一年だけの友達(1)

2017-04-25 20:55:51 | 童話
私はこの家の玄関の横に生えている小さな草で、小さなお花をたくさん咲かせます。
だけれど、お花の本には私の名前はのっていません。

この家の女の子は私を大切にしてくれて、毎朝、学校へ行く時に
『小さなお花さん、おはよう。行ってきます。』
と言ってくれます。
そして、学校から帰ってくると
『小さなお花さん、ただいま。今お水をあげるからね。』
とお話しをして、お水をかけてくれます。

小さな草の私も夜になると眠るので、夢をみることがあります。
昨日の夢は、女の子と私は手をつないで学校へ歩いて行き、学校で私は女の子の横にすわりました。
国語の本を読む時は、女の子の次に読み、算数のお勉強では、女の子と一緒に手をあげて答を発表しました。
体操の時間は、私は走れないので、すわって女の子が走るのを応援しました。
そして、女の子と手をつないで帰って来て、玄関の横で女の子とわかれました。

朝になって、女の子が
『小さなお花さん、おはよう。行ってきます。』
と言って学校へ行ったので、私は『行ってらっしゃい。』と言う練習をしました。
そして、学校から帰ってきた女の子が
『小さなお花さん、ただいま。今お水をあげるからね。』
と言ってくれるので、私は
『おかえりなさい。』
と、
『いつもお水をありがとう。』
と言う練習もしました。

次の日は声が小さくて女の子は気がつきませんでした。
だけれど、その次の日、私は
『行ってらっしゃい。』
と大きな声で言いました。すると、女の子はうれしそうに
『行ってきます。』
と言って学校へ行きました。
そして、女の子が帰ってきた時に
『おかえりなさい。』

『いつもお水をありがとう。』
を言うと、女の子はうれしそうに
『ただいま。』
と言いました。

僕の電車のお客さん(2)

2017-04-24 21:33:53 | 童話
僕が起きると、お母さんが
『よく昼寝したわね。あら、お顔が黒くなっているわね。あらっ、シロの毛も黒く汚れているわね。どうしたのかしら?』
『蒸気機関車を運転してトンネルの中を走ったからだよ。』
『ええっ。』

次の土曜日に、僕はお父さんからトロッコ電車の旅行パンフレットを見せてもらった。
お母さんが
『あらっ、素敵ね、ここへ行きたいわね。』
と言ったので、次の日曜日に僕がトロッコ電車を運転して、お父さんとお母さんを乗せてあげることにした。
また僕が運転手で、助手は犬のシロです。

そして、ホームのアナウンスがありました。
『左の方からトロッコ電車が入って来ます、お客さんは切符を買って、客車がちゃんと止まるまでお待ちください。』
『ゴトンゴトン、ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。』
『停車位置よ~しっ。』
『今の駅、今の駅。』
『皆さん、今の駅に到着しました。乗る人は、降りる人が終ってからお願いします。』
『ルルルルルル。』
『皆さん発車しま~す。次は「次の駅」、「次の駅」で~す。』
『ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。』
『わぁ、谷の上の鉄橋だ、高い所を走っているんだね。』
『ええ、そうよ。素敵ね。』
お母さんは大変楽しそうです。
そして、トロッコ電車は「次の駅」に着きました。
お父さんとお母さんはこの駅で降ります。
『はい、ありがとうございました。切符はこの箱に入れてください。』

僕とシロが運転するトロッコ電車はもっと高い山の駅へ走って行きました。
『ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。』
僕が起きると、お母さんが
『よく昼寝したわね。あら、どうしてモミジの葉っぱを持っているの?
あらっ、シロの毛にも草が付いているわね、どうしたのかしら?』
『トロッコ電車で山の高い所へ行ったからだよ。』
『ええっ。』

『うちの子は、今度ロケットに乗ったら火星の石でも持ってくるんじゃない?』
『そうかも知れないね。』
僕は、お父さんとお母さんのお話しを聞いて、次はロケットを運転しようと思った。
だけど、ロケットの運転席が分からないので、絵本で調べてから乗ろうと思った。
まだ、ロケットの運転席の絵本は見つからないが、ロケットを運転するのが楽しみだ。

おしまい

僕の電車のお客さん(1)

2017-04-23 09:33:36 | 童話
僕のお父さんは毎日電車に乗って会社へ行きます。
お母さんはお買い物をするのは近くのスーパーですが、時々電車に乗って遠くのデパートへ行きます。
だけど、土曜日と日曜日は、お父さんもお母さんも、僕の電車のお客さんになります。

昨日は新幹線だったので、日曜日の今日は蒸気機関車にしよう。
僕が運転手で、助手は犬のシロです。

そして、ホームのアナウンスがありました。
『左の方から蒸気機関車が入って来ます。お客さんは切符を買って、客車がちゃんと止まるまでお待ちください。』
『シュッ、シュッ、シュッ、シュッ。』
『停車位置よ~しっ。』
『今の駅、今の駅。』
『皆さん、今の駅に到着しました。乗る人は、降りる人が終ってからお願いします。』

『ルルルルルル。』
『皆さん発車しま~す。次は「次の駅」、「次の駅」で~す。』
『シュッ、シュッ、シュッ、シュッ。』
『ポッポ~ッ。』
『シュッシュッ、ポッポ、シュッシュッ、ポッポ。』
『ポッポ~ッ。』
『上り坂になったので石炭をたくさん燃やします。』
『シュシュッ、ポッポ、シュシュッ、ポッポ。シュシュッ、ポッポ、シュシュッ、ポッポ。』
『トンネルに入りま~す。わ~っ、煙がいっぱいだ、シロ、大丈夫かい? お父さんとお母さんは大丈夫かな?
そうか、客車は窓が閉まっているから大丈夫だね。』

『やっと上り坂の頂上になりました。』
『シュッ、シュッ、シュッ、シュッ。』
『ポ~ッ、ポ~ッ。』
そして、蒸気機関車は「次の駅」に着きました。お父さんとお母さんはこの駅で降ります。
『はい、ありがとうございました。切符はこの箱に入れてください。』

僕とシロが運転する蒸気機関車はもっと遠くの駅へ走って行きました。
『シュッ、シュッ、シュッ、シュッ。』
『ポッポ~ッ。』
『シュッシュッ、ポッポ、シュッシュッ、ポッポ。シュッシュッ、ポッポ。ポッポ~ッ。』

タヌキとキツネと人間と(3)

2017-04-22 09:45:09 | 童話
なぜ、神社の近くにあるお店ではタヌキが騙されて、お寺の近くにあるお店ではキツネが騙されるのか分かりません。

ある日、タヌキが調べるために神社に行きました。
すると、神社の前にはキツネの石像が飾ってありました。
「そうか、キツネ君は神様のお使いなんだね。だから、人間はキツネを騙さないんだ。」

そして、キツネが調べるためにお寺に行きました。
すると、お寺に茶釜に入ったタヌキや和尚と腹づつみを打っている絵がありました。
「そうか、タヌキ君は人間の友達なんだね。だから、人間はタヌキを騙さないんだ。」

そして、タヌキとキツネが自分達の見てきたことを教えて、
「タヌキ君はすごいんだね。」
「キツネ君は偉いんだね。」と言いました。
「これからは、キツネ君は神社の近くにあるお店で、タヌキの僕はお寺の近くにあるお店でアイスクリームを買うことにしよう。」
「それが良いね。」

キツネが神社の近くにあるお店でアイスクリームを買う時に、人間がキツネに手を合わせるのに気が付きました。
そして、タヌキがお寺の近くにあるお店でアイスクリームを買う時に、人間がタヌキの頭を撫でるのを見ました。

そして、キツネがお寺の和尚さんに「人間はタヌキと同じように、僕を騙さないでほしいなあ。」と言いました。
すると、和尚さんが
「キツネとタヌキが石のお金で人間を騙したのではないか。人間は優しいから友達のタヌキには騙されてやったのだよ。」
と言いました。

キツネは
「そうだね、僕たちが騙したんだね。」
と言いました。

また、タヌキが神社の神主さんに
「人間はキツネと同じように、僕を騙さないでほしいなあ。」
と言いました。すると、神主さんが
「タヌキとキツネが石のお金で人間を騙したのではないか。人間は優しいから神様の使いのキツネには騙されてやったのだよ。」
と言いました。

タヌキは
「そうだね、僕たちが騙したんだね。
と言いました。

そして、キツネとタヌキは
「もう人間を騙さないようにしようね。」
と言いました。

        おしまい

タヌキとキツネと人間と(2)

2017-04-21 21:20:12 | 童話
別な暑い日に、森のタヌキがお寺の近くにあるお店にアイスクリームを買いにやって来て、アイスクリームの値段を調べました。
「1個108円か、キツネに1個あげるから、2個で216円だね。」
そして、タヌキはお店の外に出て、左手に小さな石を5個持って、その上を右手でポンと叩きました。そうすると、手の中の石が、100円が2個と10円が1個と5円が1個と1円が1個になりました。
「ここに216円有りますのでアイスクリームを2個ください。」
「はいはい、ありがとうね。」
とお店の人がアイスクリームを2個くれました。こうして、タヌキとキツネは仲良く美味しいアイスクリームを食べました。

タヌキが
「もう1本食べたいね。」
というと、キツネが
「今度は僕が買ってくるよ。」
と言って、また左手に小さな石を5個持って、その上を右手でポンと叩きました。そうすると、手の中の石が、100円が2個と10円が1個と5円が1個と1円が1個になりました。
「ここに216円有りますのでアイスクリームを2個ください。」
「はいはい、ありがとうね。」
とお店の人がアイスクリームを2個くれました。そして、キツネはタヌキの所に帰って、2匹でアイスクリームを食べようとしましたが、2本のアイスクリームは木の枝になっていました。
キツネが
「あっ、人間に騙された。」
と言うと、タヌキが
「僕の時はちゃんとアイスクリームをくれたよ。」
と言いました。

タヌキとキツネは、
「今度は2匹で、もう一度アイスクリームを買いに行ってみようよ。」
「そうしようか。」
そして、今度は2匹がそれぞれ左手に小さな石を5個持って、その上を右手でポンと叩きました。そうすると、手の中の石が、100円が1個と5円が1個と1円が3個になりました。
タヌキが、
「ここに108円有りますのでアイスクリームを1個ください。」
と言い、キツネも
「ここに108円有りますのでアイスクリームを1個ください。」
と言いました。
すると、お店の人が
「はいはい、ありがとうね。」
と言ってアイスクリームを1個ずつくれました。
そして、タヌキとキツネは2匹でアイスクリームを食べようとしましたが、キツネのアイスクリームだけが木の枝になっていました。また、キツネが
「あっ、人間に騙された。」
と言うと、タヌキが
「僕のはおいしいアイスクリームだよ。」
と言ってアイスクリームを食べました。
「どうして僕だけ人間に騙されるのかなあ?」
とキツネが言うと、
「どうしてかね?」
とタヌキが言いました。

しかし、なぜだか分かりません。