旅の途中で

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本を読む

2005年08月03日 22時57分22秒 | 
ある方のブログや、友人の薦めで長野まゆみさんという作家を知り、
ちょっと気になって、友人から「綺羅星波止場」という短編集を借りて読んだ。

もともと本は大好きで、私の人生で大切な場所にあるんだけど、今までは文芸物や推理物、ミステリー、SF、ファンタジーが大半だった。
私の読む本の傾向としては、まぁファンタジーは別にして、いや、やっぱりファンタジーでさえも、どちらかというと地に足がどっしり着いた本が多かったように思う。

ところが長野さんの文章は、ふわふわと空を漂う。
でも決して頼りないわけじゃなくて、境界線をふわふわ超えて本の世界に引き込まれていく心地よさがたまらない。真夜中のような、小雨のようなイメージ。
心地良いのは、作家の世界がしっかり根付いてそこにあるからだと思う。こっちは安心してその世界に着地する。

そして嬉しいことに、彼女の文章からは、おもしろいほど映像があふれ出てくる。
上手く言えないけど、私の目が言葉を拾うと、そのまま映像になって私に返ってくる感じ。ちなみに、私の中に出て来る彼女の文章の色は、深い藍色。かな。

多分この短編集に、星や夜がキーワードになってよく出てくるからだと思うけど、本を読んでいる間ずっと、私の周りを深い藍色が満たしているような感覚だった。

この短編集の中で一番好きなのは「銀色と黒蜜糖」。これ、ふたつとも名前なんだけど、お話を読むとこの名前の絶妙さがよくわかる。
対象を表すのに、これ以上ないってくらいの絶妙さ。
この作家さんは美大生だったらしいけど、なるほどよくわかる。対象に対する観察眼がするどい人なんだなぁ。