江上剛の短編集・非情人事を読了し、久しぶりに新しい顔の作家と遭遇できた感じがする。
宮部みゆき以来である。ちなみに宮部みゆきを読むきっかけは娘の本棚にあったのを見たからである。
今回買ってきたのは、「我、弁明せず」である。
主人公は池田成彬である。私の知らない人物である。明治・大正・昭和を生きた人物であリ、三井の大番頭とも言われ、日本の財界をリードした人物であるという。
江上剛という作家を評価する上でかっこうの作品かもしれない。
城山作品を愛読したものとして、比較しながら読めるかもしれない。
平成も23年、昭和が遠くなりつつある。
我が人生の舞台でもあった昭和を、近現代史からの観点で見直してみたいとも考えている。昭和史に関する本も多数出ている。松本政調の昭和史発掘、近くはベストセラーになった、半藤一利の昭和史などである。
財界をリードした、銀行家としての池田成彬を通し、経済の面から昭和を知るの一興かと思う。
金融や銀行についてはあまり詳しくない。仕事の上からもあまりお付き合いわない。
ただ、あったとすれば、現職時代に、殆ど誰も手を付けていなかった資金運用をテーマに議論したことがある。
その折には、金融商品について、信金に勤めていた友人から知識を得たのを覚えている。
現在の金融界は池田成彬が活躍した時代とその質や、仕組み、銀行の役割などは異なるであろうが、その本質において学ぶものがあるのではなかろうか。
幸田真音の小説も1,2冊買ってあるが、現在の複雑な金融システムは分かりづらく、積読状況にある。
カラタチの蕾が膨らみ始めた。
東京都の合同庁舎の東側の垣根である。