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「マクベス」 舞台内容 一幕五場 (1)

2009-10-26 11:02:00 | 「マクベス」

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 インヴァネスのマクベスの居城にてマクベス夫人は、夫からの手紙により今回の叛乱鎮圧で手柄を立てこと、魔女たちから予言を受けたという不思議な体験したことなどの報告を受けていた。
 この手紙の内容には、ことの詳細について書かれておらず、国王ダンカンが、後継者にマルコムを指名し、マクベスの希望が挫折したことが書かれていない。
よってこの手紙は、彼が国王に謁見する前に出しであろうことが伺える。

 この手紙では、魔女の予言について最も重要な部分であるマクベスが国王になるであろうということが強調されており、この前触れとしてコーダーの領主になることが書かれているのだ。




 ここまで世間の目を通してマクベスを見てきたが、ここでは彼の妻を通して見ることとなる。
 'Glamis thou art, Cawdor; and shalt be
   What thou art promised: yet do I fear thy nature;
   It is too full of the milk of human kindness,
   To catch the nearest way.'
 (あなたは、現にグラームズ領主に、そしてコーダーの領主なられ、
 また、約束どおりの身分におなりになるだろう。
 でも、あなたの性格が心配。ことを手早く運ぶには、
 思いやりという甘いミルクに溢れすぎているから)


 この部分は、これまで知らされなかったマクベスの一面を語るものである。
彼は、殺人こそ王位への最も近道であると思いながらも、ここ一番で優しい性格が災いし決断できないでいることを示している。
 夫の尻を叩いて王冠を取らせようと決意しているんだけど、ちょっと怖いです。
マクベス夫人は、不甲斐ない夫を心配していて、それを鑑み全体の説明的に、この部分を要約すると、
「でも、わたくしはあなたの性格が心配なのです。あなたは、あまりにも人間らしく、人間性の弱さに打ち克って、一番の近道を行くことが出来ない」
ということになる。それは暗に国王を殺害しろってことだよね。




 マクベス夫人の夫に対する批評は、さらに続く。
              'thou wouldst be great;
   Art not without ambition, but without
   The illness should attend it: what thou wouldst highly
   That wouldst thou holily; wouldst not play false,
   And yet wouldst wrongly win:'
        (なるほど大望はお持ちでしょう。
 野心もなくはない、しかし、それに伴う邪な心に
 欠けておいでだ。あなたはとても欲しがっていながら、
 どこまでもきれい事でお済ませになりたがる)


 この夫人のマクベスの性格を述べる箇所で、マクベスという人物を的確に描写している。


 マクベス夫人の見立てでは、夫が犯罪を尻込みするのは、彼が本能的に犯罪を憎むからではなく、殺人を行なうだけの度胸がないからで、彼の勇気は、何か外からの力に応援されなければ発揮できないということである。
 つまり、ここ一番で弱気でヘタレなマクベス君ということなのだ。
しかし、やっぱり女は恐しってか!良くいえば、内助の功だと思う、悪い意味で。


              'Hie thee hither,
   That I may pour my spirits in thine ear;
   And chastise with the volour of my tongue
   All that impedes thee from the golden round.
   Which fate and metaphysical aid doth seem
   To have thee crown'd withal.'
        (早く帰っていらっしゃい。
 そしたら、わたくしの気性をあなたの耳に注ぎ込んであげる
 黄金の王冠を掴むのをあなたが躊躇しているなら、
 わたくしの勇ましい舌で、きつく叱ってあげます。
 運命と魔性の力が一緒になって、あなたの頭上にその王冠を
 載せようとしているのだから)


 夫をしっかりさせるために彼女の演ずべき役割は決まった。
まさにこの瞬間、使者が訪れ、国王ダンカンが、その夜に彼女の城に泊まることを告げる。
 回る、回る。運命の歯車が…… である。






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