「大往生」
(永 六輔 著 岩波書店 岩波新書 1994/3/23 p.199)
少し前のことになりますが、日テレ「世界一受けたい授業」『令和に読みたい「百刷本」ランキング』において紹介されました。「百刷本」とは増刷が百刷を越えた本のことで「大往生」は現在103刷になります。
この本が出版された時ベストセラーになり一度読んでみたいと思っていました。
まえがきに『高齢者社会と言われるようになって「老い」「病い」「死」をテーマにした出版、放送があいつぎ ・・・・』とあります。この本が出版されたのは今から28年前のことです。
目次
1. 老い「人間、今が一番若いんだよ」
2. 病い「医者に文句をつけるのが大切なんです」
3. 死「生まれてきたように死んでいきたい」
4. 仲間「怖がらなくてもいいと言い」
5. 父「死にたくはないけれど」
カバー折り返しより
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人はみな必ず死ぬ.死なないわけにはいかない.それなら,人間らしい死を迎えるために,深刻ぶらずに,もっと気楽に「老い」「病い」,そして「死」を語りあおう.本書は,全国津々浦々を旅するなかで聞いた,心にしみる庶民のホンネや寸言をちりばめつつ,自在に書き綴られた人生の知恵.死への確かなまなざしが,生の尊さを照らし出す.
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この本の前半には「老い」「病い」「死」について巷に生きる人の言葉を集めています。笑いをともなって楽しく読むことができます。また「老い」「病い」「死」について こういう考え方、見方もあるのだと気づかされました。
「死んじゃったら遺族の勝手です。
葬式は死んだ人のためにやるものじゃない。
遺族のためにやるものです。
だから、遺族の気のすむようにやりなさいよ」
ごもっとも。セレモニー業者の話でしょうか。
「葬式で、赤ちゃんの声が聞こえると、何だかホッとするんですよ。
子どもは葬式に重要です」
走り回る子どもも。ご高齢の方のお葬式では特に。
「遺言状を書く勇気もなくて、よく死ねるね」
一歩踏み出せば心清浄。それがなかなか。
「亡びてゆくならさ、せめて綺麗に消えたいね」
毎日 毎日 生きているのならば。
「昔はね、呆けるほど長く生きなかったの」
確かに。
永 六輔さんは「人間は二度死ぬ」と話されています。
「人間は二度死にます
まず死んだ時
それから忘れられた時」
お墓、位牌、遺影、回忌法要、これらは二度目の死の延命措置ではないでしょうか。お堂の周りの石塔、〇○碑、道端のお地蔵様もその類。
もうすぐお盆です。
仏壇の前に祭壇を準備しました。