私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

ドーヴァーの浜 〔9~14行目〕

2014-10-11 15:49:20 | 英詩・訳の途中経過
Dover Beach

Matthew Arnold

Listen! you hear the grating roar
Of pebbles which the waves draw back, and fling,
At their return, up the high strand,
Begin, and cease, and then again begin,
With tremulous cadence slow, and bring
The eternal note of sadness in.


ドーヴァーの浜

       マシュー・アーノルド

耳を澄ましてごらん ただそのみぎわから 擦れあふ小石の
うねりがきこえる 波によせもどされ とびちり
引き残されて 高いなぎさへあがり
はじまり とまり そしてまたはじまり
ゆつくりとをののく抑揚とともに
果てしない悲哀のしらべをもたらす



 ※14行「悲哀」は「カナシビ」とお読みください。
  ……この行の訳は迷いました。
  まず「Eternal」を素直に「永遠」にするか、個人的に定訳と決めている「非時/トキジク」にするか、和語で「永久/トコシエ」あるいは「常/トワ」にするか、音韻を重視して「果てしない」にしてしまうか、これだけで5パターン。
 加えて「Sadness」のほうも、「悲しみ」か「悲しび」か「悲哀/ヒアイ」か、折衷案で「悲哀/カナシミ〔ルビ〕」かと、これまた4から5パターンで迷ったため……順列組合せ的に果てしなく迷いぬきました。ここは後でまた変えるかもしれません。

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