昨日僕と子供達は近くの町でPCRテストを受けてきました。娘の大学の試験を延長してもらうのには簡易検査キットの結果は考慮されず、PCRテストの結果が必要だったからです。僕も、退職はしましたが、現在ロングサービスリーブという有給休暇中であり、この期間中に病気や事故の時には病欠手当が貰え、その上、ロングサービスリーブが延長されるからです。
PCRテストの結果は、やはり皆が陽性でした。(妻は陰性だったので、今日は仕事に行きました。)今の所、病状は軽症で、痰が絡む咳が出るぐらいで、熱もなく、臭覚と味覚は正常に機能しています。娘によると、コロナの予防接種を打った時の方が体がしんどかったそうです。子供達の病状も咳と鼻水ぐらいで、軽症です。
ただ、息子はフォーマルという学校主催の行事に出席が出来なくなり、とても残念そうでした。このフォーマルは、学校主催の晩餐舞踏会(ダンスパーティー)で、12年生の生徒達が、背広やドレスなどフォーマルな衣装に身を包んで、ダンスを踊ったり、ディナーを食べたりして、友達との友情を高める、高校生活で最後で最大のイベントです。
さて、コロナで隔離期間中、どこへも行けないのでブログを書く時間が沢山できました。
このブログを読んで下さっている皆様は、僕がどうしてオーストラリアで牧場を買ったのかと思われていると思うので、今日は牧場を買うに至った経緯ついてお話しようと思います。
この牧場を買う数年前、当時結婚して間もない頃、妻と一緒に妻の友人夫妻が経営する農場に遊びに行ったことから話は始まります。その夫妻の農場はメルボルンから1時間半程の所にある、その400エーカー(160ヘクタール)程の農場には肉牛のほかに趣味でロバを10頭程、飼っていました。ロバを実際に近くで見るのはその時が初めてだったように思います。馬よりずっと小さいのに力持ちで人を乗せられる働き者、食べるのは牧草だけでなく、木の枝や木の皮などで、それほどお金もかからない。中東やアフリカではまだロバが家畜として農作業を手伝ったり、荷物を運んだりしていることが分かり、調べれば調べるほど、大変優秀な家畜であることが分かりました。その頃、自給自足に興味があった僕は、「ロバは耳が長くてかわいいし、乗れたら、面白そうだね。」と妻に言うと、妻も「いいんじゃない?でも広い土地がいるんじゃないの?」と乗り気です。当時住んでた家はローンを完済したばかりで、借金地獄から解放されて喜んでいたのですが、「この家を売って、頭金にすれば、小さな牧場ぐらいなら買えるかも。ロバを飼えば、牧場の草を食べてくれて、芝刈りの手間も省けるね。」と予算内で買えそうな物件を探し始めました。
ところが、一年以上探しても僕達の予算内で買えそうな牧場は見つかりませんでした。そろそろ諦めようかと思っていた頃、妻が生まれ育った家(当時は義理の母が住んでいた)から、車で5分くらいのところに、古いレンガ造りの二階建てで、6.5エーカー(2.5ヘクタール)の小さな牧場が売りに出ているのがに目に留まりました。築30年程で、家は古いですが交渉次第では予算ギリギリで僕らにも買えそうな物件でした。
まず僕一人で内覧会に行ってきました。二階の24畳はありそうなリビングを通り抜け、ガラスのドアから、そのままバルコニーに出てみると、180度、見渡すかぎりの牧草地と林が広がっていて、遠くはダンデノン丘陵も見える絶景でした。「ここを買うよ。こんな景色のいい物件、見たことない。」家に帰ってきて、妻に報告すると、早速、妻も内覧に行き、「家は古いけど、、、景色は素晴らしいわね」と乗り気な様子。早速、不動産屋に電話して値段の交渉に入りました。
僕らがこの物件があまりに気に入ってしまっているのを悟られてしまったのか、売主は気前よく値下げ交渉には応じてくれませんでした。不動産屋に「この値段だったら、売ってもいいそうですよ。」と言われて、「まあ、少し高くても、この物件を失うより買った方がいいかな。今、この物件を買わないと後できっと後悔する。」と考え、思っていた値段よりは高かったですが、何とか予算内で、商談成立。28歳の時オーストラリアに来た留学生が、わずか11年後に、ここで牧場主になるなど、誰が想像できたでしょうか。自分でさえ夢にも思わなかったことが現実になった瞬間でした。
早速ロバのオーナーのロバクラブに入会し、近くに住んでいるロバクラブの人にロバの飼い方のアドバイスをもらい、晴れて、ピートという名前のロバを買って、ピートとの生活が始まりました。
晴れた週末はよくピートに乗って近所を散策したり、3歳の娘をピートに乗せて散歩に行ったりしました。妻も当時赤ん坊だった息子を乳母車に乗せて、よく一緒にロバの散歩に行きました。
2年程、ピートと楽しい時間を過ごしましたが、3年目にピートを売ることにしました。理由はロバは頑固というイメージ通り、やはり素人にはロバを自由自在に扱うのは難しく、ロバを扱った経験がない僕には、思い通りにピートを操る自信がなかったからです。
ロバは草食動物ですから、ライオンなどの肉食動物から身を守るために、危険を察知すると、一瞬で逃げる動作をとって身を守る反応はDNAに深く刻まれているようです。ロバに乗ってのどかな田舎道を歩いている時、不意に聞きなれない音や、見慣れない物を見ると、一瞬でロバの脳からは危険信号が出て、逃避体制に入り、僕はサドルから滑り落ちるのでした。ロバが不意に横にステップして、頭から真っ逆さまに地面に落ちたことも何度かありました。ピートのサドルの高さは1メートル10センチ程だったと思いますが、下手をすれば首の骨を折って四肢麻痺になりかねませんでした。ロバにもシートベルトが付けられないかなと何度か思いました。
幸いに、ロバクラブの会報誌に広告を出すと、直ぐにピートの買い手が見つかり、買った値段と同じ値段(500ドル5万5千円)でロバを売ることができました。
ロバを売ってしまった後は、牧場で馬を預かるサイドビジネスを始めて今日に至ります。ビジネスとはいうものの、ただ、牧場で人様の馬に草を食べてもらって、その上、牧場使用料も頂けるのです。
最後の写真はバルコニーからの写真です。この景色に感動して、この牧場を買いました。
では、また明日、このブログでお会いしましょう。