家には老人夫婦が住んでいて、この老人夫婦の家のテレビに、毎日同じ時間にビビッ、ビビッと雑音が入ってくるのだ。

少し離れた家のテレビには雑音は入らないので、この老人夫婦に対する宇宙からメッセージではないかと、天文学者と生物学者と通信技術者が調査を行なった。

そうして、大きな電波望遠鏡を作り、時間をかけて調査した。
その結果、宇宙からのメッセージだと確認ができたので、電波の来る方角にある星の調査を行うことにしたのだ。

そして、多くの技術者が乗り組んだロケットが打ち上げられ、宇宙探検が始まった。

永い宇宙旅行なので、火星と土星を経由して飛んで行く計画である。

永い時間の映画なので、火星に着いた時間で10分間の休憩があった。