昨年、ビクトリア州ではスキーシーズンに入って三週間足らずでロックダウンされてしまったので、5日程しかスキーに行けませんでした。幸い、雪が少なかった様で、ロックダウンがなくても、あまりよいシーズンではなかったようですが。外出は家から半径5キロ以内に制限されましたので、家の周りを毎日1、2時間散歩して近隣の方々と知り合いになれたのは良かったです。
さて、一昨日のことですが、今年の初スキーに一人で行って来ました。この日を一年中、待ち焦れていました。一昨日(6月13日)は祝日(女王誕生日)の3連休で、僕のホームグランドである標高1509メートルのグイ二ア山(Mt St Gwinear)は積雪が50センチ程あり、シーズン初の連休だったこともあって、想像以上に賑わっていました。天気は快晴、しかも風は殆どなかったせいか、百台以上の車が駐車してあったと思います。但し、殆どの来場者は雪遊びか、そり遊びが目的で、僕の様なスキーを履いて山に入るスキーマニアの人達は10数人程でした。その他に、スノーキャンプが1人、スノーシューが6人ほどだったと思います。ほぼ一本道だし、目印になる棒も等間隔で建ててあるし、スキーの通った跡やスノーシューの足跡があるので、道に迷う事はなく、午後にはスキーパトロール隊のボランティアが、見回りに来てくれるので安全です。
日本では考えられないことなのですが、オーストラリアのスキー場は、車で場内に入るだけで、一日60豪ドル(5500円)くらいの入場料がかかります。この入場料は施設内の整備や、除雪、トイレ、パトロール隊、救急隊、循環バスなどに使われます。オーストラリアの雪山の殆どはスキー場になっていて、高額な入場料がかかります。しかしながら、このグイニア山は国立公園内にある為、入場は無料。レンジャーと呼ばれる人たちが、国立公園内の道やトイレや避難所などを管理しています。
僕がするスキーというのは、クロスカントリースキー、強いて言えば歩くスキーです。チェアリフトのあるスキー場ではなくて、雪の積もった山道をスキーを履いてハイキングするスポーツです。山道ですから、上り坂はスキーで登り、下り坂はスキーで滑り降ります。
クロスカントリースキーで、上り坂を苦も無く登れる理由は二つあって、まず、スキーの裏側にある鱗のようなギザギザです。これで、スキーが後ろに下がろうとすると、雪に引っかかって、下がりにくいのです。(もちろん、ある程度の坂までは、ですが。)もう一つの理由は、スキーのブーツがスキー板に固定されているのは、つま先だけ。それで、スキー板から踵(かかと)を上げることができるので、通常の歩行に近い歩き方ができるのです。
ただし、登山道の道幅は2、3メートルしかないので、下りの時、小回りのターンが難しく、ほぼ直滑降、なので、スリル満点、というより、すごく怖いのです。今日はシーズン初日だったし、去年、一昨年も相次ぐロックダウンで、まともに滑れていないので、スキーの腕前はかなり落ちておりました。(というか、50歳になってからスキーを始めたので、そもそも初心者に近いが、、、。)それに、ガリガリ、バリバリのアイスバーンだったので、下りでのコントロールが難しく7,8回は転倒しました。というか、スピードが出過ぎると、止まれないので、気にぶつかる前に、転んで止まるしかない。本当はカッコよく止まりたいのだけれど、まだ、下手ですから、、、。
グイニア山の山頂では、写真を撮ってもらった60代のご夫婦とお喋りが出来ました。その人たちも僕とほぼ同じ様なアウトドア系の趣味があって、この雪山にはよくいらっしゃるのだそう。ここより更に雪深い、ボーゴン高原(Bogong High Plain)を無人の避難所に泊まりながら、スキーで彷徨するのが好きという凄い老夫婦でした。
話していて、様々なアドバイスをもらいました。例えば、60歳になると、シニアカードが使えて、レイク山スキー場の駐車券が半額の30ドルになるとか、高原の避難所では、無料で宿泊ができるけれども、飢えたネズミ達が沢山いて、ザックの中の食べ物を食べられてしまうので、必ず天井近くの釘からザックをぶら下げること。でないと、ザックに穴をあけられて食べ物が食べられてしまうからとのことでした。
それに雪山の避難所では、深夜、ネズミが走り回ってうるさくなって、寝られないかもしれない。そういう時には、餌になりそうなパンやチーズをネズミにあげると、お腹が一杯になって寝てしまうので、静かになってぐっすり眠れるとのアイデアも頂きました。老夫婦の名前を聞かなかったのが残念でしたが、またいつか、この人達には会えると思うのです。以前にもここで会った気がするし。
帰り道に話したスキーヤーは60代のバーティンさん。この山が大好きで、夏も冬も年中、この山を散策するとのこと。メルボルンに住んでいる人たちの99%は聞いたことがないというこの雪山、メルボルンから2時間30分で行けて、無料で雪遊びが楽しめる貴重な雪山なのです。
どなたか、メルボルン在住でクロスカントリースキーやスノーシューをしてみたいけど、道具を持っていない方、是非コメント欄にてご連絡下さい。一緒に、行きましょう。
グイニア山の山頂1509メートル (7人のスキーヤーで賑わっていました。)
ロックシェルターに行く途中、山頂を見上げるとこんな感じでした。右側は小川。
氷の枝。枝が雨に濡れて凍ったみたい。