SHAンパンでもいかが?

「最終楽章 気分はAdagio」
77歳の一人暮らし。

とんでもない仕事

2019-03-04 23:34:25 | 日記



半世紀ばかり前のある日、
あるピアニストさんからの電話。

「インフルエンザで動けなくなってしまったが
明後日、K歌劇団の本番前の立稽古があり
指揮は朝比奈先生。
東京からは演出家がこられるので代って欲しい」とのこと。

「曲目は?」と聞くと
「ヴェルディの「運命の力」」

「聴いたこともないオペラ。そんな長大なものとても無理」と
断りましたが「行くだけで良いから」」と。

しかし、そんな訳にもいかず楽譜を取りに行き
レコード店を走り回った。
ようやく見つけたものの
半端ではない値段だったが音源が必要なので購入。

2日間、昼間は楽譜と格闘、
夜は徹夜でひたすらレコードを聴いた。



いよいよ、、、。

練習場に初めてお目にかかる朝比奈先生が
オーラを纏って登場。
こんな形でお目にかかりたくなかったと思いつつ
私は「まな板の上の鯉」

ところがピアノの横に立たれた先生の指揮は
とてもわかりやすく
次第にヴェルディの世界に引き込まれ
あっという間に3時間の通し稽古終了。
胸をなでおろした。

最後に思わぬハプニング。
「このピアニストに序曲を弾いてもらおう」と朝比奈先生。
えっ!ま・さ・か。

「全くの初見です。」と申し上げたが
「私が棒を振るから、、。」と言われて
頭が真っ白なまま、Prestの長い序曲を弾く羽目に。
夢中で弾いた、、というより棒に導かれてですが
気がつくと皆さんが暖かい拍手を。

そして、即、定期演奏会のエキストラの仕事のTELが。
「虎穴に入らずんば、、、、」でしたね。