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第無夜 怪談 コーヒーブレイク 其の伍(後編)

2010-08-11 08:31:31 | 不思議夜話
 前回の続き―― 。


 バスケ部の彼は、仕方なく件のトイレへいきました。中に入ると、すべてのトイレの扉が閉まっていました。部活の最中です、本来この時間帯は空いているはずなんですが、満室でした。
 彼は、一番手前から順にノックしていきました、


 トントン…… 。するとしばらくして、中からトントン…… と返してきます。次の場所も、その次の場所も同じでした。
 残りは、件の開かずのトイレしかありません。しかし、扉には「使用禁止」の張り紙がしてあります。
 もちろん彼も、妖怪の話を知っていましたから使いたくありませんでしたので、しばらくその場で待つことに…… 。
 しかし、一向に出てくる気配がしません。だんだん事態が切迫してきます。我慢できなくなってきたのです。今さら違うトイレに行く余裕もありませんでした。


 そこで仕方なく「開かずのトイレ」の前に立ち、ドアノブに手をかけると、ロックしてあるはずの扉が開くではありませんか。そこで一瞬躊躇したのですが、生理的欲求に耐えられず中に入って用を足すことにしたのでした。


 中に入り、扉を閉めて準備をすると、天井から声がしました。


 「赤が好いか? 青が好いか?」


 普通この手の場合、用を足した後に声が掛かるものですが、そのときは用を足す前でした。しかも通常は「赤いチャンチャンコが好いか? 青いチャンチャンコが好いか?」と聞いてくるはず。うわさではそのようになっていました。


 でも考えてみてください。彼は、事態が切迫していてやむなく、このトイレに入ったのです。緊張感がなくなった後ならまだしも、切迫した状態でどのよう声をかけられても、まともに答えられるわけがありません。


 それに彼には早く戻らなければならない理由がありました。バスケ部の練習はきつかったので、トイレにかこつけてサボる部員が時どき出没した。そこでサボり防止のため、トイレは5分で済ませ体育館に戻る必要があったのです。


 そこで余裕のなかった彼は「どっちだっていい!」と、答えたのです。


 しかし、天井からは、さっきほどより大きな声で「赤が好いか? 青が好いか?」と繰り返します。
 彼は、いよいよ面倒臭くなってきて、投げやりに言います。


 「ああー、もうクソー、どっちだっていい! 勝手にしてくれ!」


 すると、天井からの声が突然とまり、しばし沈黙…… 。そしてトイレ内の電灯が消えたかと思うと―― 。
 暗闇となったトイレの天井から、ボタボタボタッと、頭上に大量の何かが落ちてきて、それを被った彼は、大きな悲鳴を上げて気を失ってしまったのです。


 それからしばらくして、なかなか戻ってこない彼を心配したバスケ部の先輩が様子を見にきました。すると、トイレに中は電気が消えて暗闇の中。しかも異臭がする。


 先輩は、急ぎ電灯のスイッチを入れると、「使用禁止」で閉まっているはずの「開かずのトイレ」が開いているではありませんか。どうやら異臭はそこからしてきます。


 恐る恐る近づいてそっと覗くと、中には赤や青色のう○○まみれになって気絶している彼を発見したのでした(お食事の方、大変申し訳ありません)
 それ以来、その開かずのトイレに出没する妖怪を「赤座布団」と呼ぶようになったのでした。


 なぜなら、テストで悪い成績をとると、個人個人に渡されるテストの成績表に赤ペンで点数を書かれて、そのうえ点数の下に赤い線が引かれます。この赤い線を赤座布団と言い、余分なものがついていると言うことで、件の妖怪にう○○まみれにされた―― 。つまり余分なものをつけられた、に掛けて「赤座布団」となったのです。 ――そんな臭い話でした(笑)。


P.S これでなぜ、学校の七不思議の1番目「体育館裏の開かずのトイレ」の話が、コーヒーブレイクの回に書いたのか、お判りになっていただけたかと存じます。お粗末さまでした…… (汗)。