『ブランコの少女』上、リチャード アダムズ著、百々佑利子訳、評論社
<あらすじ>
イギリスで陶磁器の店を営むアランは、仕事先のコペンハーゲンで、輝くように美しいドイツ娘カリンと知り合い、たちまち恋に落ちる。
アランは、彼女をイギリスに呼び寄せ結婚し、二人の甘い日々が始まった。
イギリスで陶磁器の店を営むアランは、仕事先のコペンハーゲンで、輝くように美しいドイツ娘カリンと知り合い、たちまち恋に落ちる。
アランは、彼女をイギリスに呼び寄せ結婚し、二人の甘い日々が始まった。
当初カリンに不審をいだいていた人々も、やがて彼女の魅力に惹きつけられていく。しかし、アランは彼女の過去を何も知らないままだった…… 。
<感想>
『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』や 『疫病犬と呼ばれて』といった動物ものファンタジーとはまったく違った雰囲気の恋愛小説になっている。
『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』や 『疫病犬と呼ばれて』といった動物ものファンタジーとはまったく違った雰囲気の恋愛小説になっている。
アランは、彼の仕事で取り扱う陶磁器のように繊細で、もろさを備えた人物として描かれている。この点、著作者アダムスの心情を投影した、自伝的な小説といった趣きがある。
相変わらずの描写の細かさ、美しさは当然のことながら、カレンの美貌について、意図的に細かい描写をしておらず、読者の想像にまかせて、より一層美しさを際立たせているのは鮮やかだ。
あまり恋愛小説は読まないが、男性視点による本作品は、一気に読んでしまった。アダムスの読者を惹きつける文章力は、さすがというほかにない。