国道二百五十号線はゴールデンウイークでかなり渋滞していた。
「ゴクン」と車の止まるショックを感じて目をあけると、ほぼ満車の駐車場であった。なにか口寂しいので、たばこでもと、ポケットを探ると一万円札が二枚でてきた。いつも同じ服を着ているので、妹が忍ばせてくれたようだ。たばこは、なかった。ごそごそしている、落ち着かないそぶりを見て、剛志が、たばこを差し出してくれた。ひとくち大きく吸い込んだとき、たばこの煙と潮の香りが入り込んで、すこし眠気は去った。
休憩所からの眺めは、遠浅の海が随分潮が退いて、砂浜が見えているところや、浅い水溜りは、家族ずれや職場のグループらしい人たちで、混み合っているように見えた。
海に入ってみると、外から見えたのと違い、自分のテリトリーに他人がづかづかと踏み込んでくるような、不快感が起きるような小さな空間ではなかった。
熊手とか、小さなバケツ等は、剛志が用意していた。美穂も帽子や長袖の服装など潮干狩りにふさわしい格好をしている。それに比べて秀太は、履物まで用意していなかったので、運動靴を脱ごうとして、「貝殻で足を切るといけないから」と美穂からゴム草履を渡された。
服装はそのまま海に入るしかないので、少しだけ「情けないなあー」との感情が浮かんだが、投げやりな気分がそれを押し流してくれた。
一時間程海にいると、昼近くになったので、海岸の松林の木陰で「お昼にする」ことになった。濡れたズボンは気になったが、寝転んでみると、浜風の松籟の下、木漏れ日が顔のあたりでちらちらして、まどろんでくる心地よさに秀太は、例えようのない満足感を覚えた。
「秀太くん、海にいてしゃがんだり中腰だったりで、すこし疲れたでしょう。お弁当を広げたのでこちらに来て食べなさいよ」
「秀太のことを、亜季さんが俺に相談するもんだから、複雑な気持ちなんだろう」
「剛志が、亜季の話し相手になってくれることは、両親もいないし、兄貴も頼りないから、感謝しているよ」
亜季と剛志のことは、仲良くしてほしいという感情と、兄妹の中に踏み込んでほしくないという複雑な感情があったが、言葉になってみると、思っていることは言えてなかった。
しかし、追加する言葉は、見つからなかった。
「ゴクン」と車の止まるショックを感じて目をあけると、ほぼ満車の駐車場であった。なにか口寂しいので、たばこでもと、ポケットを探ると一万円札が二枚でてきた。いつも同じ服を着ているので、妹が忍ばせてくれたようだ。たばこは、なかった。ごそごそしている、落ち着かないそぶりを見て、剛志が、たばこを差し出してくれた。ひとくち大きく吸い込んだとき、たばこの煙と潮の香りが入り込んで、すこし眠気は去った。
休憩所からの眺めは、遠浅の海が随分潮が退いて、砂浜が見えているところや、浅い水溜りは、家族ずれや職場のグループらしい人たちで、混み合っているように見えた。
海に入ってみると、外から見えたのと違い、自分のテリトリーに他人がづかづかと踏み込んでくるような、不快感が起きるような小さな空間ではなかった。
熊手とか、小さなバケツ等は、剛志が用意していた。美穂も帽子や長袖の服装など潮干狩りにふさわしい格好をしている。それに比べて秀太は、履物まで用意していなかったので、運動靴を脱ごうとして、「貝殻で足を切るといけないから」と美穂からゴム草履を渡された。
服装はそのまま海に入るしかないので、少しだけ「情けないなあー」との感情が浮かんだが、投げやりな気分がそれを押し流してくれた。
一時間程海にいると、昼近くになったので、海岸の松林の木陰で「お昼にする」ことになった。濡れたズボンは気になったが、寝転んでみると、浜風の松籟の下、木漏れ日が顔のあたりでちらちらして、まどろんでくる心地よさに秀太は、例えようのない満足感を覚えた。
「秀太くん、海にいてしゃがんだり中腰だったりで、すこし疲れたでしょう。お弁当を広げたのでこちらに来て食べなさいよ」
「秀太のことを、亜季さんが俺に相談するもんだから、複雑な気持ちなんだろう」
「剛志が、亜季の話し相手になってくれることは、両親もいないし、兄貴も頼りないから、感謝しているよ」
亜季と剛志のことは、仲良くしてほしいという感情と、兄妹の中に踏み込んでほしくないという複雑な感情があったが、言葉になってみると、思っていることは言えてなかった。
しかし、追加する言葉は、見つからなかった。