一番好きな作家が安部公房。
昨日「砂の女」を久々にに読み終えた。たしかmixiでも4、5年前に同じように感想を書いた気がするが、今回は記憶していたプロットと細部が違い「あれ、そうだった。?」と思ったわけだ。もちろん、あらすじはさしみのツマみたいなもので、驚くべきは先進性と比喩の素晴らしさである。
「砂の女」が刊行されたのは1962年6月(昭和37年)、まったく旧さを感じず今年書かれた小説と言われても違和感がない。昆虫採集が趣味の教師が砂と戦う村に、まんまと騙されアリ地獄よろしく、砂穴に閉じ込められしまう話は、舞台が日本でなくても問題ないから、普遍性があるのだ。
比喩の素晴らしさは以下をどうぞ。
錆びた蜜柑色の星とか灰汁の合唱て、言い得て妙だと思いませんか。でも言われてみればであって、こんな表現はまず思いつかないでしょう。
以下137ページからの引用
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無数の化石の層をつみ重ね、のりこえてきた、人類のけいれん-----ダイノソアの牙も、氷河の壁も、絶叫し、狂喜して進む、この生殖の推進機の行くく手をはばむことは出来なかった-----やがて、身もだえながら振りしぼる、白子の打ち上げ花火-----無限の闇をつらぬいて、ほとばしる流星群-----錆びた蜜柑色の星-----灰汁の合唱
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黒澤明同様日本で不当に評価が低い、と思うが如何かな。?
ちなみに映画もカンヌで特別賞を取っている。脚本安部公房、監督勅使河原宏、音楽武満徹とこちらも素晴らしい。岡田英次と岸田今日子が主演。
昨日「砂の女」を久々にに読み終えた。たしかmixiでも4、5年前に同じように感想を書いた気がするが、今回は記憶していたプロットと細部が違い「あれ、そうだった。?」と思ったわけだ。もちろん、あらすじはさしみのツマみたいなもので、驚くべきは先進性と比喩の素晴らしさである。
「砂の女」が刊行されたのは1962年6月(昭和37年)、まったく旧さを感じず今年書かれた小説と言われても違和感がない。昆虫採集が趣味の教師が砂と戦う村に、まんまと騙されアリ地獄よろしく、砂穴に閉じ込められしまう話は、舞台が日本でなくても問題ないから、普遍性があるのだ。
比喩の素晴らしさは以下をどうぞ。
錆びた蜜柑色の星とか灰汁の合唱て、言い得て妙だと思いませんか。でも言われてみればであって、こんな表現はまず思いつかないでしょう。
以下137ページからの引用
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無数の化石の層をつみ重ね、のりこえてきた、人類のけいれん-----ダイノソアの牙も、氷河の壁も、絶叫し、狂喜して進む、この生殖の推進機の行くく手をはばむことは出来なかった-----やがて、身もだえながら振りしぼる、白子の打ち上げ花火-----無限の闇をつらぬいて、ほとばしる流星群-----錆びた蜜柑色の星-----灰汁の合唱
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黒澤明同様日本で不当に評価が低い、と思うが如何かな。?
ちなみに映画もカンヌで特別賞を取っている。脚本安部公房、監督勅使河原宏、音楽武満徹とこちらも素晴らしい。岡田英次と岸田今日子が主演。