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「女面鳥身の怪物・ハルピュイア」

2010-07-06 10:31:25 | ギリシャ神話

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 「臭い、うるさい、意地汚いの三拍子」


 ハルピュイアというより、英語読みのハーピーという名前で知っている人が多いと思う。女面鳥身の怪物ということになっている。
 では、――セイレーンと区別がつく人、手を上げて下さい―― って言われて説明ができるようだったら、なかなかのギリシャ神話通と言えそうです。


 どこが違うかというと、先ず外見。セイレーンは腿のところまでが人間で、そこから下が鳥。ハルピュイアは一般的に、体は鳥で顔だけが人間ということになっている。
 ただし、翼の生えた女性とだけしか説明されていないこともあって、これが定番の姿だと一概に言えないところがある。
 さらに声が違う。セイレーンは実に美しい声で歌って、海を行く船乗りの意識を奪う。怪しげな妖魔といったところで、ハルピュイアはうるさい声で、ただギャーギャーわめくだけなのだ。
 イアーソーンのアルゴー号探検隊の件で、人さまの食べ物を奪う場面なんて、ほとんどカラスにそっくりなのだ。


 ちなみにセイレーンは三姉妹(なぜか、ギリシャ神話には三姉妹が多い。トリニティ設定か!?《笑》)だが、ハルピュイアは、名前が分かっているアエロー、オキュペテの二人(二羽?)に加えて、それ以上の数がいたと思われている。


 こう比べてみると何だかハルピュイアの方が下等な感じだが、血筋からいうとそうとは言い切れないところがあるからちょっと厄介。
 セイレーンは芸術の女神ムーサの娘で、いうなれば有象無象のニンフに過ぎない。一方のハルピュイアはポントスに始まる海洋神の系譜に連なっているのだ。ついでに言うと、あのゴルゴーン三姉妹の従姉妹に当たるのだ。


 まっ、どっちが偉いって言うものでもなく、何しろ航海者にとって迷惑な存在であることには変わりない。
 でも意外なことに、この下品なハルピュイアが後の人魚になってしまうのだからオドロキである。
 中世の人魚の図像を見ると魚の胴体に、なぜか翼が生えて鳥足が付いたものがあることが分かる。元々古くからあった人魚のイメージと、海神の系譜ということでハルピュイアが一緒になってしまったためらしい。
 人魚は歌で航海者を惑わすとされたけど、これは同じ鳥身ということで、セイレーンとハルピュイアがごっちゃになって引く継がれたものであるようだ。


 鳥と魚がごっちゃになるって言うのも奇想天外だけれど、じゃあ何でそもそも海の神の子供が鳥なんだろうか?う~ん、ダーウィンの種の進化も真っ青な組み合わせだ。昔の人の考えることには謎が多いってことです。




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