風は、地球の、地磁気の届く範囲で、大気のある地表で吹き続ける。
太陽の影響? 地表の温度差? 公転と自転? いやいや、大気がある、生物がいる、そこから考える。
つまり、原初に地表で命のある生物が誕生し、その吐く息が風の起源になっていると考える。
80億人の人類の吐く優しい吐息は、ひとつになればとんでもない巨大台風にもなる。
だれがこの大気に最初に刺激を加えたものなのかは、知れない。
ひとたび吹き始めた風は、地球が滅びるまで吹き続けるだろうし、人類が滅びても地球が存在する限りは吹いているだろう。
風が途絶える時、地球は終わりを迎える。
人は風の無い場所では、生きてはいけない。
・・・ということで、久しぶりの雪山を歩いて、梅を愛でて、古い真田の差配した城跡を巡り、勝頼の生き延びた本当の足跡を考えているうちに、甲陽軍鑑の嘘臭いドラマ仕立ては雲隠れを隠す為のモノだとつくづく知れ、石和のはずれの初花で、美味いうな重を喰らってきた。
ここのうな重は並ではなく上を喰らう。
通称温泉うなぎ、銀座で喰う冷凍モノの糞不味い高級うなぎなど足元にも及ばない。
肝吸いもほんのり生臭くってコリコリしてて、締めたばかりという味わい。
美味かった。
食い物を喰らって美味いと思うことが少なくなってる昨今、地産地消で山や海の帰りに喰らう地元の料理くらいしか美味いと思わなくなってるが、ここのうなぎは昔から美味い。
うなぎの養殖をやってるうちに評判の味となり、調べたところどうも養殖に使ってる井戸水に温泉が混じっていると知り、掘ったところが温泉に当たり、いらい隣接する温泉も営業を始めてるが、湯じたいはそれほどでもない。
ただ、うなぎは美味い。
帰路の軽い渋滞など、鼻歌まじりになるほど、美味かった。
ひさしぶりのちゃんとした山々を堪能し、新府城の直登階段も一気に駆け上がり、武田の総本山の近くで富士を眺めて赤い梅の香りに包まれ、うまいうなぎを喰らって、満足マンゾクの一日だった。
下界に降りてのちは、みなコートを羽織ってる中でも、俺は下着と薄いシャツの2枚で寒さすら感じなくなってた。
言葉など、要らんがな。