暮らしと古民家

折々の暮らしの中気が付く大切なこと

消える

2020年07月16日 | 古民家

 ザラザラと動きの悪い扉を引いて・・・温かくムワリと鼻を癒す、わずかに感じる石鹸の香り・・・。

キシキシと冷える体も・・・人恋しさを感じる寒空も・・・

扉の向こうは、華やかな別世界で・・・老いも若きも無防備な姿をあらわにしながら・・・

屈託ないよもや話しに・・・他愛のない世間話がウロウロしています・・・。

今は見る事も少なくなった町の銭湯・・・社交場として、地域の拠り所として・・・

多くの暮らしを支えて来ました・・・。

異世界ともいえるほどの装飾や小物が置かれて・・・不思議を醸し出していますが・・・

張り出した軒の出に、見上げるほどの大きな瓦屋根・・・立派で堂々とした唐破風の姿を見れば・・・

暖簾をくぐる前・・・すでに心は銭湯の世界に浸かっているいるのかも知れません・・・。

軋む床板も・・・見上げるような折り上げ格天井も、今では伝統の技術で・・・

湯舟の向こうに浮かぶ景色は・・・長年培って来た技術で仕上げられた手仕事・・・。

アナログに温かさや、やさしさを感じるのは・・・そこにたどり着くまでの時間や心の大きさが必要だから・・・

おぼつかない手元や不安の中から・・・ようやく自分の想いを見せられるまでの道のりが必要です・・・。

人が積み上げて来た時間の大切さが・・・少しづつ消えてしまっているような気がします。

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ことば

2020年07月15日 | 古民家

 小学校・・・いえいえ、中学・高校になっても・・・ウリウリと定まらない文字を綴って・・・

気分で変わる自分の文字は好きになれず・・・

お手本になりそうな文字を書く、いかにも優等生なクラスのあの子に・・・

お手本にはなりそうになくても・・・ノートの上で、踊り出しそうな文字を書くアイツ・・・

個性ある文字を見ると・・・文字自体が絵画であってもおかしくないだろう・・・と思える時期がありました・・・。

「僕」・・・と言う、意味合い的には少しへりくだった自己表現に使われていた言葉が・・・

江戸末期から明治にかけて、多くの志士に使われました・・・。

「君」・・・と言う言葉も盛んに使われたそうで・・・本来の意味を大きく崩しはしなくても・・・

時代の流れに乗り・・・カッコよさや、自己表現の素材として・・・言葉は進化してきました・・・。

難しい漢字が、漢字のまま簡略化して来たのが大陸であるのに対して・・・

日本は、漢字を独自に変化もさせましたが・・・カタカナやひらがなと言う・・・

誰もが使い易く・・・やさしい言葉を生み出して来ました・・・。

古民家の伝統的な技術には・・・飛騨の匠と言われる、複雑で高度な技もありますが・・・

古い材料を使って、少し器用な農家の親父が建てられる・・・そんな手仕事の技術もあります・・・。

農家のお宅には・・・納屋の1つや2つは必ずあって・・・加工された穴の開いた柱や束材が使われ・・・

なんて事のない古屋が100年も建ち続けている・・・

同じ建物でも・・・工芸品のような立派な古民家から・・・古ぼけた小屋まで・・・

それぞれの味があり・・・それぞれの良さを引き出す個性があるのが・・・

古くからある伝統の良さだと思います。

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

忌み嫌う

2020年07月14日 | 古民家

 古民家の定義を堅苦しく表現するなら・・・・・築50年以上の建物、になるようで・・・

コンクリートの基礎では無く、礎石の上に柱が載る造りと言えます・・・。

地震の度・・・古い木造住宅は倒壊しやすく、瓦屋根が載る重い住まいは大きく揺れて・・・

ずれた瓦が落下して来て、ひじょうに危険な建物である・・・と・・・

ぺしゃんこになった映像を見れば・・・古民家など古くて汚い建物は壊してしまえ・・・

そう思われる方々が多くても・・・致し方ない気がします・・・。

庶民の住まい、茅葺の屋根では、火事の火種が飛んで来て燃え広がってしまうので・・・

瓦を葺く事を・・・一般に広く許された街並みは、甍の波に変わって行きました・・・。

杉の皮と練った土の上に瓦を葺く理由は・・・耐火性もあり・地震の時は揺れて重い瓦が落ちて・・・

バランスよく揺れを逃がしてくれる・・・理にかなった伝統の技術がそこにはあって・・・

利便性を求め続けた暮らしの変化で・・・伝統の技術は、忌み嫌う考え方になってしまったようです・・・。

50年前の建物が、古民家とは言えない建物になってしまっていますが・・・

当時は、竹小舞の土壁も・手刻みの木組みの技術もまだまだ残っていました・・・。

伝統的な建物を建てる人が少なくなったのも・・・一つの原因ですが・・・

法律で危ないと思われている建物を建てさせないようにした考え方も・・・大きな原因です・・・。

アクセルとブレーキ・・・エアコンの冷房と暖房・・・一緒に扱われないモノを同時に使ってしまう・・・

矛盾した考え方が・・・ますます忌み嫌われるモノになってしまうような気がします。

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

移住

2020年07月13日 | 古民家

暑いも寒いも、環境の変化に順応するのも・・・年齢は関係ないのだろうか・・・?

リタイヤしてからの移住を考える方々も増えて・・・

自然豊かな環境で、幼子を育て・・・

心豊かに向き合える仕事を求めて、移住する若者も現れて・・・

地域の習慣や・・・人との関わり・・・今までとは違う生活を組み立てる強い心は必要です・・・。

もしかすると、求めていた暮らしが苦痛になる・・・本末転倒な生活にになってしまいます・・・。

敷地の狭さや、密集地での住まい造りに・・・深い軒や板張りの外壁はハードルが高く・・・

日本の良さをあらわす住まい造りは難しくなります・・・。

下見張りの杉板でこさえた外壁は・・・30年そのままでも雨漏れする事無く・・・

少しづつ味のある佇まいとなり・・・世代が変わる頃、ようやく張替えをして・・・

次の世代に住み継がれ・・・それ以外の場所も少しづつ手を入れていきました・・・。

風通しの良い部屋では・・・部屋の中を、風も埃も・・・虫も太陽の光も・・・

季節の花の香りも通り抜けて行きます・・・。

環境が変わり・・・うだるような暑さだから、エアコンを効率よく使う為に・・・

高気密の住宅にする・・・・・

うだるような暑さになる原因を取り除き・・・自然な風が涼を運ぶ環境に戻して・・・

日本の夏を感じ・・・自然の環境で快適に暮らせる時代に少しでも戻す・・・

どうも、突拍子もない考え方だと思われそうですが・・・

移住する方々の思い描く、暮らしのあり方は・・・そんな環境を望んでいるのかなと思ってしまいます。

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一生もの

2020年07月12日 | 古民家

 宵越しの金は持たない・・・と、江戸っ子は粋な考えのようでしたが・・・

火事が多く、人口過密気味の江戸の町・・・火事の時に手持ちで逃げ出せるように・・・

住まいの狭さに必要最低限の家財しか持たなかった・・・など、粋とは言えない都合もあったようです・・・。

物を大切に扱うのは・・・どれも高価な品で、手直ししながら・・・

ほぼ一生使い続けられる生活用具な多かったから・・・

紙やビニールの器や段ボールの家具では、すぐに古びてしまい・・・

手軽に手に出来るものならば・・・ぞんざいに扱ってしまうでしょう・・・。

苦労して手に入れ・・・探し続けてようやく手に入れた品ほど、大切に添い遂げます・・・。

大工さんが使うノコギリ(鋸)・・・使い捨ての刃を使う人がほとんどで・・・

ノコギリの刃を研いで使う職人さんは少なくなり・・・目立てをする方も少なくなりました・・・。

ノミ(鑿)やカンナ(鉋)も・・・ほぼ使わなくて住まい造りが出来るようになってしまい・・・。

だから・・・名のある方が鍛えた鑿や鉋は芸術品として眺めるだけとなり・・・

希少価値のある道具が生かせる仕事が無くなってしまいました・・・。

良い仕事をするのは、道具の良さもあり・・・職人の心構えもあって・・・

日々の努力もありますが・・・

物を大切に・・・一生使い続ける道具で丁寧な仕事に向かう心構え・・・

同じモノ造りでも・・・価格だけが判断基準では無く、そんな考え方が大切だと思います。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする