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「リア王」 舞台内容 二幕四場(5)

2010-03-23 10:51:17 | 「リア王」

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 すでに三度も激情の嵐に曝されて、とうとうリアは頭がおかしくなり始める。自身の感情をコントロールしようと努力するのだが、思うようにいかずに、換わりに狂気が次第に襲い掛かってくるのを感じる。
          'You think I'll weep;
   No, I'll not weep:
   I have full cause of weeping; but this heart
   Shall break into a hungred thousand flaws,
   Or else I'll weep. O, fool, go mad.'
       (おまえら、余が泣くと思っているな。
 いや、泣くものか。
 泣きたい理由は幾らでもある。だが、この心を
 粉々に打ち砕いてしまうまでは、決して泣きはせぬぞ。
 おお、道化よ、余は気が狂いそうだ)


 こういう棄て台詞を残し、リアは激しい嵐の中に飛び出して行ってしまう。逆に娘たちは邸の中へ戻って行き、リアを探しに行くこともしなかった。
 激情の嵐に曝されたリアは、実際の嵐にも曝されるというわけだ。この辺りがシェークスピアの皮肉っぽいところを感じる。つまり心身ともに嵐にもみくちゃにされるということだ。




 そしてことごとに娘たちの冷酷な心が暴露する。グロスターとリーガンとの間に交わされた会話――
Gloucester: Alack, the night comes on, and the bleak winds
          Do sorely ruffle; for many miles about
          There's scarce a bush.

Regan:                   O, sir, to wilful men,
     The injuries that they themselves procure
     Must be their schoolmaster.

グロスター:ああ、夜になる、身を切る冷たい風が吹き荒れている。
     この辺りは、どこまで行っても
     草むら一つもありはしない。

リーガン:      ええ、でも頑固な人というものは、
    自ら招いた禍を、己の師とせねばなりますまい。


 そして城門は閉じられて、リアは追い出されてしまった。ここで二幕は閉じる。




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