NHKの東山魁夷特集の中で紹介された「年暮る」がどこの美術館にあるか探した。
山種美術館の所蔵であり、今、正に「美しき日本の原風景」と題する特別展で公開されていることが分かった。
この一点だけ見れればと、思いながら、詳細を見ると、特別展の他の作品にも魅力的なものが多かった。
早速、昨日行ってきた。
平成23年、もうすぐ古希を迎える。昭和も遠くなった。変わりゆく日本の姿、そんな中で、日本の原風景を探し求めている。
この展覧会は、的確に答えてくれた。
特別展の構成は、「美しき原風景」「風景画の流れ」「富士を描く」の三章からなっている。
第1章の「美しき原風景」は、川合玉堂、奥田元宋、東山魁夷、横山操が中心である。
川合玉堂は御岳に美術館があり、奥多摩に行った折、何度か立ち寄っており、なじみの作家でもあリ、好きな作家でもある。
今回は20点もの作品が展示されている。全て山種美術館の収蔵品。
今回のお目当ては、言うまでもなく「年暮る」。
ところが、そこには意外な情景があった。魁夷の描く京都の四季があったのだ。「春静」「緑潤う」「秋彩」「年暮る」の4作である。20年の歳月をかけて完結した。それを目の前にして感動した。夏の「緑潤う」もその色彩の素晴らしきこと。
横山操の「越路十景」も全作品を見ることができた。
10の作品を全て見ることで、横山操の故郷への思いを感じた。
横山操は昭和48年に53歳で亡くなった、新潟出身の画家であり、今回初めて知った。当然、作品も初めて見た。他の作品も見てみたい。
奥田元宋の「玄溟」の赤が素晴らしい。「奥入瀬・春」も対照的で面白い。今回の特別展で唯一の個人蔵で山種美術館以外の作品。
奥田元宋も初めて出会った作家。広島県三次の出身の作家だそうだ。
第2章「風景画の流れ」の中では、出展目録に出ていた、広重・近江八景の内の「三井晩鐘」がなかったのは残念。
富士の絵では、横山大観の「霊峰不二」。教科書等では見ていたが、実物を見るのは初めて。
伊東深水が不二を描いていたのには驚いた。青が印象的。
地方に行ったときには、時間をこじあけ、コースを苦労し、可能な限り美術館を観た。
しかし、一番集積している地は東京。
あまりに見ていない。特別展を漁り、見ていきたい。
今回知ったのだが、恵比寿ガーデンプレイスに日本では数少ない、写真と映像を中心とする「東京都写真美術館」があることを知った。
自己流で写真を撮っているので、機会を作って、是非行きたい。
山種美術館は、正面の大きなビルの地下にある。
適当な広さで、丁度良い。今回は、厳選された作品、疲れずに全作品を堪能できた。
山種美術館は山種証券の創業者、山崎種二氏が収集した美術品を主に展示する美術館。
帰りは、炎天下の中、渋谷まで歩いた。
一期一会という、そんな大げさなわけではないが、又、再び訪れるのは、何時になるかわからない。そんな事で、目的地の周りの雰囲気や人々の生活、歴史を知りたくて、散策する。
渋谷は、地名に「谷」の字があるとおり、昔は川が多く流れていた。今は地下に潜伏してしまっている。
現在残る、数少ない川が渋谷川である。
写真を撮った場所は、神奈川県から多摩川を渡り、猿楽塚から、ここで渋谷川を渡り、青山学院から千駄ヶ谷を抜け東北に達する鎌倉道と言う軍道が通る橋の上である。