教室のスケッチ旅行で出かけた愛知県の篠島で出会ったサンセットの一枚です。
時計が午後5時を回ってまもなく。雲ひとつない西の空を染めたオレンジが一層濃くなり、太陽がスローモーションの動画のように地平線に吸い込まれました。
穏やかな海面に綾なす色の帯。オレンジ、白、黄、赤、緑、青、紫、濃紺・・・。
逆光に包まれる小さな島。頭に飾りのように伸びる何本かの松が、くっきりと存在感を増します。
そして、手前に大きく広がる島影。一瞬の光景です。
僕は夕日や朝日を描いたことは、ほとんどありません。あまりにも壮大で鮮やかな演出に見とれるだけで、描く自信がないからです。でも、それだけに描き始めると手ごたえがあり楽しいですね。
ところで、他人が描いたり写真に撮った朝日や夕日の作品を見て、朝日と夕日の違いを見分けることはできるものでしょうか。
朝日や夕日を絵にしたり、写真に収めている人たちに質問したことがあります。
返ってきた答えの多くは、「画面に建物や人物、草花、山、川といった場所や様子、その方向、時間などを推測できるものが入っていなければ、きちんと見分ける自信はありません」とのことでした。
そういえば、モネの名作『印象・日の出』について、制作年とともに「“日の入り”ではないか」との論議が以前ありましたね。
その後、所蔵するマルモッタン美術館らによって進められた、当時の港周辺の写真や気象状況などをもとにした調査・分析の結果「1872年11月13日午前7時35分ごろ」との結論が出たようですが、朝夕の区別はそれほど難しいということですね。