2020.04.29(水)
我が社も協賛企業となっている関係上、初回から参加していた「上関真鯛釣り大会」が今年9回目となるが、新型コロナウイルスの感染が拡大している状況を鑑み、4月20日、正式に中止と決まった。東京オリンピックの延期、又、全国に緊急事態宣言が発せられた時点で予想されたことだった。文書でも知らせて来たが、実行委員会の委員長からも直に電話を貰った。今年は6月7日開催予定だったが、準備に携わってこられた方々にはご苦労さまでした。来年は開催されることを祈っています。
最近読んだ本。記載するのは今回で25回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。
4歳の孫娘がドラムの練習。
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 村上春樹著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年3月3日読了
寸評:多崎つくるは名古屋での高校時代、4人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、理由も告げられずに4人から絶縁を申し渡される。理由も解らずそれを受け入れたつくるは、その時期死の淵を彷徨い漂うように生きて来た。つくるは趣味の延長で鉄道の駅を作る大学に入り、卒業して鉄道の駅を作る会社に就職した。社会人になって10年も経った頃、新しい恋人沙羅に促され、あの時に何が起きたのかを探り始める。5人は完璧な調和を成す関係だったはずだが・・・、青春時代のはかない、取り戻すことの出来ない無念の真実に向き合う。つくると恋人沙羅のその後も気になるが、小説では明かされていない。恐らく別れたであろうと想像する。
『村上海賊の娘』1~4巻 和田竜著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’20年3月19日読了
寸評:本屋大賞、吉川英治文学新人賞受賞作。木津川合戦の史実に基づく壮大な歴史巨編である。戦国乱世にその名を轟かせた海賊衆、瀬戸内海の島々に根を張り勢力を誇る当主の村上武吉、彼の豪勇と荒々しさを受け継いだのは娘の景(きょう)だった。主人公の能島村上の姫、景は地元では捍婦で醜女と言われ(色黒で彫が深い現代では美人か)縁談も儘ならぬが、安芸の百姓の一行宗徒に大坂の堺に行けばもてるはずだとおだてられ、ついその気になり百姓等を船で大坂本願寺まで送る。その実、真鍋氏を始めとする泉州の海賊等には絶世の美女と大もてだったが、彼らは信長の配下となり本願寺攻めの先鋒を務める。一向宗門徒の大坂本願寺側に劣勢だった織田方だが、信長の急襲により反転、封鎖された難波海へ遂に姿を現す毛利家と村上家の大船団、村上海賊には毛利も知らない秘策(鬼手)があった。2巻以降は戦の解説付き実況中継の様相である。
『小沢一郎はどのように自民党をぶっ壊したか?』 大下英治著 徳間文庫 評価☆☆☆☆ ’20年3月25日読了
寸評:史上空前の圧勝で民主党を勝利に導き、自民党を完膚なきまでに叩きのめした小沢一郎を描く。民主党政権で軸となるのは小沢一郎である。小沢抜きで民主党は語れない。小沢のくノ一刺客術、小沢の天下獲り、自民逆襲のシナリオの3部構成である。小泉改革は保守本流を受け継ごうとする潜在意識の表れだった。結果、自民党の票田、古い支持母体と最も繋がっていた経世会を潰した。これにより自民党が弱体化し民主党に利する。政権交代はその結果と言われるが、小泉改革の歪みと後継総理たちの失態、支持急落した宿敵にどのようにとどめを刺したか。平成19年7月の参院選挙で60議席獲得し第1党となり与野党逆転のねじれ国会となり、小沢ガールズが誕生した平成21年8月の総選挙では民主党308議席を取り第1党となり政権交代を達成した。民主党は国家を導くための体制作りにかかるが・・・。本書は平成21年11月で終わっている。
4月6日、光市の河川敷の満開の桜、コロナウイルスの影響か、お弁当を開いている花見客は全部で2組だった。
『地銀支店長』 清水一行著 徳間文庫 評価☆☆☆☆ ’20年3月31日読了
寸評:短篇6編が収められている。表題作の「地銀支店長」では過酷な支店経営のため、支店長が預金流用、浮き貸しなどにより利益を確保していくが、抜打ちの特別検査により発覚、支店長は1銭の金も着服していないが、業務上横領犯人として地検に告発される。次期頭取候補の常務に身を任せるが・・・。「部長の女」麻雀の六本木ルールで若く美しいコンパニオンと一夜を共にする中堅企業の部長、初老の主人公の煩悩に揺れる心理を描く。「歯止めの十字架」は1968年に起こった日通事件を素材にしたクライムストーリーである。「女の再生」は美容整形や処女膜再生の世界を、美貌の女医をヒロインに据えて描くが、私にしてみれば吉行淳之介作品の2番煎じに映り不可作品である。「棒の交差」は赤線出身の女と電話局に努める男との、離婚、再婚、再離婚、再再婚・・・と繰り返す2人の男女を描く。兎に角不思議な面白さを内包している。「脅しの筋立」は大手企業の宣伝担当者が巻き込まれていく蟻地獄のような罠に嵌る当惑と憤りがひしひしと伝わる1編である。
『羅生門・鼻・芋粥』 芥川龍之介著 角川文庫 評価☆☆☆☆ ’20年4月2日読了 再読
寸評:再読であるが40年振りくらいである。嘗て読んだ時には旧仮名遣いの難解な文章で、全部読み切ったかどうかすら覚えない。この本は著者の初期の短篇18作品の作品集である。表題の「羅生門」「鼻」「芋粥」は時代小説であり現代小説でもあると言われる。人間の本質としての悪、人間関係の織り成す社会の悪の認識という、芥川文学のもっとも本質的な主題の所在を告げる作品である。「鼻」は師匠の漱石に激賞されたとのことだが、成程、人間描写など漱石の手法に似ている。他の短文は今日でいうエッセイのようである。またメモや覚書のようなものもあり、落語、講談調のものもあり、多様である。「日光小品」という覚書のような作品があるが、芥川賞作家の吉行理恵の受賞作「靖国通り」を思い出した。他には「大川の水」に感銘を受けた。
『風の忍び小太郎』 柳蒼二郎著 コスミック文庫 評価☆☆☆☆ ’20年4月6日読了
寸評:著者の本は初めてである。風間の小太郎は半世紀以上も前の小学生の頃、漫画で読んだ。この小太郎伊織は6代目である。風間一族を率い、家康との約束にて江戸の鎮護を任されるが、実情は無役の小普請組である。仕事と言えば一族の2人の甚内(吉原の総元締めと江戸一円の古手商いの元締めの2人甚内)や用人孫兵衛の報告を淡々と聞くのみの日々。伊織は天守の上で何をすることも無く眼下に広がる江戸の街並みを見下ろすのが常である。そこには必ず柳生十兵衛も付き合う。将軍家光も天守の屋根の上の2人を認めてもとがめだてはしない。特別な2人である。しかしその安穏が突如打ち破られた。「時渡り」の異名を持つ弦左が現れる。江戸に危害を加えると風間を挑発する。運命の死闘が始まる。面白いがもう少し長編でも良かった。
4月11日、従兄弟からタケノコを沢山貰う。非常に美味だった。
『何もかも憂鬱な夜に』 中村文則著 集英社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年4月7日読了
寸評:重い小説だった。死刑囚の刑執行の様子が詳細に書かれている。死刑判決もマスコミや世間が騒ぐか騒がないかで影響される。遺族感情にも格差がある。要は死刑判決の基準が曖昧であることが問題である。死刑は人間が決められるものではない。冤罪や矛盾が多く出るからだ。殺人は云わば伝統的な人間の傾向の一つである。小説では若い死刑囚の心の葛藤の告白が重く響く。思春期に彼女でもできれば殺人というような重大犯罪は減少するだろうと思う。また、刑執行人の苦悩も描く。控訴しない死刑囚には控訴を勧める。自殺した友人の記憶、大切な恩師とのやりとり、刑務官の自分の中の混沌が描き出される。重大犯罪と死刑制度、生と死、そして希望と真摯に向き合った小説である。
『ポケット 親鸞の教え』 山崎龍明著 中経の文庫 評価☆☆☆☆ ’20年4月13日読了
寸評:亡くなった義父が親鸞の信奉者だった。我が家も義父家も同じ浄土真宗である。昔は一向宗として迫害された歴史もあるが、 今日ではかなり隆盛のようだ。その義父とも時には親鸞の教えについて語り合ったこともある。ところが、どこか話が微妙に食い違ってくる。嘗て親鸞のものは数冊読破しているのだが・・。この本でその謎が解けたように思う。親鸞の思想は、親鸞以降、だいぶ親鸞以前の浄土宗に戻ってしまったかの観があるという。現生に念仏とともに生き抜く道から、来世主義としての浄土往生一辺倒になってしまったらしい。義父はそこら辺の所を理解していたようで、私が間違った解釈をしていたことに気付いた。なかなか難しい本だったが熟読した。
『夢幻花』 東野圭吾著 PHP文芸文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年4月16日読了
寸評:第26回柴田錬三郎賞受賞作。花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。第一発見者の孫娘の梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と事件の真相解明に乗り出す。一方、刑事の早瀬も別の思いを胸に秘め事件を追う。祖父の死の数か月前にはバンドマンの従兄弟が自殺する。それらの死は全て夢幻花という黄色の花の咲くアサガオに纏わる。江戸時代からの同じ宿命を負った蒲生家と伊庭家の子供、蒼太と孝美が偶然にも絡み、また蒼太の年の離れた兄・要介も重要人物。宿命を背負った者たちの人間ドラマが展開していく。著者の真骨頂のミステリーである。
昨年食べたビワの種と巨砲の種をプランターに捨てていたら芽がでたので、鉢に移し替えてみた。
『日本史の謎がおもしろいほどわかる本』 「歴史ミステリー」倶楽部著 王様文庫 評価☆☆☆ ’20年4月21日読了
寸評:定説となっている事象なのど裏を読む。歴史を変えた一大事の意外な首謀者、決して表沙汰にならなかった歴史、今、明らかになる封印されてきた過去、その死に不審な点あり!、大胆な仮説から真実が見えてくる、死んでもいえなかった?意外な事実の6章から構成されている。全体的には古代、戦国時代、江戸時代の人物、事故、事件、争いが大半を占める。歴史書などは勝者により書かれたものが多く、勝者に都合よく改ざんされたものも多いだろう。記紀などもその部類に入るかも知れない。本書では日本史上に起こった事件、活躍した人物の、表舞台には決して現れない謎の数々を探る。
『走ることについて語るときに僕の語ること』 村上春樹著 王様文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年4月23日読了
寸評:熱心な読者ではなかった私は、著者が長距離ランナーだとは知らなかった。本書では2006年のニューヨーク・シティー・マラソンやボストンマラソンまでの25回のフルマラソン、ウルトラ・マラソンを完走した後のスランプからトライアスロンへの挑戦などを綴る。と同時に著者の自発的で求心的な、自然な前向きな活力のある文学論を、走ると言う行為を媒介として展開していく。著者はこの本を前半生のメモワールのようだという。小説を書くことはフル・マラソンを走るのに似ている。小説家にとって最も重要な資質とは、1に才能、2に集中力、3に持続力だという。文学的才能がなければどんなに努力しても小説家にはなれないという。興味の尽きない一冊だった。
【4月29日過去の釣行記録】
・1997年粭島岩島、船釣り、09:30~14:30、小潮、釣果=チヌ2
・1999年奈切大気暴露試験場前、09:00~12:0、大潮、釣果=カレイ2
・2005年笠戸本浦港堤防、09:30~17:00、中潮、釣果=グチ1・アジ20・メバル1
・2006年第2埠頭東側、06:30~15:40、大潮、釣果=カレイ12・アイナメ1・タナゴ3
・2007年寺崎・本浦港堤防、06:00~16:30、中潮、釣果=カレイ6・アイナメ2・キス4・タコ1
・2009年第1埠頭西側、06:20~12:40、小潮、釣果=カレイ3・キス1・キビレ1
・2010年中電西側、07:20~12:20、大潮、釣果=ソイ1・アイナメ4
・2012年櫛ヶ浜新港防波堤、19:20~22:20、小潮、釣果=メバル13
・2013年徳山築港、05:40~10:40、中潮、釣果=カレイ5・キス7・ハゼ2
・2014年櫛ヶ浜新港防波堤、19:10~21:50、大潮、釣果=メバル12・セイゴ1
・2015年徳山築港、05:20~14:00、若潮、釣果=37、33cmカレイ・木っ端ガレイ5
・2016年徳山築港フェリー乗り場南端、05:50~14:00、小潮、釣果=カレイ6・キス5・ハゼ2・ナマコ1
・2017年徳山築港フェリー乗り場南端、05:10~10:40、中潮、釣果=30cmカレイ1・木っ端ガレイ3・マダイ1・ベラ3・ナマコ2
・2018年今津川河口東側、05:40~11:40、大潮、釣果=23cmカレイ1、S=46.5cm国民栄誉賞的マコガレイ
【この日の釣り情報】
・2006年第2埠頭東側、19:30~21:30、大潮、釣果=キビレ2・アナゴ16・キス2
・2006年庄の浦港防波堤、朝~夕方、大潮、釣果=カレイ12・キス4・ハゼ4・ナマコ1
・2006年笠戸寺崎、夜、大潮、釣果=メバル爆釣
・2007年切戸川河口、19:00~21:00、中潮、釣果=キス2
・2007年笠戸大城下、19:00~22:00、中潮、釣果=メバル24・アジ2・タナゴ2
【旧暦4月7日釣行記録】
・2005年05月14日、第2埠頭中電前、05:30~13:00、小潮、釣果=ハゼ3・キス2
・2005年05月14日、第2埠頭東側、13:00~19:20、小潮、釣果=カレイ1・アジ20・アイナメ2
・2005年05月14日、第2埠頭西側、朝方、小潮、釣果=サビキでアジ20
・2005年05月14日、市境グランド傍テトラ、昼間、小潮、釣果=25cm級キスが釣れる
・2006年05月04日、笠戸寺崎、夜、小潮、釣果=18cmメバル3
・2008年05月11日、粭島小瀬戸、19:10~23:40、小潮、釣果=メバル13(18cm前後)・アジ6(22cm)
・2012年05月27日、第2埠頭東側、09:20~12:20、小潮、釣果=キス3・アイナメ1
・2019年05月11日、徳山築港、05:20~10:40、小潮、釣果=木っ端ガレイ10・キス2・ナマコ1
http://blog-parts.wmag.net/okitegami/base.php?ser=36906&m=219b56b2lb68fdf326a81