名古屋市民ギャラリーにある展示会案内のハガキを置くコーナーで、しばらく前にこのハガキ(写真1枚目)を手にして戸惑いました。
水彩画、日本画、などといった文字は見当たりません。生け花展でもなさそうです。ネットで調べた結果、クレイとは粘土のことで、粘土で造った花の展覧会と分かり訪ねました。
「そういえば、孫たちも百均のカラフルな粘土で遊んでいるな。造花展のようなものか」ぐらいに思って出かけたのですが、会場に並ぶ花々を目にして驚きました。
匂いこそ感じませんが、花屋さんに入ったみたい。指で触れなくても、ホテルのロビーなどで見かける造花とは全く違う印象です。
透明感や温かみ、柔らかさを感じます。
コダマ・クレイ教室(児玉初枝主宰)は名古屋・西区に本部を持ち、名古屋市内や近郊の市などに20以上の教室があり、東京・荻窪にもできたそうです。
「透明感や粘り気など4種類のオリジナルクレイの特性を生かし、色を練り入れて花びらや葉、枝、茎、棘などを一つ一つ作ります。萼片や雄しべ、雌しべなども同じです。これらのパーツを組み合わせて一輪の花ができます」
「透明粘土の着色や、薄く細いパーツを自然乾燥させ、葉や花びらを曲げたり、色を整えたり」
文字で書けばこの程度ですが、実際に造るとなると気が遠くなりそうです。
例えば1本のバラを造ろうとすれば、花びらは一重の品種ならともかく、八重だと70~80枚。いや、ネットを開くと、品種によってはその倍はあるようです。しかも、息を吹きかければ、どこかへ飛んでいってしまいそうな花びらは、大小だけでなく、曲がり方、色などもそれぞれ違います。
――あの鉢植え花は、完成までどのくらいかかりますか?
「どうでしょう。かなりの日数がかかったのは確かですね」
何事も容易ではありません。だから面白く、作り上げた時の感動はすごいでしょう。「世界に1つだけの花」ですから。