ロンドン動物学会の動物学者、アンドリュー・カニンガムは最近、イギリスの医学誌の論説の中で、世界的に野生生物の生活圏を侵害していることが新型ウイルスの出現につながっていると警鐘を鳴らしている。
カニンガムがいうには、こうしたことはおそらく過去にも幾度となく起きているはずだが、昔は、感染者が出ても人里離れたところに暮らしていたために、大勢の人間と接触する以前に亡くなるか完治してしまい、ウイルスが広がることはなかった。しかし、現在は、国際取引や海外旅行が増加し、ある種の悪性の新型インフルエンザが大流行すれば、世界全体が一夜にして緊急事態に追い込まれることになりかねない。
今や野生生物の売買も盛んで、毎年、数え切れないほどの多くの野生動物やその製品が世界各地に運ばれていく。北アメリカでウエストナイル・ウイルスが発生しエイズやSARSが世界的に広がったのも、「今日は熱帯ジャングル、明日はロンドンのオフィスで勤務」という時代の旅行や貿易の国際化に原因がある、とカニンガムは指摘する。
世界の空の旅は、少なくとも向こう20年間は一年につき約5%の伸びが見込まれており、新たな感染症の出現による世界的危機は、そう簡単にはなくなりそうもない。
アメリカでは、12人に一人が自己免疫疾患にかかっている、と著者。私の身近にも闘病している人が沢山いる。
原因不明の自己免疫疾患がなぜこうも急増しているのかを、科学的に説明してくれる。勉強になる一冊。