【フードテック革命】4049
田中宏隆・岡田亜希子・瀬川明秀・外村仁氏の心に響く言葉より…
2016年10月。
私たちは米国シアトルにいた。
スターバックスコーヒー発祥の地であり、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムが本社を構える地であることは知っていたが、ここがフードテックにとって重要な意味を持つことを当時は気づいていなかった。
シアトルを訪れたのは、16年に開催された食×テクノロジーのイベント「スマートキッチン・サミット(SKS)」に参加するためだ。
当時、「キッチン領域にどんなテクノロジーが入ってきているのか」というテーマを追いかけていた私たちは、SKSのウェブサイトにたどり着いた。
そのプログラムを見てまず驚いたのが、日本では聞いたことがないフレーズの数々だった。
「Kitchen os」「Kitchen Commerce」「Big Data & Connected Food Plattorms」
これは何かが起きている。
リサーチャーとしての直感が働き、即座にシアトル行きを決めた。
すると、そこには料理のレシピがプログラム化され、IoT技術で調理家電をコントロールする、いわゆる「キッチンOS」の考え方がすでに存在し、実装された世界があった。
そして、フード領域のスタートアップのみならず、アマゾンのような巨大IT企業や大手家電メーカー、ネスレのようなメガ食品メーカーまでもが、こぞってSKSに集結していた。
彼らが熱心に議論していたのは、「これから何がキッチンにおけるキラーアプリになるのか」ということだ。
「スマートキッチン」とは、キッチンと家電の領域だけではなく、その先にある食品自体の在り方や生活者の行動までを含めた話であり、そこにデジタルテクノロジーを入れることで実現する「食の未来」を語るエコシステムである…。
現地でそれに気づいた私たちの脳内には、激しい稲妻が走った。
そして、もっと衝撃的だったのは、SKSの議論の中で登壇者としても事例としても、日本企業の話が一切出てこなかったことだ。
そればかりか、日本からの参加者すら見当たらなかった…。
『食文化も、調理家電も、日本は「世界最先端」のはずではなかったか。』
すぐさま頭をよぎったのは、かつて世界で最もイノベーティブだとされていた日本の携帯電話と、iモードに代表される通信コンテンツが、米アップルのiPhone登場以降、勢いを失っていった姿だ。
もしかすると、キッチン&フード領域でも同じことが起こるのではないか。
そんな不安を胸に、私たちはシアトルから帰国の途についた。
帰国後、SKSで確認した世界の動きについて、私たちは必死に食品や家電、テクノロジー業界に伝え始めた。
17年8月には、SKSの創設者であり、新興技術に焦点を当てた戦略アドバイザリーおよび調査会社ネクスト・マーケット・インサイツ代表のマイケル・ウルフ氏と組み東京でSKSジャパンを初開催した。
パナソニック、ニチレイ、そしてクックパッドなどの国内プレーヤー、まだ数は少なかったが、ベースフードなど国内のスタートアップ、そして、海外のスタートアップを含めて約100社を集め、1日かけて最先端のトレンドについて議論した。
世界各地で、これまでの食品や家電の展示会、商談会とは違った趣向で、デジタルテックのギークたちと新しい食体験を作りたい起業家が入り交じったものになっていた。
いずれも家電か、食品かというカテゴリーを取っ払い、それぞれ食の体験を構成する一要素という位置付けで見せていることが印象的だ。
そんな中、19年には植物性プロテインを用いた代替肉スタートアップのインポッシブルフーズが、世界最大の技術見本市である「CES 2019」に初めて参加した。
来場者にふるまった植物肉ハンバーガーが、テックギークたちから大きな関心を集め、最先端のフードテックが広く世に知られる1つのターニングポイントとなった。
実際、これ以降、欧米では植物性プロテインからできた代替肉が一般のファストフード(マクドナルド、ケンタッキーフライドチキンなど)や、食品スーパー(ホールフーズ・マーケットなど)の大手チェーンで販売され出している。
インポッシブルバーガー2.0を試食した日本の食品メーカーの感想を聞くと、「この味のつくり方だと日本人には受け入れられない。うちの研究開発をもってすれば、もっといいものができます」と言う。
こんな声が、1社だけでなく数多く聞かれた。
《日本のフードテックは「iPhone前夜」》
iPhoneが日本にやってきたのは、08年のことだ。
それまでの日本の携帯電話市場は、パナソニックや富士通、シャープ、ソニー・エリクソン、京セラなどの日本メーカーがシェアを分け合っていた。
日本の通信環境は世界最高速度だったこともあり、絵文字はもちろん、写メ―ルや着メロといったコンテンツサービスも充実。
お家芸であるデジタルカメラ技術や高精細ディスプレー技術、おサイフケータイなどの決済機能も端末に総結集し、機能軸で言えば海外のどんな端末にも負けていなかった。
そんな市場にスマートフォンであるiPhoneが投入されたころ、ここでいう「スマート」の部分が一体何を意味するのか、きちんと理解できている人はほとんどいなかったのではないか。
物理的に違いがあった(あるように見えた)のは、画面の大きさとタッチパネルを採用していたことぐらいだ。
日本の携帯メーカーのエンジニアたちは当時、iPhoneに載っている技術はどれも目新しくないと話していた。
しかし、iPhoneは日本市場シェアをどんどん奪っていった。
iPhoneが実現したのは、ハードウェアの機能進化ではなく、全く新しい体験を生み出したことであった。
すでに普及していた数千曲の音楽を持ち運べるというiPadの機能が統合され、app storeというアプリ1つで何にでもなれる機能、そして今までになかった新たなインターフェース(画面スワイプという動作など)の導入。
それらは従来の“携帯する電話”というデバイスの進化ではなく、日常生活がまさにスマートになる体験の進化であり、完全にパラダイムシフトを起こしたのだ。
その結果、米グーグルのAndroid OSも加わり、市場はスマートフォン一色に切り替わった。
現在、スマートフォンは単に電話としてだけではなく、人々の生活になくてはならないインフラとなった。
実はスマートフォンに置き換わっていく過程で、多くのアプリも国産から海外製になっていった。
重要なのは、これらの変化は徐々にではなく、いろいろな方向から、急速に起こったことだ。
翻って日本のフードテックの現状を考えると、我々は「iPhone前夜なのかもしれない」と考えるようになった。
今起きている海外の「フードテック」の潮流は、日本人の目にはたいしたことがないようにも映る。
「植物性の代替肉のハンバーガー?」そんなものは、たいていの日本人は食べたことも聞いたこともない。
スマートフォンからオーブンレンジを操作することも、それほどインパクトがあることのように思えないかもしれない。
しかし、ポイントはそこではない。
味や機能が進化している裏には、サイエンスと食の融合、フードビジネスとしてのプラットフォームの勃興、そしてライフスタイルの中での「顧客体験」に価値創造の主軸が移りつつあるという事実がある。
この転換についていけなければ、日本の食産業はグローバルで加速するイノベーションの主導権を決して握れない。
『フードテック革命』日経BP
https://amzn.to/348IthJ
本書に、「フードテック」の注目されている理由が次のように書いてある。
『今、なぜ「フードテック」が注目されているのか。
分かりやすいのは、市場規模のポテンシャルだ。
米国のフードテックイベント「スマートキッチンサミット(SKS)2017」では、創設者マイケル・ウルフ氏が、世界のフードテック市場規模が2025年までに700兆円規模に達するという衝撃的な発表をした。
スマートホーム市場と比べても、食はとてつもない広がりを持つというメッセージであった。
市場規模は諸説あり、7000兆円の内訳を完璧に分解したものは私たちはまだ見たことはない。
しかしこの数字は決して空想ではないと考えている。その理由は…
1.そもそもの食品、食品流通、外食などの市場規模がとてつもなく大きく、フードテックを活用してこれらのビジネスをアップグレードする可能性を持つこと。
2.フードテックを活用した新しいプロジェクト&サービスが登場し、すでに萌芽しつつある市場を一気にブーストする可能性があること。
3.フードテックを活用することで、様々な理由で存在していた供給問題が解消され、潜在的に存在していた市場へのアクセスが可能となること。
4.食の価値創造の裏側に潜む隠れたコストを抑制することによる市場創造。そして最も特徴的なことが1食の多様な価値に気付くことにより、人が様々な理由で食にお金を使うようになること。具体的には周辺の産業を引き寄せる。
フードテックとは、狭義では食のシーンにデジタル技術(特にIoT)やバイオサイエンスなどが融合することで起こるイノベーションのトレンドを総称した言葉だ。
近年、特に投資活動も活発で、有望なスタートアップが多く誕生している。
投資が活発な領域としては、植物代替肉のような新食材から食料品デリバリーサービスやロボットレストラン、食のパーソナライゼーションにいたるまで様々。
欧州電気メーカーのエレクトロラックスが、低温調理スタートアップの米アイノーバを買収したり、米グーグルがハンバーガーロボットのクリエーターに出資したりと、大手企業によるスタートアップ投資も活発になっている。
米国では、フードテック分野を扱うベンチャーキャピタルが200を超えると言われ、最も投資が盛んな植物由来の代替プロテイン分野を専門とするところもあるほどだ。
フードテック領域への投資は、デバイスや食品、デジタル技術やサイエンスなど、あらゆる専門性ビジネスの特性が入り交じるために、非常に難しい。』
外村仁氏は元エバーノート日本法人会長。
シリコンバレーに住んで21年目に入った。
その21年間で、シリコンバレーの食のレベルは急激に上がったという。
1人あたり500ドルの和食(寿司・懐石料理)の店もでき、繁盛しているという。
その中で最も象徴的な事件は、マイクロソフトのCTO(最高技術責任者)だったネイサン・ミルボルド氏(理論物理学・材料物理学の博士号を持つ)が、世界中の料理人にインパクトを与えた科学的調理法のバイブルともなっている「モダニスト・キュイジーヌ」という本を出版したことだ。
ハードカバー5冊組で重量が21キロもある本で、すべてのページが素材や料理周りのあらゆることを科学的に分析、解説し、鍋の中で何が起こっているかを高精細カメラの画像で追っている本だ。
これに、シリコンバレーにいる多くのエンジニアが、物理や化学で料理をぶった斬るという事実に驚愕し、そこから料理とITやテックとの関連に気づいたという。
外村氏は、IT業界で日本が遅れをとった悪夢を、フードテックで繰り返してはならない、と強く訴える。
我々は、失われたた30年をこの「フードテック」で繰り返してはならない。
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田中宏隆・岡田亜希子・瀬川明秀・外村仁氏の心に響く言葉より…
2016年10月。
私たちは米国シアトルにいた。
スターバックスコーヒー発祥の地であり、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムが本社を構える地であることは知っていたが、ここがフードテックにとって重要な意味を持つことを当時は気づいていなかった。
シアトルを訪れたのは、16年に開催された食×テクノロジーのイベント「スマートキッチン・サミット(SKS)」に参加するためだ。
当時、「キッチン領域にどんなテクノロジーが入ってきているのか」というテーマを追いかけていた私たちは、SKSのウェブサイトにたどり着いた。
そのプログラムを見てまず驚いたのが、日本では聞いたことがないフレーズの数々だった。
「Kitchen os」「Kitchen Commerce」「Big Data & Connected Food Plattorms」
これは何かが起きている。
リサーチャーとしての直感が働き、即座にシアトル行きを決めた。
すると、そこには料理のレシピがプログラム化され、IoT技術で調理家電をコントロールする、いわゆる「キッチンOS」の考え方がすでに存在し、実装された世界があった。
そして、フード領域のスタートアップのみならず、アマゾンのような巨大IT企業や大手家電メーカー、ネスレのようなメガ食品メーカーまでもが、こぞってSKSに集結していた。
彼らが熱心に議論していたのは、「これから何がキッチンにおけるキラーアプリになるのか」ということだ。
「スマートキッチン」とは、キッチンと家電の領域だけではなく、その先にある食品自体の在り方や生活者の行動までを含めた話であり、そこにデジタルテクノロジーを入れることで実現する「食の未来」を語るエコシステムである…。
現地でそれに気づいた私たちの脳内には、激しい稲妻が走った。
そして、もっと衝撃的だったのは、SKSの議論の中で登壇者としても事例としても、日本企業の話が一切出てこなかったことだ。
そればかりか、日本からの参加者すら見当たらなかった…。
『食文化も、調理家電も、日本は「世界最先端」のはずではなかったか。』
すぐさま頭をよぎったのは、かつて世界で最もイノベーティブだとされていた日本の携帯電話と、iモードに代表される通信コンテンツが、米アップルのiPhone登場以降、勢いを失っていった姿だ。
もしかすると、キッチン&フード領域でも同じことが起こるのではないか。
そんな不安を胸に、私たちはシアトルから帰国の途についた。
帰国後、SKSで確認した世界の動きについて、私たちは必死に食品や家電、テクノロジー業界に伝え始めた。
17年8月には、SKSの創設者であり、新興技術に焦点を当てた戦略アドバイザリーおよび調査会社ネクスト・マーケット・インサイツ代表のマイケル・ウルフ氏と組み東京でSKSジャパンを初開催した。
パナソニック、ニチレイ、そしてクックパッドなどの国内プレーヤー、まだ数は少なかったが、ベースフードなど国内のスタートアップ、そして、海外のスタートアップを含めて約100社を集め、1日かけて最先端のトレンドについて議論した。
世界各地で、これまでの食品や家電の展示会、商談会とは違った趣向で、デジタルテックのギークたちと新しい食体験を作りたい起業家が入り交じったものになっていた。
いずれも家電か、食品かというカテゴリーを取っ払い、それぞれ食の体験を構成する一要素という位置付けで見せていることが印象的だ。
そんな中、19年には植物性プロテインを用いた代替肉スタートアップのインポッシブルフーズが、世界最大の技術見本市である「CES 2019」に初めて参加した。
来場者にふるまった植物肉ハンバーガーが、テックギークたちから大きな関心を集め、最先端のフードテックが広く世に知られる1つのターニングポイントとなった。
実際、これ以降、欧米では植物性プロテインからできた代替肉が一般のファストフード(マクドナルド、ケンタッキーフライドチキンなど)や、食品スーパー(ホールフーズ・マーケットなど)の大手チェーンで販売され出している。
インポッシブルバーガー2.0を試食した日本の食品メーカーの感想を聞くと、「この味のつくり方だと日本人には受け入れられない。うちの研究開発をもってすれば、もっといいものができます」と言う。
こんな声が、1社だけでなく数多く聞かれた。
《日本のフードテックは「iPhone前夜」》
iPhoneが日本にやってきたのは、08年のことだ。
それまでの日本の携帯電話市場は、パナソニックや富士通、シャープ、ソニー・エリクソン、京セラなどの日本メーカーがシェアを分け合っていた。
日本の通信環境は世界最高速度だったこともあり、絵文字はもちろん、写メ―ルや着メロといったコンテンツサービスも充実。
お家芸であるデジタルカメラ技術や高精細ディスプレー技術、おサイフケータイなどの決済機能も端末に総結集し、機能軸で言えば海外のどんな端末にも負けていなかった。
そんな市場にスマートフォンであるiPhoneが投入されたころ、ここでいう「スマート」の部分が一体何を意味するのか、きちんと理解できている人はほとんどいなかったのではないか。
物理的に違いがあった(あるように見えた)のは、画面の大きさとタッチパネルを採用していたことぐらいだ。
日本の携帯メーカーのエンジニアたちは当時、iPhoneに載っている技術はどれも目新しくないと話していた。
しかし、iPhoneは日本市場シェアをどんどん奪っていった。
iPhoneが実現したのは、ハードウェアの機能進化ではなく、全く新しい体験を生み出したことであった。
すでに普及していた数千曲の音楽を持ち運べるというiPadの機能が統合され、app storeというアプリ1つで何にでもなれる機能、そして今までになかった新たなインターフェース(画面スワイプという動作など)の導入。
それらは従来の“携帯する電話”というデバイスの進化ではなく、日常生活がまさにスマートになる体験の進化であり、完全にパラダイムシフトを起こしたのだ。
その結果、米グーグルのAndroid OSも加わり、市場はスマートフォン一色に切り替わった。
現在、スマートフォンは単に電話としてだけではなく、人々の生活になくてはならないインフラとなった。
実はスマートフォンに置き換わっていく過程で、多くのアプリも国産から海外製になっていった。
重要なのは、これらの変化は徐々にではなく、いろいろな方向から、急速に起こったことだ。
翻って日本のフードテックの現状を考えると、我々は「iPhone前夜なのかもしれない」と考えるようになった。
今起きている海外の「フードテック」の潮流は、日本人の目にはたいしたことがないようにも映る。
「植物性の代替肉のハンバーガー?」そんなものは、たいていの日本人は食べたことも聞いたこともない。
スマートフォンからオーブンレンジを操作することも、それほどインパクトがあることのように思えないかもしれない。
しかし、ポイントはそこではない。
味や機能が進化している裏には、サイエンスと食の融合、フードビジネスとしてのプラットフォームの勃興、そしてライフスタイルの中での「顧客体験」に価値創造の主軸が移りつつあるという事実がある。
この転換についていけなければ、日本の食産業はグローバルで加速するイノベーションの主導権を決して握れない。
『フードテック革命』日経BP
https://amzn.to/348IthJ
本書に、「フードテック」の注目されている理由が次のように書いてある。
『今、なぜ「フードテック」が注目されているのか。
分かりやすいのは、市場規模のポテンシャルだ。
米国のフードテックイベント「スマートキッチンサミット(SKS)2017」では、創設者マイケル・ウルフ氏が、世界のフードテック市場規模が2025年までに700兆円規模に達するという衝撃的な発表をした。
スマートホーム市場と比べても、食はとてつもない広がりを持つというメッセージであった。
市場規模は諸説あり、7000兆円の内訳を完璧に分解したものは私たちはまだ見たことはない。
しかしこの数字は決して空想ではないと考えている。その理由は…
1.そもそもの食品、食品流通、外食などの市場規模がとてつもなく大きく、フードテックを活用してこれらのビジネスをアップグレードする可能性を持つこと。
2.フードテックを活用した新しいプロジェクト&サービスが登場し、すでに萌芽しつつある市場を一気にブーストする可能性があること。
3.フードテックを活用することで、様々な理由で存在していた供給問題が解消され、潜在的に存在していた市場へのアクセスが可能となること。
4.食の価値創造の裏側に潜む隠れたコストを抑制することによる市場創造。そして最も特徴的なことが1食の多様な価値に気付くことにより、人が様々な理由で食にお金を使うようになること。具体的には周辺の産業を引き寄せる。
フードテックとは、狭義では食のシーンにデジタル技術(特にIoT)やバイオサイエンスなどが融合することで起こるイノベーションのトレンドを総称した言葉だ。
近年、特に投資活動も活発で、有望なスタートアップが多く誕生している。
投資が活発な領域としては、植物代替肉のような新食材から食料品デリバリーサービスやロボットレストラン、食のパーソナライゼーションにいたるまで様々。
欧州電気メーカーのエレクトロラックスが、低温調理スタートアップの米アイノーバを買収したり、米グーグルがハンバーガーロボットのクリエーターに出資したりと、大手企業によるスタートアップ投資も活発になっている。
米国では、フードテック分野を扱うベンチャーキャピタルが200を超えると言われ、最も投資が盛んな植物由来の代替プロテイン分野を専門とするところもあるほどだ。
フードテック領域への投資は、デバイスや食品、デジタル技術やサイエンスなど、あらゆる専門性ビジネスの特性が入り交じるために、非常に難しい。』
外村仁氏は元エバーノート日本法人会長。
シリコンバレーに住んで21年目に入った。
その21年間で、シリコンバレーの食のレベルは急激に上がったという。
1人あたり500ドルの和食(寿司・懐石料理)の店もでき、繁盛しているという。
その中で最も象徴的な事件は、マイクロソフトのCTO(最高技術責任者)だったネイサン・ミルボルド氏(理論物理学・材料物理学の博士号を持つ)が、世界中の料理人にインパクトを与えた科学的調理法のバイブルともなっている「モダニスト・キュイジーヌ」という本を出版したことだ。
ハードカバー5冊組で重量が21キロもある本で、すべてのページが素材や料理周りのあらゆることを科学的に分析、解説し、鍋の中で何が起こっているかを高精細カメラの画像で追っている本だ。
これに、シリコンバレーにいる多くのエンジニアが、物理や化学で料理をぶった斬るという事実に驚愕し、そこから料理とITやテックとの関連に気づいたという。
外村氏は、IT業界で日本が遅れをとった悪夢を、フードテックで繰り返してはならない、と強く訴える。
我々は、失われたた30年をこの「フードテック」で繰り返してはならない。
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