『ファントム』パク・ヒョシン、歌と内面の演技が引き立って見えて・・・
ミュージカル評論家イ・ソジン教授
‘感動的な作品だが いくつかの場面での不調和が残念’
‘序曲~私の悲劇的な物語’が鳴り響いて音楽に合わせて天井に吊られたシャンデリアに火がともる。
舞台背景はパリ・オペラハウス。地下は知ることのできない力が感じられる場所だ。存在することもでき、存在することができないこともある幽霊、
ファントムが生きる空間だ。
このくらいになれば目ざとい観客なら どこかでたくさん見たような物語だと考えるだろう。
ミュージカル『ファントム』は『オペラ座の怪人』と似ているようで異なる作品だ。なぜなら原作が同じだからだ。
『ファントム』は劇作家アーサー・コピットと作曲家モーリー・イェストンの合作で フランス作家ガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』を原作とする作品だ。
『オペラ座の怪人』では触れなかったファントムの幼年時代を扱っている。
ミュージカル『エリザベート』『モーツァルト!』で立場を固めた俳優パク・ヒョシンがファントムを演じる。
チケットをオープンするやいなや完売を記録した俳優だ。ミュージカル評論家のスンシルサイバー大学イ・ソジン教授は
「劇場に足を踏み入れる時まで パク・ヒョシンのファントムは期待半分・疑心半分だった。だが舞台上のパク・ヒョシンは
歌手パク・ヒョシンの姿を忘れさせるほど完璧な俳優だった。パク・ヒョシンが見せた繊細な手の動きと内面の演技は感動を与えるに十分だった。
パク・ヒョシン特有の長い呼吸でファントムの感情を十分に引き出して もう一度見たい舞台を作りあげた」と評価した。
『ファントム』はファントム エリックの幼少時に集中する。エリックはなぜファントムになるしかなかったのか 背景を説明する。
演出家ロバート・ヨハンソンはこの場面をバレエで表現した。『ファントム』で最も印象的な場面だ。
エリックの母であるバレリーナ ベラドバと 父ジェラール・カリエルの愛を美しい振付で見せる。
バレリーナ キム・ジュウォン、ファン・ヘミン、チェ・イェウォンを、バレリーノ ユン・ジョンイル、アレックスをキャスティングして作品の完成度を高めた。
ジェラール・カリエル(パク・チョルホ、イ・ジョンヨル)とクリスティーン・ダーエ(イム・ソンヘ、イム・ヘヨン、キム・スニョン)が
歌う歌に合わせて踊る場面は忘れることのできない名場面だ。
イ・ソジン教授は「この場面を見て目に涙を浮かべるほど感動的だった。バレリーナの演技が逸品だった」と語った。
イ・ソジン教授はまた「クリスティーンをオペラハウスの地下に連れて行くために櫂をを漕ぐ場面が引き立って見える。また色とりどりの衣装が印象的だった。
特に劇中 オペラ『リコレット』『アイーダ』『ラ・トラヴィアータ』など早くて短い場面でも衣装を通じてそれぞれの背景と
キャラクターの雰囲気を十分に感じるようにした点が目に留まった」と語った。
イ・ソジン教授は「クリスティーン・ダーエ役を引き受けたキム・スニョンはとても緊張していたようだった。
オペラ歌手としてプリマドンナであることに間違いないが ミュージカル舞台を過度に意識したように 低音部で声が自然ではなかった」と語った。
続いて「『ファントム』は異なる特性を持つ俳優たちの 不自然で、過渡期的な不調和を一つの舞台で見せた」と付け加えた。
来る7月26日まで ソウル・忠武アートホール大劇場。5万~14万ウォン。公演時間170分。