旅の途中で

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銀河鉄道の夜

2005年08月16日 21時52分25秒 | 
少し前に長野まゆみさんという作家の本を何冊か読んで、とても心に残る話だったんだけど、ふと「宮沢賢治の世界に似ている」と思った。
で、先週末に家の本の整理をしていた時に、本棚の隅からぽろっと出てきたのが「銀河鉄道の夜」の文庫本だった。

実は私は、「銀河鉄道の夜」を読んだことがない。他の短編はちょろっと読んだこともあったんだけど、この代表作はまだ未読だったのだ。
でも私は昔からこの話が大好きだった。どこで知ったのかというと、アニメーション映画で見たのだ。

何度もテレビで放映されているので、きっと見た人も結構いるだろうけども、なんとネコを擬人化して映画にしたものだ。もちろんジョバンニとカムパネルラもネコだ。
ネコの擬人化については、賛否両論あったと聞いたことがあるけど(賢治の遺族も最初は反対していたそうだ)、映画を見るとまったく違和感のないのに驚く。
主人公の少年達が住む世界も架空の土地だし、そこから始まる銀河を舞台にしたファンタジーでは、表情のあまり動かないネコの方がぴったりくるのかもしれない。

よく出来たアニメで、映像が美しい。ほぼ全編真っ暗なんだけど、ぼんやりと浮かぶ紫のりんどうの花は、夢のような光景だった。
内容も淡々としていておおげさなところがなく、賢治の世界を忠実に表していたと思う。今原作を読んでみて、あの映画とイメージがまったく同じだからだ。

まあそういう訳で、ぽろっと手の中に入ってきたこの文庫本を読むことにした。
この本は中短編集で、銀河鉄道~の他にも、「よだかの星」「雪渡り」などの有名な短編が入っている。
中でも良かったのは「やまなし」という話で、カニの親子が主人公。川の底から見たカニの世界が、美しい文章でちょっとおもしろく描いている。短いけれど本当に言葉のリズムが美しい。こんなにカニに感情移入して読めるなんて・・・

今やっと「銀河鉄道の夜」に入ったところだけど、やっぱり文章が美しい。
そして私の頭の中では、ジョバンニとカムパネルラは昔見たネコの姿のままだ。
仕方ない。初めて触れた銀河鉄道の世界がネコだったのだから、きっとこれからも私の中では、あのネコの無機質でありながらどこか悲しげなまなざしが生き続けるんだろう。



ところでおえかきツールで銀河鉄道の夜のイメージを描いてみたんだけど、保存できなかったよ。2回も描いて2回とも保存できなかったよ・・・