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「アルゴスの王女・ダナエー」

2010-06-22 21:10:18 | ギリシャ神話

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 「忍び寄る悪夢は…… 陽の光」


 物語はアルゴスの王・アクリシオスが、ある神託を受けたことから始まった。


 「あなたは、孫息子の手にかかって死にます」


 このお告げを聞いた王は、一人娘のダナエーに子供を生ませないようにすれば、孫も生まれない、と考える。
 そしてダナエーを扉もなく、息を保つための通気口が一つだけの青銅の塔に閉じ込めてしまった。
 通気口は陽の光がわずかに差し込む程度の小さなもので、彼女はとても心細かったに違いない。


 ――薄幸の王女は美女に違いない―― というわけで、ハイ、やって来ましたヒヒ爺。あのおっさんがダナエーのこうした事情を噂で聞いて黙っているわけもなく、動き出したのだ。
 しかし、まだ懲りずに己の所業を悔い改めないのか(無理無理っ、彼が宗教を信じるわけがない。ある意味、彼が宗教であるからにして…… )。


 でも、ダナエーは青銅の塔に閉じ込められている。どうするのかゼウス。


 「ふおふおふおほ、愛は無敵なのだ」(あんたの場合は欲望だろうが)


 などと、あの親父が言ったかどうかは知らないが、その手口は鮮やかだった。なんとゼウスは陽の光に化けて通気口から忍び込んだのだ。


 いつも如くダナエーは、子供を身ごもった。ビックリしたのはアルゴス王。たぶん自分に向けられた、何か得体の知れない強力で邪悪な力を感じ取ってしまったのかもしれない。
 でもこれは、少々的外れな見解だ。ゼウスはアルゴス王のことなどこれぽっちも考えていなかった(もっとも邪悪というのは当っているかも)。


 ダナエーが男の子を生むと、王は、この親子を海へ捨ててしまう。ところがこの二人はセリーポス島に流れ着いて、そこのポリュデクテース王に礼遇された。やがてダナエーの子・ペルセウスは冒険の旅へと旅立った。


 しかし、ダナエーの受難はまだ続く。なんとポリュデクテース王がダナエーに恋をして強引に結婚を迫り、婚礼の席まで用意してしまったのだ。再びダナエー危うし! かと思ったら、ペルセウスがメドゥーサの首を土産に帰ってきて、その場にいた母以外の出席者を石にしてしまったのだった。


 ところであの神託はどうなったかというと、のちにとある競技に参加したペルセウスが円盤投げをした。あまりにも遠くに飛び過ぎた円盤は、客席に激突。ひとりの観客に命中して、その者は息絶えてしまう。
 そうです。その席にたまたま座っていたのが、アルゴスの王・アクリシオスであったとさ。チャンチャン。




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