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安倍首相の完勝に終わりそうな安倍訪米
2015年4月29日
元外交官・作家 天木直人
オバマ大統領との首脳会談と、その後に行われた共同記者会見や日米共同声明を見る限り、安倍首相の思惑通りに進んでいる。...
おそらく米国上下院合同会議での安倍演説も喝采の下に終わるだろう。
米国側と周到に打ち合わせを重ねて事を運んだ安倍政権側の作戦勝ちである。
私を含め、安倍政権の暴政を批判してきた者にとっては、いまいましいことだ。
しかし、第一幕は安倍首相の完勝であることを素直に認めなくてはいけない。
なぜ安倍首相の訪米は成功したのか。
その理由は安倍首相が全面的に米国に譲歩したからだ。
そして、その譲歩と引き換えに、安倍首相が対中政策や歴史認識問題で、米国の了解と協力を取りつけたからだ。
たとえば首脳会談前に行われた日米防衛協力の新ガイドラインで辺野古が唯一の選択だと明記された。
首脳会談で沖縄の声をオバマ大統領に伝えた形はとったが、その前に沖縄の声を無視した結論を出していたのだ。
たとえば訪米のタイミングを見計らって発表された、ロシアの対独戦勝記念式典への安倍首相の欠席だ。
直前まで出席を検討していたにもかかわらず、米国に配慮してベストのタイミングで欠席を発表した(4月29日朝日)。
ここまで米国に譲歩するのだから、オバマ大統領が歓迎してもおかしくはない。
しかも安倍首相がこだわる対中包囲網について、安倍首相が米国に協力を求めても、米国はこれを断る理由はない。
米国にとって中国の増長は目に余るものがあり、日本が率先してけん制してくれるのなら、渡りに船であるからだ。
これを要するに、今回の安倍首相の訪米の成功は、米国の威を借りて中国を牽制したい安倍首相と、日本を利用するだけ利用する米国の思惑が、見事 に一致して、もたらされたものだ。
しかし、第二幕はこれから始まる。
それは米国と中国のせめぎ合いだ。
アジアの隣国との関係改善を放置して日米同盟関係に傾斜する安倍首相が正しいはずがない。
国民の利益を犠牲にして保身のために対米従属に走る安倍首相が正しいはずがない。
米国とも、中国とも、正しく対応するには、憲法9条を掲げた自主、自立外交しかない。
新党憲法9条の必要性がますます高まって行くことになる(了)