園庭での家族一緒のおやつタイムが終わって、遊び回っていた子どもたちが部屋へ入り、堀の周りにできた来園客らのカメラの放列が立ち去っても、シャバーニはしばらく出入り口に座って見つめていることがあります。
視線の先には、他の動物仲間の園舎や動物園周辺の住宅街やビル群、学校などが広がりますが、シャバーニの目が止まるのはもっと手前のようです。
そこは、クレーンが忙しく動く工事現場。「東山動植物園再生プラン」のひとつ、「アフリカの森エリア=ヒトのなかまがくらす森」の建設が進んでいるのです。
周りは仮設の塀で囲まれて来園客には現場の様子は見えませんが、シャバーニが座る出入り口は高いところにあるので、工事の一端を見渡すことができるでしょう。
「アフリカの森エリア」へ引っ越しが予定されているのは、ヒトに一番近いとされるチンパンジーとゴリラ。シャバーニ家族にとっては、いわば「新居」なのですね。工事の進捗状況を見守り、新居での暮らしを思い描いているのでしょうか。
森の中でヒトと仲間たちが、同じ目線で息づかいを感じ、見つめ合うことで、これまで以上に互いを知り合い、同時に自然環境を考える場になれば・・・。完成は来年春の予定です。