減税自治体構想杉
並区は2007年7月に減税自治体構想研究会(会長:黒川和美・法政大学教授。)を立ち上げ、このほど、4回の会議を経て、減税自治体構想研究会報告書(案)がまとめられました。
その構想の内容は、毎年一定額の財源を積み立てて、必要に応じてその果実を活かし、将来的には、区民税の減税を実現しようという「減税自治体構想」であります。
地方主権
2000年(平成12年)に地方分権一括法が施行され、地方分権の時代に入ったと言われています。
「分権」「主権」という言葉の解釈については色々ありますが、「中央主権」、「中央集権」の流れの中にあった日本を変革するという意味において、私は、敢えて、『地方主権』という言葉を使いたいとかんがえます。
地方分権一括法が成立した時に、これからは各自治体が独自性を発揮して個性豊かなもになると言われましたが、現実はどうでしょうか。
財源の移譲が遅々として進まないのは確かですが、それを理由に自治体の経営改革が果たされていないのも残念な現実であります。
そのような中で、杉並区の今回の独自の試みは注目に値するものであると思います。
減税自治体構想は様々な理由から困難性を伴い、実現に向けて紆余曲折が予想されますが、健闘を期待したいです。
首長と議会の関係は
地方主権という言葉の中に、議会のあるべき姿も含まれると考えます。
言うまでもなく、議会の最重要権能は条例制定権でする。条例制定に実効性を持たせるのが予算であります。
従って、執行権の長である首長は条例が可決した後には、各条例に対し、予算化する義務があると考えられます。
しかし、国会と地方議会の根本的違いは一方が議院内閣制であるのに対し、他方が二元代表制であるということです。
そこで、首長と議会の間に緊張関係が生じる。これが地方自治体のあるべき姿であると考えます。
しかし、現実はどうでしょうか。
議会改革は進んでいるのか
地方主権による横並び行政からの脱却が期待されたにもかかわらず、個性ある自治体経営がなされていないのは、市長をはじめとする行政側にも責められる部分はありますが、議会にも大きな責任があるのではないだろうかと思います。
立川市においても議会内に検討のための懇談会が設置されたようですが、その審議の内容について全く市民に知らされていないのが現実であります。
議会改革の重要な要素に「開かれた議会」というのがあります。市民への情報提供、情報の共有化は改革の大前提です。
議会総体が、情報の開示に消極的であるとすれば、勇気ある議員の情報提供に期待するものであります。市民の評価がどうなるかは自ずから明らかであると思います。
検討のテーマも仄聞するところによれば、非体系的で枝葉末節的なことから始まっているような気がします。議会・議員の本質的な権能は何か、使命は何かを明確にし、議会の機能を十分に果たすことができるような改革をなすべきであると思います。