「カリュブディスと組んで前門の狼、後門の虎」
メジャーな怪物が続いたのに、いきなりマイナーになってしまいました。まあ、最近ではRPGなどに時折見られるようになったから、以前ほどではないかもしれないけど、たぶん知らない人は多いのではなかろうか?
実はスキュラ、知名度が低い割りに出演回数は多い。航海がらみの話には、必ずといっていいほど名前が出てくるのだ。
他の怪物が英雄に退治されて有名になっているのとは対照的で、こいつは言うなれば“大自然の驚異”を具現化したようなものなので、退治したくても退治のしようがない、という困った存在なのだ。
他の怪物が英雄に退治されて有名になっているのとは対照的で、こいつは言うなれば“大自然の驚異”を具現化したようなものなので、退治したくても退治のしようがない、という困った存在なのだ。
その姿は六つ頭のヘビに似ているとも言われているけれど、上半身が女で、脇から六つの犬の頭が生え、十二本の足を持っている、というのが正しいようだ。ちなみにスキュラとは“犬の子”という意味。
波間を漂う岩に潜んでいて、近づく船があると六つの首を伸ばして乗員を捕らえ、海に引きずり込んでしまう。
元は人間だったという説と、ゴルゴンの姉妹だったという説がある。まあ、いかにも血がつながっていそうな感じだけどね。
波間を漂う岩に潜んでいて、近づく船があると六つの首を伸ばして乗員を捕らえ、海に引きずり込んでしまう。
元は人間だったという説と、ゴルゴンの姉妹だったという説がある。まあ、いかにも血がつながっていそうな感じだけどね。
スキュラのは相棒がいて、カリュブディスと言い、巨大な断崖にいて、一日に三度水を吸い上げ、放出する。
これに船が巻き込まれるとひとたまりもなく、航海者にとってスキュラともども、海の上では気をつけなければならない相手とされていた。
これに船が巻き込まれるとひとたまりもなく、航海者にとってスキュラともども、海の上では気をつけなければならない相手とされていた。
オディッセウスは警告を受けていたにもかかわらず、このスキュラに六人の仲間の命を奪われてしまったのだ。
武装して船の縁を見張っていたところを襲われたって言うのだから、少し間が抜けたと言われても仕方がないが、つまりどんな英雄でもこいつだけには歯が立たず、何とかやり過ごすしか手がなかったということなのだ。
あのイアーソーンもヘーラーの加護を受けて、ただ通過するしかなった。
武装して船の縁を見張っていたところを襲われたって言うのだから、少し間が抜けたと言われても仕方がないが、つまりどんな英雄でもこいつだけには歯が立たず、何とかやり過ごすしか手がなかったということなのだ。
あのイアーソーンもヘーラーの加護を受けて、ただ通過するしかなった。
そんな恐ろしいものなら、神さまが何とかしてくれそうなものだけど、スキュラ退治の声は不思議と挙がってこない。ひょっとして、神さまにも手の打ちようがなかったのかも…… 。
しかし、ヘカトンケイルとかテューポーンなんかよりよほど貧弱そうなんだけどなあ。
しかし、ヘカトンケイルとかテューポーンなんかよりよほど貧弱そうなんだけどなあ。
ちなみにスキュラとカリュブディスは岩礁と潮とを象徴していると言われている。まあ、自然の驚異を怪物に、しかもかなり独創的な姿にイメージする昔の人の想像力の逞しさには恐れ入ります。
でも、岩礁と潮だとすれば、――スキュラを倒すにゃ刃物は要らぬ、海図とコンパスがあればいい――なんてね。
でも、岩礁と潮だとすれば、――スキュラを倒すにゃ刃物は要らぬ、海図とコンパスがあればいい――なんてね。