『ファントム』キム・スニョン‘見なければ一生後悔するミュージカル、
やる気がなくなっても幸せです’
初演に続き‘クリスティーン・ダーエ’として舞台に上がったソプラノ
‘音楽の天使’が彼女の肩の上に降りてきたのだろうか。ミュージカル『ファントム(演出ロバート・ヨハンソン)』中 オペラ劇場の歌姫に成長する
クリスティーン・ダーエの“ビストロ シーン”は音楽が与えられる最も美しい旋律を贈る。
磨かれていない原石のようだったクリスティーンが ファントムの教えを受けて輝く宝石のように光る場面は観客の心をうならせる。
クラシック舞台で活躍し 昨年4月『ファントム』を通じてミュージカルに初デビューしたソプラノ キム・スニョンは今年再びクリスティーンの服を着た。
よりいっそう成熟して技巧あふれる声で帰ってきた‘スンクリ’の活躍に観客は大きな拍手で応えている。
キム・スニョンもやはり「初演当時 あまりにも苦労が多かったが 勉強したおかげで今年は気楽で幸せな気持ちで練習して舞台に立てた」と
いっそう余裕ある表情を浮かべて見せた。
大学と大学院で声楽を専攻し、オペラ『セビリアの理髪師』『コジ・ファン・トゥッテ』『愛の妙薬』等で主役として舞台を駆けてきた彼女は
事実ミュージカルに対しては関心がなかった。そうするうちに声楽を専攻したミュージカル俳優シン・ヨンスクが出演する『レベッカ』を初めて見て まさに‘衝撃’を受けた。
歌も歌だがドラマが非常に面白くて、目をどこにやるべきかわからないほど躍動的な舞台もまた印象的だった。
‘ミュージカルがこうすることができるんだ’と初めて悟るようになった瞬間だった。
以後 EMKミュージカルカンパニーを通じて『ファントム』出演オファーを受けて キム・スニョンは「90%できない」と気持ちが下がった。
だが『レベッカ』を上演した制作会社のミュージカルだということ、古音楽で活躍するソプラノ イム・ソンヘが同じ役で出演すること、
この機会を逃したらミュージカルに二度と挑戦できないだろうという考えが彼女の気持ちを出演する方向へと翻した。
「事実 決まる時までとても大変な時間を過ごしました。クラシック舞台だけで活動してきてミュージカルに来たのは 他の見方をすれば道から外れたことだから、
再びクラシックをできないこともあると心配も多かったんです。だが今はソプラノがクラシックの公演だけしなければならない時代ではないと思いました。
機会さえあれば色々なジャンルに挑戦することが意味があり、私がこういう道をあらかじめ切り拓けば後輩にとっても良い機会が来るはずだからです。
振り返ってみれば本当に良い選択だったので 私を助けて下さる方々、私の舞台を愛して下さる観客の方々にとても感謝しています」
再演で再び合流しながら配役に対してもう少し没入し、相手役に対するリアクションもいっそう誠実に表現するのに集中した。
だが劇中クリスティーンがあまりに多様なカラーと感情のナンバーを歌いながらも数多くの演技を消化しなければならないため 相変わらず難しい点が多い。
キム・スニョンは「1回公演をしたら もうやる気がなくなるほど大変だ」とし「今回 同じ役で合流した(キム)ソヒョン先輩が『オペラ座の怪人』のクリスティーンより
はるかに難しいと言っていたほど」と伝えた。
今回の公演は音楽的に編曲が変わって クラシックだった昨年の公演よりはるかに華やかで豊かになった。セリフやドラマの流れではほとんど変わっていないが
キム・スニョンは「ファントム役で新しく合流した俳優だから完全に異なる感じだ」と語った。
キム・スニョンの言葉によると 初演に続き呼吸を合わせるパク・ヒョシン ファントムは 歌自体から来る感じがとても強く、互いにアドリブを気楽にやりとりできるほどの
呼吸が生まれた。反面 新しく合流したチョン・ドンソク ファントムは 表面に見える姿はとても向こう見ずである反面 内には子供のような弱い感性がかいま見える。
またパク・ウンテ ファントムは理性的で落ち着いていて ある時は穏やかで より切なくて弱々しい気がする。
彼女は「3人のファントムのカラーがとても異なり 毎回別の公演をする感じだ」と言って笑った。
ミュージカル俳優たちと作業しながら 練習の時も代役なしで毎回最善を尽くして歌い、誠実にキャラクターを研究する姿などに大きな刺激を受けたりもした。
彼女は「ミュージカル俳優がわけもなく舞台で完璧に見えるのではなく、さらに悟りながらたくさん学ばなければならないと感じた」とし
「これまでオペラをする間 主に歌にだけ気をつかったとすれば、ミュージカルでは相手役との呼吸が重要だと学んだ。オペラの舞台に戻っても より多くのことを
見られるようになった」と話した。
キム・スニョンは今後も自分の力量で十分に表現できるキャラクターと出会ったら、ミュージカルの舞台に着実に立ちたいという希望を明かした。
ミュージカル『エリザベート』のタイトルロールを引き受けて“私は私だけのもの”を歌うのがミュージカル俳優としての彼女の夢だ。
「私は『ファントム』が単純なミュージカルではなく 最高の出演者が集まった総合芸術公演だと思います。まわりには見なければ一生後悔するミュージカルだとも話して下さい。
この作品を見ないなら惜しい機会を失うことになるから たくさん見に来られら良いです(笑)」