夢の向こう(3)

2018-08-21 05:44:30 | 童話
それからしばらくは、高い空の上を走っているモノレールに乗っている夢や、幅が広くて、高く大きなエスカレーターで駅から滑って降りてくる夢はみなかった。

ある日、僕はすごく高い空の上を走っているモノレールに乗る駅にいた。
切符を買って待っていると赤い色のモノレールが着いたので、みんなと一緒にモノレールに乗った。
モノレールは速いスピードで、前に乗った時と同じ高い空を走って行った。
そして、モノレールの駅から幅が広くて、高く大きなエスカレーターでみんなと一緒に滑って降り始めましたが、僕だけ途中で別のエスカレーターに乗り換えた。

僕が乗ったエスカレーターが着いた所に学校があった。
教室の中を見ると先生が
『これから勉強を始めますので、みんな寝てください。』
と言って、生徒も先生も寝てしまった。寝ながら勉強をしているのだった。

チャイムがなると、先生が
『勉強が終りましたので起きて帰りましよう。』
と言ったので、生徒がみんな帰ってしまった。
よく見ると、学校の横に僕の家が有った。
僕がドアを開けて家に入るとお母さんが
『あらっ、おかえり。寝ながら宿題をやりなさい。』
と言った。
寝るのと起きているのが反対なのだと気が付いた。

そして、僕は寝ながら歩いてエスカレーターを乗り換えた所に来たので、夢の出口へ行くエスカレーターに乗り換えた。
『早く起きないと学校に遅れるわよ。』
とお母さんに起こされた。
僕は夢の向うより、夢の中の方が良いなぁと思ったので、今は夢の向うの探検はしていない。君達は夢の向うの探検で何か見つけたら教えてほしいなぁ。

      おしまい

夢の向こう(2)

2018-08-20 06:16:43 | 童話
またしばらくして、夢の中で友達が向うから歩いて来たので
『夢の向うから帰って来たの?』
と聞いたら
『そうだよ。』
と言ったので、僕は
『僕も、夢の向うへ探検に行ってくるよ。』
と言うと、友達は
『うん。』
と言って夢の出口から出て行ってしまった。

僕は一人で、前の探検の時よりもずっと遠くまで夢の中を歩いて行った。
ずっと歩いて行くと遠くに家が見えてきた。もっと歩いてその家に着くと、家の中から、僕のお父さんとお母さんが出てきて
『おかえり。』
と言った。
僕は
『ただいま。だけど、ここは夢の中なの? それとも夢の向うなの?』
と聞くと、お母さんが
『ここは、夢の中よ。夢の向うは、ここからモノレールに乗っていくの。』
と言った。
僕はすごく高い空の上を走っているモノレールに乗って、大きな駅に着いた。
それから、幅が広くて、高く大きなエスカレーターで、みんなと一緒に駅から滑って降りた。

『早く起きないと学校に遅れるわよ。』
僕はお母さんに起こされた。大きなエスカレーターは、みんなが学校や会社へ行かないといけないので、みんな夢の出口へ向って行っていたのだ。
僕が大きなエスカレーターに乗っている時に、もう一つのエスカレーターが動いているのが見えた。
そうか、途中で、もう一つのエスカレーターに乗り換えれば、夢の向うに行けたのではないかと思った。
今度、すごく高い空の上を走っているモノレールに乗って、幅が広くて、高く大きなエスカレーターに乗ったら、僕だけエスカレーターを乗り換えようと考えた。

夢の向こう(1)

2018-08-19 09:30:22 | 童話
君達はどんな夢をみるのかなぁ?
僕はね、前にみた夢と同じ場所で迷子になる夢をみることがあるよ。
それとね、パラグライダーで高い空を飛んでいる夢や、すごく高い空の上を走っているモノレールに乗っている夢や、幅が広くて、高く大きなエスカレーターで、みんなが駅から滑って降りてくる夢をみたこともあるよ。
夢って、ふしぎだよね。  君達はどんな夢をみるのかなぁ。

僕はある日、友達が向うから歩いてやって来る夢をみたんだ。
その友達は
『僕は夢の向うから帰って来たんだよ。』
と言って、夢の出口から出て行ってしまった。
次の日、その夢の話をしたが、友達は
『そんな夢はみなかったよ。』
と言った。
僕はもう一度、夢の中でその友達に夢の向うのことを聞いてみることにした。

しばらくして、また夢の中で友達が向うから歩いて来たので
『夢の向うから帰って来たの?』
と聞いたら
『そうだよ。』
と言って、夢の出口から出て行ってしまった。
その友達に、夢の向うのことを聞く前に、その友達は夢から出て行ってしまったので、僕は自分で夢の向うを探検することにして、夢の中を歩いて行ったけれど、いつまで歩いて行っても、夢は続いていて、夢の向うには行けなかった。そして、朝になって目がさめた。

『残念だなぁ、夢の向うは、まだ遠いのかなぁ?』

100才の小学生(4)

2018-08-18 09:03:15 | 童話
この小学校のみんなは仲良しで、毎日たのしく勉強をしています。
そして次の年に、100才となった古川ゴン作さんが小学生となりました。
古川ゴン作さんは農業が得意で、小学校の近くでお米や野菜を作っています。
だから、小学校の木やお花さんとも仲良しです。
古川ゴン作さんはニワトリの友達もいるので毎日卵をもらっています。

そして、古川ゴン作さんが初めて小学校に来た時に、みんなにお話しをしました。
『やぁ、みんな元気だね。鈴木ヨシさんも、田中トメさんも、山田熊太郎さんも、イヌさんやタヌキさんやキツネさんも、アライグマさんとネズミさんも、馬さんと牛さんも、そして猿さんも、それから木やお花さんも、みんなみんな元気だね。
わたしは古川ゴン作です。みんなと一緒にお米や野菜を作りましよう。夏の暑い日にトマトやキュウリを食べるとおいしいよ。』
みんなは
『そうしよう、そうしよう。』
と言いました。そして、小学校の近くの畑にキュウリとトマトの苗を植えて、雑草を取ったり、お水をあげたりして大切に育てました。

やがて、キュウリもトマトも花がいっぱい咲いて、たくさんの実がなるようになりました。
『あと少しで食べられるようになるね。』
『そうだね、楽しみだね。』
『いつになったら食べられるのか古川ゴン作さんに聞いてみようよ。』
『そうだね、聞いてみよう。』
『ねえ、古川ゴン作さん、キュウリとトマトはいつ食べられるの?』
『食べられるようになったら、キュウリとトマトが教えてくれるんだよ。』
『ふぅ~ん、そうなんだ。』
『だから、今日は教えてくれていないから、まだ食べられないんだね。』
『そうなんじゃ、もう少し待ちなさい。』

そして、一週間くらい過ぎた頃に、キュウリが「コンコンコン、コンコンコン。」と言って、トマトが「ポンポンポン、ポンポンポン。」と言いました。
みんなが古川ゴン作さんに
『キュウリが「コンコンコン、コンコンコン。」と言って、トマトが「ポンポンポン、ポンポンポン。」と言っているよ』
と言うと、古川ゴン作さんが
『キュウリとトマトが、もう食べていいよ。』
と言っているんだよと言いながら、みんなにキュウリを1本とトマトを1個採ってくれました。
みんなは小川の中で冷やしてから食べながら、
『キュウリはおいしいねえ。』
『トマトもすごくおいしいよ。』
と言ってみんなで仲良く食べました。
『古川ゴン作さん、次は何を植えるの?』
『そうだね、お米を育てておにぎりを作り、小麦を育ててパンを作ろうか?』
『うん、お米を育てよう。』
『小麦も育てようよ。』
『そうだね、お米と小麦の両方育てようよ。』
みんなで、おいしいおにぎりとパンができるのを楽しみにして、古川ゴン作さんのお手伝いをしています。
村の小さな小学校に、次はどんな100才の人が入って来るのか、みんなが楽しみにしています。

      おしまい

100才の小学生(3)

2018-08-17 05:35:34 | 童話
ある日、猿さんが小学校に来て
『僕もみんなの友達になりたいなあ。』
と言ったので、みんなが相談して小学校の友達にすることにしました。
この村には猿さんが居なかったので、すぐ仲良しになりました。
だけれど、犬さんは猿さんが嫌いでケンカばかりしています。
みんなは困って山田熊太郎さんに相談しました。
だけれど、山田熊太郎さんも
『困ったね、困ったね。』
と言いました。

ある日、みんなが居る時に山田熊太郎さんが転んで足をケガしました。その時、犬さんが一番早く山田熊太郎さんの所に走って来て
『山田熊太郎さん、大丈夫?』
と聞きました。
山田熊太郎さんは
『少しすねを擦りむいただけだから大丈夫だよ。』
と言いました。
その時、猿さんが布を持って来て
『これを包帯の代わりにするといいよ。』
と言って山田熊太郎さんのケガの上から巻いてあげました。
そして、犬さんと猿さんは後ろ足で立って山田熊太郎さんの右肩と左肩を支えて、山田熊太郎さんの自宅まで連れて行ってあげました。
そして、小学校に帰って来る時に、犬と猿は、
『重たかったね。』
『うん、重たかったね。』
『山田熊太郎さんが早く良くなるといいね。』
『うん、きっとすぐ元気になるよ。』
と仲良くお話しをしました。

そして、田中トメさんと鈴木ヨシさんが、動物達から聞いて山田熊太郎さんの家にお見舞いに来ました。
『山田熊太郎さん、ケガの具合はどうなの?』
『痛いの?』
と聞きました。すると、山田熊太郎さんが
『転ぼうとして転んだので、あまり痛くないんだよ。』
と言いました。そして
『これで犬と猿は仲良くなっただろう。』
と言いました。
鈴木ヨシさんと鈴木ヨシさんは
『あらっ、そうだったの。』
『そうよね、山田熊太郎さんのおかげで犬さんと猿さんが仲良くなってよかったわね。』
と言いました。

そして、次の日、山田熊太郎さんが元気になって小学校に来て、みんなに
『みんなに心配をかけたが元気になったよ。特に犬さんと猿さん、ありがとうね。』
と言いました。犬さんと猿さんが、
『良かったね。』
『うん、良かったね。』
と言いました。