長女が幼い頃に書いた絵日記。
秋に引っ越しをするので整理していたら出てきたものかな。
他にも妹が書いてよこした手紙などもラインで送ってくれて、しばし見入る。
経済的に豊かというわけではなく、不足の多い家庭ではあったけれど、子どもたちを守り、幸せにしたいという思いは誰にも負けないつもりだった。
反抗期にあったり、子育てに悩んだり、苦しいことが沢山あったはずなのに、不思議と楽しい記憶しかない。
喜ぶ顔を思い浮かべながら毎食の料理に腕をふるったことも、今となっては懐かしい思い出だ。
そんな娘たちはそれぞれとっくに独立してこの家から巣立っていった。
もう一度あの日の子どもたちを抱きしめたいと思っても、それは叶わない。
娘たちもあの日の、若い元気な母を取り戻すことはもはやできない。
知らぬ間に時間は静かに流れていった。
二人が今日まで大きな病気もせずに無事でいてくれることだけで、十分幸せなのだから、これからも私は私の日常を生きていこう。