「あかし」という名のウィスキーのことは、お恥ずかしながら
今まで存じ上げませんでした。ひょんなことから寄り道した
酒売り場で見つけたもので、何か珍しいシングルモルトはないか
と思っていたら、正に珍しいものを見つけた!という具合です。
あかしというのは兵庫県明石市のことで、ご当地にある江井ヶ嶋
酒造というマルチ酒造メーカがウィスキーを製造しています。
メーカの名前は、購入してからそういえばと思い出したのですが、
シングルモルトを出しているところまで調べていませんでした。
裏ラベルをみると「瀬戸内海を望むウィスキー蒸溜所で造った
モルト原酒をシェリー樽、バーボン樽等で貯蔵し、バッテイング
しました。地ウィスキーならではの、特徴のある味と香りのシン
グルモルトウィスキーです。」と書かれていて、確かにシェリー
の甘さとバーボンのバニラテイストが順番に現れるウィスキー
です。
あまりの珍しさに目を奪われてしまって即買いをしたのですが、
よく看るとラベルにも外箱にも熟成年数の表示はなく、若い原
酒おそらくは3~5年程度の熟成のものを多く使っているので
はないでしょうか。アルコール度数は46度ですが、エステル
香が非常に強く舌の上で未貯蔵原酒の特徴であるパチパチと
跳ねるような刺激感がします。
しかし私個人的には結構好みのタイプで、一般に美味しいウィ
スキーといえば熟成年数長くシェリー原酒で甘い風合いをつけた
「飲みやすいお酒」というワインの販売ストーリーのような
ものが多いなかで、原酒樽の甘い風味はするものの野趣溢れる
強い酒を主張する個性は昨今では貴重な存在です。
このウィスキーをベースにハイボールを作れば、きっと新しい
感覚の大人向け本格ハイボールができると思いますし、ブラ
ンデーやカルヴァドスと同じように考えればスィーツに使う
新用途もみつかるでしょう。
改めて調べてみたら、シェリー樽熟成の14年というオフィ
シャルがあるそうですが、それはそれとして、この原酒を使っ
た14年熟成のブレンドなら、もっと本格的な地ウィスキー
として名乗りを上げられる実力は十分に兼ね備えています。
そういえば「あかし」というのは、蒸溜所のある地名でしたね。
この無限の可能性を秘めた新しいモルトウィスキーにもっと
注目していきたいです。
感謝!