「心優しき巨人の男、星となる」
ヘスペロスは、巨人アトラースの息子。ヘーラクレースの物語に出てくるヘスペリデスの兄弟でもある(アトラースを参照してください)。
ヘスペロスは非常に賢くて優しい親切な巨人で、人々からこよなく愛されていた。でも、人に好かれるという人物は、ギリシャ神話には滅多にいないこともあって、彼の人気を嫉妬する神もいたのだ。
「別に憎むとか、羨むとか全然してませんよ(ご本人の希望により一部音声を変えてございます)
この嫉妬は、ついには殺人未遂事件にまで発展する。
ある日、ヘスペロスが山登りをしていると、件の神が目ざとくそれを見つけた。一思いに殺してしまおうと思ったその神は、強い西…… オホン、か、風を送って彼を吹き飛ばしてしまう(危うく暴露しまうところでした)。
このままでは地面に激突して、哀れヘスペロスは木っ端微塵に、しかし、この殺人は未遂に終わった。
ある日、ヘスペロスが山登りをしていると、件の神が目ざとくそれを見つけた。一思いに殺してしまおうと思ったその神は、強い西…… オホン、か、風を送って彼を吹き飛ばしてしまう(危うく暴露しまうところでした)。
このままでは地面に激突して、哀れヘスペロスは木っ端微塵に、しかし、この殺人は未遂に終わった。
木の葉のように天を舞うヘスペロスを見かけたのがヒヒ爺こと全能神ゼウス。それではいくらなんでも可哀想だと、彼をそのまま天空へ上げることにした。
かくしてヘスペロスは、夜空の中にあってもひときわ美しい星となった。その星の名は、宵の明星、金星というわけだ。
かくしてヘスペロスは、夜空の中にあってもひときわ美しい星となった。その星の名は、宵の明星、金星というわけだ。
珍しくゼウスの善行が光るエピソードだが、ヘスペロスを殺そうとした犯人は判らずじまい(限りなく黒に近い人物はいるが、推定無罪ということで……)。結局、迷宮入りとなってしまった。